MDR-G75LW

音質
 ややドンシャリ。低域は厚み・量ともにしっかりあるが、極端に過剰であったりぼやけたりはしない。中域は低域に埋もれたりせずに聴こえてくるし、やや高めの音ではあるもののうわずったり嫌味が出たりすることは少ない。高域はしっかり高い音を鳴らすし、なかなか鮮やか。多少金属的な質感。
 分解能及び原音忠実性は価格の割にはなかなか良い。音場感は普通の耳のせサイズのレベル。価格を考えれば特別悪くはないとは思うが、耳覆いのものと比べると劣る。ヴォーカルのサ行等は痛くないが、高域は多少鋭く痛いと感じることはある。ただ、総合的に見るとエッジはあまりきつくなく、それほど聴き疲れしない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。低域の量は多めだが曇ったりしていない点は良い。厚みはしっかりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ノリが良い傾向だが、繊細さもそれなりに感じられる。ノリの良さにしても低域でごり押しするような感じではなく、音の厚みやメリハリに裏づけされたしっかりしたノリの良さ。ドラムや破裂音がやや目立つ感じ。響きは適度からやや豊か。
 弦楽器はそれなり。繊細さ、心地よさ、生楽器らしさ、音の伸び、どれも特別良くもなく悪くもなくといった感じ。様々な点から見て悪い点がないという意味ではなかなか良いのかもしれない。金管楽器はそこそこ鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の厚み、ダイナミックな鳴らし方、音の質感の相性等、どれもそれなりに良く、トータルとしてレベルが高い。
 SONYらしくやや硬質で芯の通った面もあるが、バランスが良く大抵の音楽を楽しく聴ける。なかなかコストパフォーマンスの良い機種。

装着感
 普通。側圧は普通。ネックバンドなので頭頂部がフリーになる点は良い。耳にかける部分がプラスチックな上、装着具合によってはプラスチックに掘ってある溝の部分が耳に当たって余計に痛い。重量は軽く、ずれにくい。
 イヤーパッドは耳のせサイズで、上下方向の角度調節は出きないが、左右方向の角度調節が若干できる。そのため、調節が一切できない普通のネックバンド型と比べると多少フレキシブルな印象。材質は普通のスポンジで肌触りは悪くない。良く見ると、外周部はしっかりパッドがあるが、内周部は薄いフィルター状になっていて内部が透けて見える。そのせいか、全体がフラットなスポンジのものとは装着感が若干違うようにも感じる。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり。デザインは癖がなく良いが、ハウジングに艶があるのが気になる人もいるかもしれない。折りたたみ可能で、ボタンをプッシュするだけでコードが巻きとれる巻きとり機構。かなりの勢いで巻き取るため、慣れるまでは注意が必要。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約1.5mm、布巻きで癖が付きづらく扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周52mm×52mm。

付属品
無し



参考
不定期コラム『第59回 その他のfavorite headphones』

周波数特性グラフ


比較メモ
HS520
HS520はややかまぼこ、MDR-G75LWはややドンシャリ。低域はMDR-G75LWの方が厚みがあり、量も多い。HS520の方が薄く曇ったような低域。中域はMDR-G75LWの方がやや高い音なのだが、HS520の方が上ずって張り出すような感じで目立つ。ただ、HS520は曇ったような質なのであまり明瞭に聴こえてくる印象ではない。高域はMDR-G75LWの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-G75LWの方が上。HS520は塗りつぶしたようにのっぺりとした質感。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、HS520は装着位置が普通の機種よりも下なので、多少違う聴こえ方をする。原音忠実性はMDR-G75LWの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはMDR-G75LWの方がややきついが、HS520の方が中域が張り出してキンキンするような感じで疲れることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-G75LWの方が上。厚みはMDR-G75LWの方がある。HS520の方がぬるま湯のような感じで温かみがあるように感じられる面もあるのだが、生楽器や人声のリアルな温かみという意味ではMDR-G75LWの方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-G75LWの方が上。MDR-G75LWの方がかなりノリが良い。響きはMDR-G75LWの方がやや豊か。弦楽器はMDR-G75LWの方がうまい。HS520はとにかく生楽器らしさが不足。金管楽器はMDR-G75LWの方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。低域の質感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-G75LW、よほど低域と高域が控え目な方が良いときだけHS520。

KSC24
KSC24は低音よりのドンシャリ、MDR-G75LWはややドンシャリ。メーカーが違う割には比較的似た音。低域はKSC24の方がやや量が多い。MDR-G75LWが比較的平らなのに対して、KSC24は100Hz付近がやや膨らんでいる。中域はMDR-G75LWの方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量的にはかなり近いが、KSC24の方が若干細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ同レベル。音の分離はMDR-G75LWの方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はKSC24の方が若干上。音場感はほぼ同等だが、どちらかと言えばKSC24の方が広く明確。原音忠実性はMDR-G75LWの方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、原音の粗や生っぽさの感じられる度合いも若干勝っているように感じる。KSC24の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはMDR-G75LWの方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはKSC24の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC24の方が若干上。どちらもノリが良い傾向だが、MDR-G75LWの方がやや制動が効いている感じ。響きはKSC24の方がやや豊か。両機種ともどことなくメーカーの色が出ていて、KSC24はKOSSらしさ、MDR-G75LWはSONYらしさがあるように感じられる。KSC24の方が伸び伸びしていて、MDR-G75LWの方が芯に硬さがある感じ。弦楽器はKSC24の方が繊細でうまい。金管楽器は甲乙つけがたい。好みの差だろう。KSC24の方が細く綺麗、MDR-G75LWの方が金属的。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。音の質感の相性に差がある。使い分けるなら、低域の量が欲しい場合はKSC24、そうでもない場合はMDR-G75LW。あるいは、温かみや繊細さ重視ならKSC24、明瞭さやメリハリ重視ならMDR-G75LW。ただし、そう大きな違いはない。

MDR-570LP
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-570LPの方がやや量が多い。MDR-570LPの方がぼやけたり曇ったりする。重心の低さはほぼ同レベル。中域はMDR-G75LWの方が明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-G75LWの方が若干量が多い。明るい質で目立つ。どちらもややざらつくようなところがあるが、どちらかと言うとMDR-570LPの方がざらつきが少ない。分解能はMDR-G75LWの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろMDR-G75LWの方が若干上。音場感は、MDR-570LPの方が若干広く、MDR-G75LWの方が明確で把握しやすい。原音忠実性はMDR-G75LWの方がやや上。MDR-570LPは低域が多すぎる点がマイナス。原音の粗や生っぽさはMDR-G75LWの方が若干感じられる。エッジはMDR-G75LWの方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとMDR-G75LWの方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-G75LWの方が上。厚みはMDR-G75LWの方がややある。温かみは曇っている分MDR-570LPの方が感じられるが、それを除けば大差ない。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。線の細いコーラスはMDR-G75LWの方が美しいが、低めのヴォーカルはMDR-570LPの方がスモーキーで良いと感じることもある。MDR-G75LWの方が明るく元気でノリが良い。MDR-570LPの方が低域の量に基づく迫力がある。響きはMDR-570LPの方がやや豊かでこもり感が気になる。ある程度違う音を鳴らす2機種だが、共通点も多く同一メーカーらしいと感じることも多い。弦楽器は基本的にはMDR-G75LWの方が生楽器らしさが感じられて良いが、心地よさ最優先ならMDR-570LPの方が良いこともあるだろう。金管楽器はMDR-G75LWの方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。切れや低域の質で勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-G75LW、MDR-G75LWでは低域の量が足りないとか明るすぎるという不満があるならMDR-570LP。

MDR-Q36LW
MDR-G75LWはややドンシャリ、MDR-Q36LWはかなりフラット。低域は質的にはそれなりに似ているが、MDR-G75LWの方がやや量が多い。中域はMDR-Q36LWの方が低域の量に負けずにはっきり聴こえてくるが、質的に上ずったり不自然に張り出したりするようなところがあり良くない。高域はMDR-G75LWの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-G75LWの方がやや上。音場感はMDR-G75LWの方がやや広く明確。原音忠実性MDR-G75LWの方が上。MDR-Q36LWはどうしても中域の癖が気になる。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、MDR-Q36LWの方が中域が張り出したりするせいで疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-G75LWの方が上。厚みはMDR-G75LWの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-G75LWの方がやや上。MDR-G75LWの方がノリが良い。しっかりメリハリがある感じ。響きはMDR-G75LWの方がやや豊か。おおまかな傾向は比較的近いが、MDR-G75LWの方が全体的にワンランク上のように感じる。弦楽器はMDR-G75LWの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-G75LWの方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。低域の量感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な面で勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-G75LW、MDR-G75LWではよほど低域や高域の量が多いと感じるときだけMDR-Q36LW。

PMX60
MDR-G75LWはややドンシャリ、PMX60はかなりフラット。低域はMDR-G75LWの方が厚みがあり量もやや多い。PMX60の方が薄く曇ったような低域。中域はMDR-G75LWの方が曇りなくやや高い音ではっきり聴こえてくる。中高域はMDR-G75LWの方がかなりしっかり出る。高域はMDR-G75LWの方が太くて明るい。PMX60は細くて地味。分解能はMDR-G75LWの方がやや上。音の分離に差がある。音場感はMDR-G75LWの方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはPMX60の方がやや上のように感じるが、原音の粗や生っぽさはMDR-G75LWの方が感じられる。エッジはMDR-G75LWの方がややきつい上、中域が張り出したりして疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-G75LWの方が上。PMX60は全体的に薄く曇ったような音。厚みはMDR-G75LWの方がある。PMX60の方がぬるま湯のような感じで温かみがあるように感じられるが、生楽器や人声のリアルな温かみという意味ではMDR-G75LWの方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはPMX60の方がやや上。基本的にはあまり大きな差はないのだが、MDR-G75LWの方が上ずるように感じることがあるし、擦れもやや気になる。MDR-G75LWの方がノリが良く、PMX60の方が滑らかで繊細。響きはPMX60の方がやや豊か。MDR-G75LWの方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はPMX60の方が心地よいが、生楽器らしさが欲しいならMDR-G75LWの方が良い。金管楽器はMDR-G75LWの方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。低域の量感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、ノリが良い方が良いならMDR-G75LW、おとなしい方が良いならPMX60。

RH-L20
MDR-G75LWはややドンシャリ、RH-L20はかなりフラット。低域はMDR-G75LWの方が若干量が多い。ローエンドはRH-L20の方がやや量が多く、中低域はMDR-G75LWの方がやや量が多い。RH-L20の方がやや締まりや制動が感じられる。重心はRH-L20の方がやや低い。中域はRH-L20の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。RH-L20はソースによってはうわずるような癖が気になることがあるが、MDR-G75LWはそういうことはない。高域はMDR-G75LWの方が若干量が多い。MDR-G75LWの方がややざらつく感じ。分解能はRH-L20の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとRH-L20の方が勝っている。音場感はRH-L20の方が若干広く明確。原音忠実性はRH-L20の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ないが、MDR-G75LWはざらつく感じが気になる。原音の粗や生っぽさはRH-L20の方が若干感じられる。エッジはRH-L20の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域はMDR-G75LWの方がやや痛い、ヴォーカルのサ行はRH-L20の方がやや痛い。明瞭さはRH-L20の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはMDR-G75LWの方が若干ある。温かみはMDR-G75LWの方が若干感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは大差ないが、ソースによってはMDR-G75LWのサラサラした質感が魅力的に感じられることがある。どちらも明るくノリが良い傾向だが、RH-L20の方がやや切れやスピード感がある。響きはMDR-G75LWの方が若干豊か。弦楽器は、MDR-G75LWの方が低域が柔らかい分チェロやコントラバスが心地よく聴ける、RH-L20の方が質感が自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、RH-L20の方が癖がない。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感は基本的には大差なく、切れはRH-L20の方がやや良いのだが、MDR-G75LWは独特の相性の良さが発揮されることがある。使い分けるなら、温かみやサラサラした質感を求めるならMDR-G75LW、原音忠実性や切れを求めるならRH-L20。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 12Hz〜24kHz 106dB 24Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
60g 30mm 1m 片出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 3 2 2 4 3 均(低、高) 3200円

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公開日:2008.3.19

※生産終了