第59回 その他のfavorite headphones

 これまで「価格別favorite headphones」シリーズでオーバーヘッド型とカナル型については取り上げてきましたが、それ以外のものにもfavoriteなものがありますので、今回はそれを紹介したいと思います。と言っても、あまり価格に幅がありませんし製品数も多くないので、それぞれのタイプについて1つずつ選ぶことにしたいと思います。


KSC75(耳かけ型、KOSS)
 本当はだいぶ前からSE-EX9を取り上げようと思っていたのですが、残念ながら生産終了で入手困難になってしまったので別のものを選びました。かなり古くからある製品でコストパフォーマンスの高さには定評があるので、正直今更な感はありますが・・・・・・
 音はPortaProと良く似ています。構造が似ている上にインピーダンスや感度等のスペックがほとんど同じですし、代理店のサイトには「PortaProと同等」とまで書いてあります。7千円前後で売られているPortaProもコストパフォーマンスが悪いという評価はあまり見かけませんから、それと良く似た音を鳴らすKSC75が2千円台で買えてしまうのは非常にお得と言えるでしょう。装着方式にこだわらないなら、最もコストパフォーマンスの良いヘッドホンの一つだと思います。ハンガーが本体から外れやすく普通に使っていても外れることがあるため、知らないと壊してしまったかと思って心臓に悪いのが玉にキズです。

MDR-G75LW(ネックバンド型、SONY)
 耳かけ型もそうなのですが、新製品が少なく選択肢が狭まりつつあるタイプです。どちらも携帯性を売りにしたポータブル用の製品が多いにもかかわらず、遮音性が低く音漏れが多い傾向があるのが問題なのでしょうか・・・・・・ MDR-G75LWもご多分に漏れず遮音性が低く音漏れが多いです。折りたたみ可能でコード巻きとり機構まであるのに、残念なことです。
 音は、私が所有しているネックバンド型の中では比較的バランスが良く、どちらかと言うと明るく爽やかな傾向です。SE-A1000やSHP8900のような音を好む人がネックバンド型を使いたいなら適任だと思います(とは言えそこまで明るくはありませんが)。ネット上では装着感についての不満が多いようで、確かに私も多少問題はあると思いますが、ネックバンド型としては普通の範疇だと思います。

EP-AVNAIR(インナーイヤー型、CREATIVE)
 耳かけのインナーイヤー型ですが、単にインナーイヤー型代表として選びました。ご存知の通り、数年前からカナル型にシェアを奪われるような形で減り続けているタイプです。その最大の原因は、おそらく耳かけ型やネックバンド型と同じで遮音性が低く音漏れが多いことだと思います。
 音は個性的ですが、入力された信号をそのまま鳴らすかどうかという意味では他のインナーイヤー型と比べて悪いということはないと思います。個性的なのは、音の分離の良さ、定位の明確さ、しっかりした厚みのある低域の質といったあたりです。人それぞれ他にも色々とあるでしょうが、個人的に特にこの3点に関してインナーイヤー型としては異常とも言える音ではないかと思います。世間の評価を平均すると、だいたい定価(19800円)くらいの価値があると思われているようです。実売価格は7千円を切ることもあるので、コストパフォーマンスはかなり良いと思います。現状では代わりがないという意味でコストパフォーマンスはあまり意味がないような気もしますが。

P9(バーチカル型、KOSS)
 ヘッドホンを沢山持っている人でも、このタイプは持っていないこともあるのではないでしょうか。ひとことでバーチカル型と言っても装着方式によってオーバーヘッド型、耳かけ型、ネックバンド型等がありますが、今回選んだP9はネックバンド型です。価格が価格だけに作りはかなり安っぽいですし、稼動部が一切ないので装着感が合わない人には合わないでしょう。個人的には特に問題はありませんが・・・・・・
 音は、KOSSらしく安いなりに音楽を楽しく聴けるような音作りがなされているような印象です。明るい音色に加えて硬い質感で、打ち込み系の音との相性が良いです。バーチカルだと音が柔らかく広がるため切れを求めるには合わないことが多いですが、P9は切れを求める場合にも比較的合うと思います。KOSSはPortaProやThe Plugが有名なので低音が豊かというイメージを持っている人もいるようですが、P9はそれらの機種と比べるとかなり低音が控え目です。バーチカル型だと音のイメージが湧かない人も多いと思いますが、単に1500円のイヤホンと考えても悪くない音だと思うので、興味のある方は是非使ってみて欲しいと思います。


 今回は比較的安価なものばかりになりましたが、現状では高価なヘッドホンのほとんどはオーバーヘッド型とカナル型に分類されるため、それらを除いた今回の内容では当然の結果だと思います。最近は新製品の数としてもオーバーヘッド型とカナル型がかなりの割合を占めているので、個人的には「もっとばらけてくれた方がおもしろいのに」と思わなくもないです。オーバーヘッド型とカナル型以外のタイプについてもニーズがないわけではないですし、ライバル製品が少ないぶん良いものを出せばヒットする可能性もあるはずです。
 さて、今回はこんなところでしょうか。前回と同じくまたしてもかなり間が空いてしまったので、次はもう少し早くやりたいと思います。オーバーヘッド型になるかカナル型になるかは未定ですが、いずれにせよfavoriteなヘッドホンはまだ沢山あるので、ネタには困りそうにありません。







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