KSC75

音質
 やや低音よりのドンシャリ。低域は十分な量と厚み。やや柔らかい質感で、締まりは感じられない。中域は低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。中高域から高域はしっかり高い音を鳴らしてくれるし、力強く楽しめる。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格の割にはかなり良い。ただし、基本的には原音忠実性よりも音楽を楽しく聴かせることに重点を置いた音作りになっている。エッジはそれほどきつくなく、あまり聴き疲れしない。
 明瞭さ、音の鮮やかさともにそれなり。厚みはかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。かなりノリが良いが、繊細さも持ち合わせている。響きはやや豊か。
 弦楽器はなかなか心地よいが、もう少し繊細さが欲しかったところ。金管楽器は力強く迫力がある。打ち込み系の音の表現は、低域の柔らかさや切れのなさがあまり合わないが、ノリの良さで十分聴かせてくれる。
 PortaProとほとんど同じ音を鳴らす。非常にコストパフォーマンスの良い機種。

装着感
 普通。耳にかける部分がプラスチックなので、メガネをしている人はかなりつらそう。フックが動かない構造なので、慣れるまで装着するのに手間取る。
 イヤーパッドは上下左右に角度調節ができるが、調節できる範囲は狭い。材質は普通のスポンジで肌触りは悪くない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり、デザインはこれと言って特徴がない。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3.5mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周50mm×50mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

不定期コラム『第59回 その他のfavorite headphones』

周波数特性グラフ


比較メモ
EHP-820
EHP-820はかなりフラット、KSC75はやや低音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方がかなり低い音を鳴らしてくれるし、量もやや多い。中域はどちらも低域に負けるが、EHP-820は低域の薄い曇りに覆われる印象、KSC75は低域の量に負ける印象。高域はKSC75の方がかなり高い音を鳴らすし、目立つ。分解能及び音場感はKSC75の方が上。音の分離が良いだけでなく、細部の表現もうまい。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820はあまり変な癖はないのだが全体的に曇っていて細かい音を鳴らしてくれない感じ、KSC75は原音忠実性よりも音楽を楽しめるように徹底的に味付けしてある感じ。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてKSC75の方が上。KSC75の方がかなりノリが良いが、それでいて繊細さもある。EHP-820はただ漠然と鳴らしている感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はKSC75の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、付帯音の無さという意味ではEHP-820の方が相性が良いのだろうが、KSC75の方が低域をしっかり出してくれるし音の厚みやスピード感が上なので、総合的に見るとKSC75の方が良いだろう。得意分野はEHP-820がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良い。

HP-AL700
HP-AL700はやや低音より、KSC75はややドンシャリ。低域はHP-AL700の方が量が多いが、厚みはKSC75の方があるように感じる。中域はKSC75の方が曇りなくしっかり聴こえてくる。高域はKSC75の方が細く高い音を鳴らす。分解能はKSC75の方が上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はあまり差がない。HP-AL700は低域がやや支配的で曇っているように感じるし細部の表現が苦手。KSC75は元気が良すぎる。KSC75の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がかなりある。温かみはどちらかと言えばHP-AL700の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が感じられる。KSC75の方がノリが良くかつ繊細。響きはKSC75の方が豊かだが、HP-AL700は低域の量が多いこと等から響きが豊かと誤解を受けそうではある。弦楽器はKSC75の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現もKSC75の方がうまい。音の厚みやスピード感が段違い。得意分野はHP-AL700がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良いだろうが、よほど聴き疲れが気になる人はHP-AL700の穏やかな音を好むかもしれない。

KSC24
KSC24は低音よりのドンシャリ、KSC75はややドンシャリ。全体的にかなり似た音。低域はKSC24の方がやや量が多く、ソースによっては歪みが気になる。中域はKSC24の方がやや高い音だが、低域の量に負ける面もあり、トータルとしての聴こえやすさとしてはKSC75とほぼ同じくらい。高域はかなり似ているが、KSC75の方が若干細く高い音。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばKSC75の方が上。音場感はどちらかと言えばKSC24の方が広い。原音忠実性はKSC75の方がやや上。原音の粗や生っぽさの感じられる度合いが若干上。KSC75の方が若干エッジがきついが、KSC24は低域の量が多すぎたり中域が張り出したりするために疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が若干上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、ヴォーカルはKSC24の方がやや高い音でソースによっては張り出す感じで痛いので、そういったソースではKSC75の方が良い。どちらもノリが良い傾向だが、どちらかと言えばKSC75の方が繊細。響きはKSC24の方がやや豊か。弦楽器はKSC75の方が若干繊細さがありうまい。金管楽器はほぼ互角だが、KSC75の方が若干明るくて良いか。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。KSC24は低域が多すぎること、KSC75の方が若干明るいことから、どちらかと言えばKSC75の方がうまい。音はかなり近いので、装着方法で使い分けるのが良いだろう。あえて音で使い分けるなら、低域の量が欲しいときはKSC24、そうでもないときはKSC75。

OMX52
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、OMX52はかなりフラット。低域はKSC75の方がかなり出る。中域はOMX52の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はKSC75の方がかなり高く尖った音を鳴らす。分解能は音の傾向がかなり違うため判断が難しいが、KSC75の方がやや上か。音場感はKSC75の方が上。原音忠実性はOMX52の方が上。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはOMX52の方がやや上、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。KSC75の方がノリが良い。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はOMX52の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかだが、癖がありすぎて受け付けない人も多そう。打ち込み系の音の表現はKSC75の方がうまい。得意分野はKSC75はロック、OMX52はポップス。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならKSC75、癖のなさ重視ならOMX52。

PHP-200
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、PHP-200はやや高音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方が若干低い音でかなり量が多い。中域はPHP-200の方が低域の邪魔がない上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はPHP-200の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感、原音忠実性はKSC75の方がやや上。PHP-200の方がエッジがきつい上に硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域の量の少なさと音の硬さからPHP-200の方がやや良いように感じる。厚みは音の質感がかなり違うため比較が難しい。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方がかなり上。どちらもノリが良いが、KSC75は繊細さも持ち合わせている反面PHP-200は繊細さはない。響きはKSC75の方がやや豊か。一番の違いは、KSC75がやや柔らかい音であるのに対して、PHP-200がかなり硬い音であることだろう。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はPHP-200の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はPHP-200の方がややうまい。音の硬さがマッチしている印象。得意分野はKSC75がロック、PHP-200がポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音を明るく硬い音で楽しみたいときやブラスメインの曲はPHP-200、それ以外はKSC75。

PortaPro
どちらもやや低音よりのドンシャリ。非常に良く似た音。低域はPortaProの方がやや量が多いが、質は良く似ている。中域は低域が弱い分KSC75の方が多少はっきり聴こえてくる感じ。中高域はほとんど同じ音だが、高域はPortaProの方が若干とがった音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等。エッジのきつさもほぼ互角だが、低域の量が多いことと高域のとがりのせいでPortaProの方が若干聴き疲れするかもしれない。明瞭さは低域が出ない分KSC75の方がやや上、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもほぼ互角。どちらもノリが良いが、最低限の繊細さは持ち合わせている点も良く似ている。単にノリの良さだけなら低域が出る分PortaProの方がやや良いか。響きはほぼ互角。やや柔らかめな音。弦楽器はどちらもそれなりに心地よいが、繊細さがやや足りない。PortaProは低域が出すぎだろう。金管楽器はどちらも力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域の締まりのなさが合わない感はあるが、ノリの良さで乗り切っている。得意分野はどちらもロック。装着方法の違いだけで、音はほとんど同じなので、装着方法で使い分けるのが良いだろう。あえて音で使い分けるなら、低域の量が欲しいときはPortaPro、そうでもないときはKSC75。

SE-EX9
どちらもややドンシャリ。低域は、量的には大きな差はないが、KSC75の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、SE-EX9の方が低域と分かれるような感じで多少目立つ。高域はSE-EX9の方が硬く金属的な鳴らし方。分解能はほぼ互角。音の分離はSE-EX9の方がやや良いが、微細な描写はKSC75の方がやや良い。音場感はSE-EX9の方が立体的で明確。原音忠実性は微妙。全体的な周波数特性の癖のなさではKSC75の方が良いが、原音の粗や生っぽさはSE-EX9の方が感じられる。KSC75の方がエッジがきついが、SE-EX9の方が音の圧力があるので、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-EX9の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはSE-EX9の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。どちらもノリが良い。KSC75は勢いや元気の良さがある感じ、SE-EX9は厚みや切れがある感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで甲乙つけがたい。打ち込み系の音の表現はSE-EX9の方がうまい。低域の質感、厚み、切れ、冷たい感じが合う。得意分野はKSC75がロック、SE-EX9がポップス。使い分けるなら、柔らかい音を求めるならKSC75、硬い音を求めるならSE-EX9。

SHS4701
KSC75はややドンシャリ、SHS4701はやや低音より。低域はKSC75の方がやや量が多い。KSC75の方がやや柔らかい質、SHS4701の方が塗りつぶしたような癖のある質。重心はKSC75の方がやや低い。中域はSHS4701の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、これは張り出すような癖があるおかげである面が大きい。KSC75はそういう癖はない。高域はKSC75の方がある程度量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はKSC75の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はKSC75の方がやや広い。SHS4701の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はKSC75の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはKSC75の方が感じられる。エッジはKSC75の方がきついが、SHS4701の方が中域の張り出しで疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろKSC75の方がやや痛い。明瞭さはSHS4701の方が若干上、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方がかなり感じられる。KSC75の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがある。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はKSC75の方が鮮やかで、音の割れ方や倍音の表現をしっかりこなしてくれる。打ち込み系の音の表現はKSC75の方がややうまい。音の質感の相性は人によって評価が変わってきそうだが、KSC75の方が厚みやダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはKSC75、KSC75では高域の量が多すぎるとか響きが豊かすぎるという不満があるならSHS4701。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生














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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 15Hz〜25kHz 101dB 60Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
33g - 1.2m 両出し(Y型) 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 3 2 2 3 4 均(低、高) 2200円

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公開日:2006.4.5