P9

音質
 かなりフラット。低域はある程度締まっていて、しかも十分低い音を鳴らしてくれる。中域は低域に邪魔されることなくはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はやや高めの音でシャリつく感じはあるものの、全体を見渡したときにそれほど気になるような悪さは無い。
 分解能は価格の割にはなかなか良い。音の分離は普通に良いと感じられるし、細部の表現は粗が目立つものの頑張ろうとしている点は評価できる。音場感はバーチカルらしくインナーイヤーとは思えない広がりを見せてくれる。全体的にやや明るい鳴らし方で低域の曇り等もないので、音場感の良さが素直に感じられる。原音忠実性はあまり良くないが、これは基本的にポップス等を明るく楽しむ方向性の音作りであるためだろう。エッジはややきつめだが、それほど聴き疲れしないレベル。むしろ適度な刺激に感じる。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通からやや厚め。温かみはいまいち。ヴォーカルの艶っぽさはそれなりで、良いとは感じないが、特別悪いとも感じない。全体的に軽快なノリの良さが感じられる。響きは適度。
 弦楽器はいまいち。どちらかと言うと澄んだ鳴らし方だが、そうは言ってもあまり繊細な表現はうまくないし、弦楽器の温かみもあまり感じられない。金管楽器は高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。厚み、切れ、スピード感、低域の質感、すべてある程度のレベルに達していて、素直にノリ良く楽しめる。
 ポップスやロックを明るく爽やかに楽しみたいなら、かなりコストパフォーマンスの良い機種。

装着感
 良好。側圧は普通で、ずれにくいが、HP-SN51と比べると若干違和感がある。ネックバンドなので頭頂部がフリーになる点は良い。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
 作りは安っぽいが、価格なりではあるだろう。デザインはなかなか良いが、メッキ部分が安っぽいと感じる人も多いかもしれない。コードにボリュームコントロールが付いているが、実用に堪えるレベル。
 プラグはL型ミニプラグ。コードの太さは約2mm、やや硬いがそれほど扱いづらくはない。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

不定期コラム『第59回 その他のfavorite headphones』

比較メモ
HP-SN51
HP-SN51はやや低音より、P9はかなりフラット。低域はHP-SN51の方が曇っていて量が多い。P9の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はP9の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はP9の方がやや高い音で目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてP9の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろP9の方が上。音場はP9の方がすっきりと広く、明確。HP-SN51は低域から中域にかけて癖が気になるが、P9はHP-SN51と比べると気にならない。P9の方がエッジがきついが、HP-SN51は曇りのせいで聴き疲れする面もあるので、どちらが疲れるかはソースや聴く人によるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。P9の方がノリが良くかつ繊細。響きはP9の方が豊かだが、HP-SN51は曇りのせいで響きが豊かと感じる人も多そう。弦楽器はP9の方がうまい。HP-SN51は生楽器を鳴らしている感触に乏しい。金管楽器はP9の方が鮮やかで、それほど不自然な感じもしない。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。低域の質感でかなり勝っている。ほとんど何を聴くにしてもP9の方が良いだろう。

PX10
P9はかなりフラット、PX10はやや高音より。低域は大きな差はないが、P9の方が締まっていてやや低い音を鳴らす。中域はP9の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量よりも質が違う感じ。P9の方が硬く金属的。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角レベルだが、音場感はどちらかと言えばP9、原音忠実性はどちらかと言えばPX10の方が上のように感じる。P9の方が若干エッジがきつく、元気な鳴らし方なので聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばPX10の方が良いように感じる。ノリの良さならP9、繊細さならPX10。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細で滑らかな感じ。金管楽器はP9の方が鮮やかで元気が良い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、明るく元気に楽しみたいならP9、あくまで自然に聴きたいならPX10。

SE-E22
P9はかなりフラット、SE-E22はややドンシャリ。低域はSE-E22の方がやや量が多い。SE-E22の方が柔らかくぼやけた質。重心はSE-E22の方がやや低い。中域はP9の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖がない。高域はSE-E22の方が若干量が多い。どちらも明るい質で目立つが、ハイハットやシンバル等の高いところはSE-E22の方がしっかり出る。SE-E22の方が粗が気になる。分解能はP9の方がやや上。音の分離はP9の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はP9の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感は、SE-E22の方がやや広く、P9の方が明確。原音忠実性はP9の方がかなり上。一聴して違和感がない。原音の粗が感じられる度合いは大差ないが、SE-E22は粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。生っぽさはP9の方が若干感じられる。エッジはSE-E22の方がきつく聴き疲れしやすい。高域はSE-E22の方がやや痛い、ヴォーカルのサ行はP9の方がやや痛い。明瞭さはP9の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはSE-E22の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはP9の方がやや感じられる。SE-E22は艶っぽさ以前に癖が強すぎて大抵のヴォーカルはまともに聴けない印象。どちらも明るくノリが良い。P9の方が切れやスピード感がある。SE-E22の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはSE-E22の方がやや豊か。SE-E22の方がドラムや破裂音が目立つ。P9の方が全体的に硬く締まっていて余計な音を鳴らさず無駄がない。SE-E22の方が歪みや濁りが気になる。弦楽器はP9の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、P9の方が癖がない。打ち込み系の音の表現はP9の方がややうまい。切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはP9、P9では低域の量が少ないとか刺激に欠けるという不満があるならSE-E22。

SX10
P9はかなりフラット、SX10はやや低音より。低域はSX10の方がかなり量が多いが、薄く曇っている感じで、P9の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす感じ。中域はP9の方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はP9の方が高い音で目立つ。分解能はP9の方が上。音場感はほぼ互角だがどちらかと言うとP9の方が良いように感じる。原音忠実性はP9の方が上。SX10は低域の曇りが致命的に感じるし、原音の粗が感じられない。P9の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはP9の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはP9の方があるように感じる。温かみはSX10の方が感じられるが、これは低域の質感によるもので、それを除けば大差ない。ヴォーカルの艶っぽさはP9の方が上。どちらも基本的にノリが良い傾向。P9はメリハリがあり、SX10は圧力がある。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はSX10の方が滑らかで心地よいが、生楽器を鳴らしているという感じがほとんどしない。そういう意味ではP9の方が良い。ただし、多少粗っぽい。金管楽器はP9の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。SX10は切れがまったく感じられない。使い分けるなら、基本的にはP9、余程低域の量や音の圧力が欲しい場合だけSX10。













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 40Hz〜20kHz 102dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
18g - 1.2m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 1 3 4 4 1100円

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公開日:2007.3.23