KSC24
音質
低音よりのドンシャリ。低域は厚み・量ともに十分。柔らかい質感で、締まりは感じられない。ソースによってはやや歪みが気になることがある。中域はやや低域に負けるが、低域の量の割にははっきり聴こえてくると言える。大きな癖はないが、若干高めの音でソースによっては張り出すような感じになる点が気になることがある。中高域から高域はしっかり高い音を鳴らしてくれるし、特に不満はない。量的には低域ほど多くはない。
分解能及び原音忠実性は価格の割にはなかなか良い。ただし、基本的には原音忠実性よりも音楽を楽しく聴かせることに重点を置いた音作りになっている。音場感は普通の耳のせサイズのレベル。価格を考えれば特別悪くはないとは思うが、耳覆いのものと比べると劣る。エッジはそれほどきつくないが、ソースによっては低域が強すぎて聴き疲れする事もある。
低域が強いため明瞭さはいまいちだが、特別悪くはない。音の鮮やかさはそれなり。厚みはしっかりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。ただし、ヴォーカルはソースによっては張り出すような感じで良くないことがある。かなりノリが良いが、繊細さも持ち合わせている。響きはやや豊か。
弦楽器はなかなか心地よいが、もう少し繊細さが欲しかったところ。金管楽器はそこそこ鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、低域の柔らかさや切れのなさがあまり合わないが、ノリの良さで十分聴かせてくれる。
KSC75やPortaProと似た音を鳴らす、コストパフォーマンスの良い機種。
装着感
良好。側圧は普通。ネックバンドなので頭頂部がフリーになる点は良い。耳にかける部分がプラスチックなので、長時間使用すると耳が痛くなる。重量は軽く、ずれにくい。
イヤーパッドは耳のせサイズで、上下方向にも左右方向にも角度調節ができない。材質は普通のスポンジで肌触りは悪くない。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。
作りは価格なり。デザインは人を選ぶかもしれないが、悪くはない。折りたたみ可能。
プラグはL型ミニプラグ。コードの太さは約2mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周50mm×50mm。
付属品
無し
参考
周波数特性グラフ
比較メモ
iGrado
iGradoは低音より、KSC24は低音よりのドンシャリ。低域はKSC24の方がやや量が多い。iGradoがローエンドまで比較的平らで全体的に量が多いのに対して、KSC24は100Hz前後に山がある感じ。中域はKSC24の方が低域に埋もれず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はKSC24の方が高い音で量も多い。iGradoは低域が支配的だが、KSC24はそれほどでもない。分解能はKSC24の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ勝っている。音場感はKSC24の方が明確で、広さもやや広いように感じる。原音忠実性はKSC24の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。KSC24の方がエッジがきつく聴き疲れするが、これはむしろiGradoのエッジがきつくなさ過ぎると言うべきだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC24の方が上。厚みはiGradoの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、iGradoの方が曇っている分温かみがあるように感じる傾向がある。また、ヴォーカルはKSC24の方がやや高く線の細い鳴らし方。どちらもノリが良い傾向だが、iGradoはKSC24と比べるとメリハリがなく鈍重。響きはKSC24の方がやや豊か。弦楽器はKSC24の方が繊細で生楽器らしさが感じられる。金管楽器はKSC24の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はKSC24の方がうまい。明るくメリハリがあるし、音の質感の相性も上。使い分けるなら、基本的にはKSC24、よほど聴き疲れを避けたいときや高域が少ない方が良いときだけiGrado。
KSC75
KSC24は低音よりのドンシャリ、KSC75はややドンシャリ。全体的にかなり似た音。低域はKSC24の方がやや量が多く、ソースによっては歪みが気になる。中域はKSC24の方がやや高い音だが、低域の量に負ける面もあり、トータルとしての聴こえやすさとしてはKSC75とほぼ同じくらい。高域はかなり似ているが、KSC75の方が若干細く高い音。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばKSC75の方が上。音場感はどちらかと言えばKSC24の方が広い。原音忠実性はKSC75の方がやや上。原音の粗や生っぽさの感じられる度合いが若干上。KSC75の方が若干エッジがきついが、KSC24は低域の量が多すぎたり中域が張り出したりするために疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が若干上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、ヴォーカルはKSC24の方がやや高い音でソースによっては張り出す感じで痛いので、そういったソースではKSC75の方が良い。どちらもノリが良い傾向だが、どちらかと言えばKSC75の方が繊細。響きはKSC24の方がやや豊か。弦楽器はKSC75の方が若干繊細さがありうまい。金管楽器はほぼ互角だが、KSC75の方が若干明るくて良いか。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。KSC24は低域が多すぎること、KSC75の方が若干明るいことから、どちらかと言えばKSC75の方がうまい。音はかなり近いので、装着方法で使い分けるのが良いだろう。あえて音で使い分けるなら、低域の量が欲しいときはKSC24、そうでもないときはKSC75。
LPSP-11000
KSC24は低音よりのドンシャリ、LPSP-11000はやや低音より。低域はKSC24の方が厚み・量ともに上。LPSP-11000の方が薄く曇っている感じ。LPSP-11000は比較的平らだが、KSC24は膨らんでいる感じ。中域はKSC24の方が曇らずはっきり聴こえる印象を受ける。高域はKSC24の方が高い音でかなり量が多い。分解能はKSC24の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ勝っている。音場感はKSC24の方がやや広く明確。原音忠実性はKSC24の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはKSC24の方がきつく、やや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC24の方がかなり上。厚みはKSC24の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC24の方が上。KSC24の方がノリが良くかつ繊細。響きはKSC24の方が豊か。弦楽器はKSC24の方が繊細かつ心地よいし、生楽器らしさも感じられる。金管楽器はKSC24の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はKSC24の方がうまい。明るくノリが良いため。使い分けるなら、基本的にはKSC24、よほど聴き疲れを避けたいときや高域が少ない方が良いときだけLPSP-11000。
MDR-G75LW
KSC24は低音よりのドンシャリ、MDR-G75LWはややドンシャリ。メーカーが違う割には比較的似た音。低域はKSC24の方がやや量が多い。MDR-G75LWが比較的平らなのに対して、KSC24は100Hz付近がやや膨らんでいる。中域はMDR-G75LWの方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量的にはかなり近いが、KSC24の方が若干細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ同レベル。音の分離はMDR-G75LWの方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はKSC24の方が若干上。音場感はほぼ同等だが、どちらかと言えばKSC24の方が広く明確。原音忠実性はMDR-G75LWの方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、原音の粗や生っぽさの感じられる度合いも若干勝っているように感じる。KSC24の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはMDR-G75LWの方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはKSC24の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC24の方が若干上。どちらもノリが良い傾向だが、MDR-G75LWの方がやや制動が効いている感じ。響きはKSC24の方がやや豊か。両機種ともどことなくメーカーの色が出ていて、KSC24はKOSSらしさ、MDR-G75LWはSONYらしさがあるように感じられる。KSC24の方が伸び伸びしていて、MDR-G75LWの方が芯に硬さがある感じ。弦楽器はKSC24の方が繊細でうまい。金管楽器は甲乙つけがたい。好みの差だろう。KSC24の方が細く綺麗、MDR-G75LWの方が金属的。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。音の質感の相性に差がある。使い分けるなら、低域の量が欲しい場合はKSC24、そうでもない場合はMDR-G75LW。あるいは、温かみや繊細さ重視ならKSC24、明瞭さやメリハリ重視ならMDR-G75LW。ただし、そう大きな違いはない。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | - | 18Hz〜22kHz | 102dB | 60Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
54g | - | 1.2m | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 4 | 2 | 2 | 4 | 3 | 低(高) | 2900円 |
公開日:2008.3.19