PX10
音質
やや高音より。低域は質的にも量的にもやや控え目だが、特に不足とは感じない。中域は低域に邪魔されることなくはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はやや高めの音で目立つが、粗があるわけではない。
分解能は価格の割にはなかなか良い。音の分離にしろ微細な表現にしろ、ある程度のものを持っている。音場感はバーチカルらしくインナーイヤーとは思えない広がりを見せてくれる。原音忠実性もなかなか良い。癖がないだけでなく、最低限の粗や生っぽさは出してくれる。エッジはややきつめだが、それほど聴き疲れしないレベル。
明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通からやや薄め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。もう少し低域の量が多ければもっと良く感じただろう。ノリの良さと繊細さをある程度両立している。響きは適度からややあっさり。打楽器や破裂音がやや前に出てくる印象を受ける。
弦楽器は基本的にあっさり目で多少低域の量感に乏しい感はあるものの、全体的には及第点。金管楽器は高い音でなかなか鮮やかだが、力強さはいま一歩。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域の量や音の圧力がもう少し欲しかったところ。
全体的にあっさりしてはいるが、どんなジャンルもそれなりにバランス良く鳴らしてくれる機種。
装着感
良好。側圧は弱いが、ずれやすいということはない。長時間使用しても疲れない。ヘッドバンドはプラスチックだが、非常に軽いため、頭頂部が痛くなったりはしない。コードが顔に当たりやすく、多少邪魔に感じやすい。
その他
遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
作りは価格なり、デザインは地味。コードにボリュームコントロールが付いているが、実用に堪えるレベル。
プラグはミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、やや硬いがそれほど扱いづらさは感じない。
付属品
無し
参考
比較メモ
MDR-A35SL
MDR-A35SLははやや低音より、PX10はやや高音より。低域はMDR-A35SLの方が量が多くぼやけている。PX10の方がタイトですっきりした鳴らし方。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はPX10の方がやや上。音場感はほぼ互角。PX10の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感の違いはあるものの基本的にMDR-A35SLの方があるように感じられる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方がやや上。両機種ともどちらかと言えばノリが良い傾向だが、MDR-A35SLは低域で押す感じ、PX10は軽快でパンチのある感じ。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現だが、低域の量がある分MDR-A35SLの方がやや良いように感じることもある。金管楽器はPX10の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は基本的にはPX10の方がうまいが、やや低音の量が不足に感じることもある。その場合にはMDR-A35SLの方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはPX10、低音の量重視ならMDR-A35SL。
P9
P9はかなりフラット、PX10はやや高音より。低域は大きな差はないが、P9の方が締まっていてやや低い音を鳴らす。中域はP9の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量よりも質が違う感じ。P9の方が硬く金属的。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角レベルだが、音場感はどちらかと言えばP9、原音忠実性はどちらかと言えばPX10の方が上のように感じる。P9の方が若干エッジがきつく、元気な鳴らし方なので聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばPX10の方が良いように感じる。ノリの良さならP9、繊細さならPX10。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細で滑らかな感じ。金管楽器はP9の方が鮮やかで元気が良い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、明るく元気に楽しみたいならP9、あくまで自然に聴きたいならPX10。
SX10
PX10はやや高音より、SX10はやや低音より。低域はSX10の方が量が多くぼやけている。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音で量も多い。分解能及び原音忠実性はPX10の方が上。音場感はほぼ同等。PX10の方がエッジがきついが、SX10の方が圧力のある鳴らし方で、どちらか聴き疲れしやすいかはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはSX10の方があるように感じられる。温かみは低域の量が多い分SX10の方があるように感じがちだが、その点を除けばあまり差はない。ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方が上。ノリの良さならSX10、繊細さならPX10。響きはSX10の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細でうまい。金管楽器はPX10の方が高い音で楽しめる。打ち込み系の音の表現はPX10の方がうまいが、低域が不足に感じることもある。使い分けるなら、基本的にはPX10、余程低域の量が欲しいときだけSX10。
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 開放型 | 20Hz〜21kHz | 121dB | 16Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
14g | - | 1m | 両出し(Y型) | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 4 | 1 | 3 | 4 | 4 | 均(高) | 1800円 |
公開日:2007.3.23