ATH-A2000X
音質
やや高音より。低域はやや少なめ。ある程度締まっていてかつ多少弾力がある。ぼやけたり曇ったりすることはほとんどないが、ガチガチに硬いということもない。ローエンドと中低域がやや弱め。重心の低さは普通。中域はやや高めの音で低域に邪魔されず非常にはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はやや多め。線が細く明るめの質。中高域よりも高域の方が目立つ印象。
分解能は非常に良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ十分すぎるほどの力を持っているが、どちらかと言うと一つ一つの音の微細な描写の方が優れている。音場感はそれなりに広く奥行きも感じられるし、明確さという意味ではかなり良い。原音忠実性はなかなか良い。周波数特性上の癖のなさはそれなりで、厳しく見れば一聴して多少の違和感はある。原音の粗や生っぽさはある程度しっかり感じられるが、必要以上に粗をえぐりだしたり生々しい質だったりはしない。そういう意味では音楽鑑賞向き。エッジは普通からややきつめで、それほど聴き疲れしないレベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや細く刺さるが、粗による痛さはない。
明瞭さ、音の鮮やかさは非常に良い。厚みは普通からやや薄め。どちらかと言うと硬く締まった傾向。温かみはほとんど感じられず冷たいと言った方が適切に思われるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではそれほど悪くはない。ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良いが、柔らかく心地よく聴きたい場合には向かない。線が細く透明感があるのは良いのだが、太くしっかりとした声の表現は苦手。全体的にかなり繊細な傾向。それでいて軽快さ、スピード感、躍動感といったものもなかなか良く、ノリの良さも十分感じられる。ただし、迫力や力強さには欠ける傾向だし、線が細く低域が少なめなこともあってスカスカに感じる人もいるだろう。響きは適度からややあっさりで、こもり感はほとんど気にならない。
弦楽器は非常に繊細で、生楽器らしさも適度に感じられて良い。ただし、ヴォーカルと同様柔らかく心地よく聴きたい場合には向かない。ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいときには良い。金管楽器は若干癖が気になるものの、なかなか明るく鮮やか。ただし、太く力強い鳴りを求めるなら合わないだろう。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の質感の相性、切れ、低域の質感等、様々な点から見てそれなりに相性が良い。ただし、線の細さや厚みの薄さが合わないと感じることはある。
分解能の高さと明瞭さが印象的な機種。やや高音よりで冷たい傾向ではあるが、それほど無機質ではなく瑞々しさや躍動感が感じられるため音楽を楽しむという点から見てもなかなかのもの。
装着感
良好。側圧は弱い。audio-technica独自のウィングサポートのため頭頂部に圧力がかからない(側圧同様、ウィングサポートの押さえもやや甘い印象)。大型の密閉型ヘッドホンとしてはかなり軽く、装着しても重量感がない。これらの理由により長時間使用してもストレスを感じにくい傾向ではあるが、フワフワして安定感がなくずれやすい。特に頭の小さい人は要注意。
イヤーパッドは耳を覆うサイズ。上下方向の角度調節ができず、側圧が弱いこともあってあまりフィットしない。耳の下を押さえて上に隙間があくような装着感になりがち。材質はクラリーノで心地よい。
その他
遮音性及び音漏れ防止は普通だが、密閉型にしてはやや悪い。
作りは良い。デザインは基本的には悪くないが、表面の仕上げについては好みが分かれるかもしれない。タッチノイズがかなり大きい。人によって密封度が変わりやすく、音質(特に低域)にも個人差が出やすいと思われる。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約3mm、合流後は約4mm、硬さは普通だが癖が付きやすくやや扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周110mm×108mm、内周56mm×56mm、深さ16mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
投稿レビュー『ATH-A2000X』
周波数特性グラフ
比較メモ
ATH-A900
どちらもやや高音より。低域はATH-A900の方が若干量が多い。ATH-A2000Xの方が締まっていてかつ弾力があるような質。ATH-A900の方が柔らかくぼやけたり曇ったりする。重心の低さは同レベル。ローエンドや中低域が弱めな点は似ている。中域はATH-A2000Xの方がやや高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はATH-A2000Xの方がやや量が多い。細く明るい質で目立つ。この2機種を比べるとATH-A2000Xの方が高音よりと言える。分解能はATH-A2000Xの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はATH-A2000Xの方がやや広く奥行きがあり明確。特に明確さは違いが大きいように感じる。原音忠実性はATH-A2000Xの方がやや上。周波数特性上の癖や違和感という意味では大差ないが、原音の粗や生っぽさはATH-A2000Xの方が感じられる。エッジはATH-A2000Xの方が若干きつく、多少聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろATH-A2000Xの方が若干細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-A2000Xの方が上。ATH-A2000Xに比べるとATH-A900は曇っているように感じられる。厚みはほぼ同レベルだが、ATH-A2000Xの方が硬く締まっているのでそういう意味で違いを感じることはある。温かみは低域の量が多く薄く曇っている分ATH-A900の方がやや感じられるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではATH-A2000Xの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはATH-A2000Xの方がやや上。ただし、スモーキーな感じを好むならATH-A900の方が良いだろう。ATH-A2000Xの方が線が細く繊細。それでいて軽快さ、スピード感、躍動感といったもので勝っていてノリが良い。響きは、低域はATH-A900の方がやや豊か、高域はATH-A2000Xの方がやや豊か。ATH-A900の方がこもり感が気になる。弦楽器はATH-A2000Xの方が繊細かつ生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はATH-A2000Xの方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はATH-A2000Xの方がうまい。音の質感の相性、切れ、低域の質等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはATH-A2000X、ATH-A2000Xでは線が細すぎるとか低域が物足りないという不満があるならATH-A900。
DT660 Edition 2007
どちらもやや高音より。低域はATH-A2000Xの方がやや量が多い。ATH-A2000Xの方が柔らかく弾力のある質。重心はATH-A2000Xの方がやや低い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、低域の多いソースではATH-A2000Xの方が低域の量に負ける感じになる。質的にはDT660 Edition 2007の方が癖がない。中高域はDT660 Edition 2007の方がしっかり出る。高域はDT660 Edition 2007の方が若干量が多い。ATH-A2000Xの方が線が細く、ハイハットやシンバルが独特のサラサラした質感になる。分解能はATH-A2000Xの方がやや上。特に一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感は、広さは大差ないが、DT660 Edition 2007の方が明確で把握しやすい。原音忠実性はDT660 Edition 2007の方がやや上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはDT660 Edition 2007の方がやや感じられる。エッジはDT660 Edition 2007の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDT660 Edition 2007の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT660 Edition 2007の方が若干上。厚みはDT660 Edition 2007の方がややある。温かみは微妙。低域が柔らかく響きが豊かなのでATH-A2000Xの方が温かみが感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDT660 Edition 2007の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはATH-A2000Xの方がやや上。ATH-A2000Xの方が線が細く透明感がある、DT660 Edition 2007の方が太く生気がある。ATH-A2000Xの方が上品で繊細、DT660 Edition 2007の方がノリが良い。DT660 Edition 2007の方が切れやスピード感がある。響きはATH-A2000Xの方が豊か。DT660 Edition 2007の方がストレートに音が耳に飛び込んでくる感じで圧力がある。弦楽器はATH-A2000Xの方が繊細、DT660 Edition 2007の方が生楽器らしさが感じられて音色も自然。金管楽器はATH-A2000Xの方が細く綺麗、DT660 Edition 2007の方が太く力強い。どちらかと言うとDT660 Edition 2007の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition 2007の方がややうまい。音の質感の相性は人によって評価が変わってきそうだが、DT660 Edition 2007の方が切れやダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、繊細さや聴き疲れのなさ重視ならATH-A2000X、ノリの良さや生楽器らしさ重視ならDT660 Edition 2007。
HP-DX1000
ATH-A2000Xはやや高音より、HP-DX1000はかなりフラット。低域はHP-DX1000の方がやや量が多く、厚みや圧力がある。ATH-A2000Xの方がやや柔らかい質だが、特にぼやけたりするわけではない。中域はHP-DX1000の方がうわずるような感じで目立つことが多い。ATH-A2000Xの方が癖がない。中高域はHP-DX1000の方がしっかり出る。高域はATH-A2000Xの方がやや量が多く、線が細い。分解能はATH-A2000Xの方がやや上。特に一つ一つの音の微細な描写で勝っている。音場感はHP-DX1000の方がやや広いが、癖がある。ATH-A2000Xの方が音の広がりが自然。原音忠実性はATH-A2000Xの方が若干上。周波数特性上の癖のなさで若干勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。原音の実体感はHP-DX1000の方が感じられる。エッジはATH-A2000Xの方がややきついが、HP-DX1000は中域がキンキンして疲れることがあるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域はATH-A2000Xの方が細く痛いが、ヴォーカルのサ行の痛さはソースによって大きく変わってくるため一概には言えない。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらも非常に良く、甲乙つけがたい。明瞭さについては、ATH-A2000Xは高音よりであるおかげという面があるのに対して、HP-DX1000は中域から中高域が高く目立つ質であるおかげという面がある。厚みはHP-DX1000の方がある程度上。温かみは基本的にはHP-DX1000の方がやや感じられるが、中域のうわずりが目立つようなソースでは温かみどころではないという面はある。ヴォーカルの艶っぽさはATH-A2000Xの方がやや上。ATH-A2000Xの方が線が細く繊細。HP-DX1000の方が迫力や力強さがある。響きはHP-DX1000の方がやや豊か。弦楽器はATH-A2000Xの方が繊細。HP-DX1000は不要な芯が通っているような感じが気になることが多い。金管楽器はどちらも鮮やかだが、ATH-A2000Xの方が細く綺麗、HP-DX1000の方が太い芯が通っているような感じで力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はATH-A2000Xの方がやや良く、切れはほぼ同レベル、ATH-A2000Xは線の細さが合わないと感じることがあるがHP-DX1000はそういうことはない。使い分けるなら、繊細さや中域の癖のなさ重視ならATH-A2000X、音の厚みや力強さ重視ならHP-DX1000。
KH-K1000
ATH-A2000Xはやや高音より、KH-K1000はかなりフラット。低域はKH-K1000の方がやや量が多い。ATH-A2000Xの方が締まっていてかつ弾力があるような質。KH-K1000の方が柔らかい。重心の低さは同レベル。中域はATH-A2000Xの方が若干高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域は質的にも量的にもある程度似ているが、ATH-A2000Xの方が若干明るく金属的。分解能はATH-A2000Xの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同等、ATH-A2000Xの方が明確。原音忠実性は微妙。KH-K1000の方が一聴して違和感が小さいが、原音の粗や生っぽさはATH-A2000Xの方がやや感じられる。エッジはATH-A2000Xの方が若干きつく、聴き疲れしやすい。高域やヴォーカルのサ行の痛さはほぼ同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-A2000Xの方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、ATH-A2000Xの方が硬く締まっているのでそういう意味で違いを感じることはある。温かみはKH-K1000の方が感じられる。低域が多いだけでなく、全体的に柔らかい音であるため。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、KH-K1000の方が柔らかく心地よいので良いと感じることがある。ATH-A2000Xの方が軽快さ、スピード感、躍動感といったもので勝っていてノリが良い。KH-K1000の方が上品でおとなしく聴きやすい。線が細いという意味でどちらも十分な繊細さを持っている。響きはKH-K1000の方がやや豊か。弦楽器はATH-A2000Xの方が繊細で生楽器らしさが感じられる。KH-K1000の方が滑らかで心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならATH-A2000Xの方がやや良い。金管楽器はATH-A2000Xの方が若干明るく鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はATH-A2000Xの方がややうまい。音の質感の相性、切れ、低域の質等、様々な点で少しずつ勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れ重視ならATH-A2000X、心地よさや違和感のなさ重視ならKH-K1000。
MDR-SA5000
どちらもやや高音より。低域はATH-A2000Xの方が若干量が多い。やや柔らかく、弾力があるような質。重心はATH-A2000Xの方が若干低い。中域はどちらもやや高めの音で低域に邪魔されず非常にはっきり聴こえてくる点は似ているが、どちらかと言うと、MDR-SA5000の方がはっきり聴こえてくる。高域は質的にも量的にも多少似ているが、ATH-A2000Xの方が若干細く明るい質。若干ではあるが、ATH-A2000Xがハイハットをシャンと鳴らすところを、MDR-SA5000はチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はほぼ同レベル。音の分離はMDR-SA5000の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はATH-A2000Xの方が若干上。音場感はMDR-SA5000の方がやや広く、遠くから音を鳴らすような感じ。明確さはMDR-SA5000の方がやや上。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性の癖のなさや違和感のなさは大差ないが、どちらかと言うとATH-A2000Xの方が音色に癖があると感じることがある。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはATH-A2000Xの方が若干上。エッジはATH-A2000Xの方が若干きつく、やや聴き疲れしやすい。高域やヴォーカルのサ行の痛さはほぼ同レベルだが、どちらかと言うとATH-A2000Xの方が痛い。明瞭さはMDR-SA5000の方が若干上、音の鮮やかさはATH-A2000Xの方が若干上。厚みはMDR-SA5000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-A2000Xの方がやや感じられる。ATH-A2000Xの方がやや線が細く繊細。切れや制動はMDR-SA5000の方が上なのだが、冷静に淡々と鳴らすためあまりノリの良さは感じない。むしろATH-A2000Xの方が情感や躍動感があって楽しめるという意味でノリが良いと感じることもある。ATH-A2000Xの方が若干付帯音や艶が乗る傾向、MDR-SA5000の方が全体的に硬く締まっていて余計な音を鳴らさず無駄がない。響きはATH-A2000Xの方がやや豊か。弦楽器はどちらも繊細で硬めの音である点が似ている。好みの差だろう。ATH-A2000Xの方が若干柔らかく伸びが良い。金管楽器はATH-A2000Xの方が若干明るく、MDR-SA5000の方が若干太い芯が通っている感じ。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はほぼ同レベル、切れはMDR-SA5000の方が若干上、低域の質はATH-A2000Xの方が合うことが多い。使い分けるなら、低域の量感や線の細さ重視ならATH-A2000X、締まりや制動重視ならMDR-SA5000。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
曲別HP探索2
第28回 All the Things She Said/t.A.T.u.「200km/h in
the Wrong Lane」より
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 5Hz〜45kHz | 101dB | 42Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
298g | 53mm | 3m | 両出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
5 | 4 | 3 | 3 | 4 | 1 | 均(高) | 42100円 |
公開日:2009.7.7