SE-E22

音質
 ややドンシャリ。低域は若干多め。どちらかと言うと柔らかい質で、厚みや圧力はそれなりにあるため存在感がある。重心は普通からやや低め。中域はかなり癖がある。やや明るめだが、引っ込んでいて前に出てこないように感じられることが多い。高域はやや多め。明るく鋭い質で目立つ。かなり粗や癖が気になる。
 分解能は価格の割にやや良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大きな不満は出ないレベル。ただし、付帯音でごまかされている感があり、粗なく丁寧にこなしてくれる傾向ではない。音場感はバーチカルらしく広くて癖がある。明確さはいまいち。音像がややぼやけている。原音忠実性は悪い。周波数特性上の癖が大きく、一聴して大きな違和感がある。原音の粗や生っぽさはある程度感じられるが、粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。エッジはきつく聴き疲れしやすい。高域は粗っぽく痛い。ヴォーカルのサ行はやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。ヴォーカルはサ行よりも他のところで痛いと感じることが多い。
 明瞭さはそれなり、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通からやや厚め。温かみはあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。艶を上乗せする面がありソースによっては悪くない味付けに感じられることもあるが、基本的には艶っぽさ以前に癖が強すぎて大抵のヴォーカルはまともに聴けない印象。明るくノリが良い。派手で刺激的。切れやスピード感、低域に基づく迫力や力強さ、いずれも特に悪くはない。響きは適度からやや豊か。全体的に歪みや濁りがかなり気になる。余計な音を鳴らす感じ。
 弦楽器は繊細さにしろ心地よさにしろ不満だし、とにかく音色が不自然。金管楽器はかなり金属的で鮮やかだが、弦楽器同様癖が気になるし、やりすぎな感がある。打ち込み系の音の表現はそれなり。音の質感の相性は悪くないが、付帯音の多さや癖はここでも気になる。
 原音忠実性の悪さは致命的だが、明るく刺激的に楽しみたいなら使えることもあると思われる。

装着感
 普通。ハンガーはプラスチックとゴムの中間くらいの質感でそれほど負担にはならない印象だが、ハンガーのないものと比べるとそれなりの煩わしさはある。可動部はないが、ハンガーを曲げて自分に合わせて調節できる(可動部は無限とも言える)。それなりにずれにくい(ただし、ずれにくさはハンガーの調節具合でかなり変わってくる)。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。いずれも開放型イヤホンとしても悪いレベル。
 作りは価格なり。デザインは、形状はやや個性的だが色は地味なので、全体としてはそれほど悪くはない印象。タッチノイズはほとんど気にならない(スポーツ用ということで厳しく見ても良好なレベル)。生活防水仕様(JIS保護等級4相当)。スポーツ用として総合的に見ると、普通の出来という印象。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1mm、合流後は幅約2.5mm・厚さ約1mm、やや硬いがそれほど扱いづらさは感じない。

付属品
1m延長コード



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第61回 スポーツ用イヤホン比較』

比較メモ
MDR-AS20J
MDR-AS20Jはやや低音より、SE-E22はややドンシャリ。低域はMDR-AS20Jの方が若干量が多い。MDR-AS20Jの方が柔らかくぼやけた質。メタルのように重低音が多く圧力のあるソースではSE-E22の方が存在感がある。MDR-AS20Jの方が癖がない。重心はSE-E22の方がやや低い。中域はSE-E22の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、それでいて引っ込んでいて前に出てこないように感じられることも多い。高域はSE-E22の方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。MDR-AS20Jの方が粗がない。分解能はSE-E22の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はSE-E22の方がやや広く明確。MDR-AS20Jの方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。SE-E22の方が音像がシャープ。原音忠実性はMDR-AS20Jの方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはSE-E22の方が感じられる。エッジはSE-E22の方がきつく聴き疲れしやすい。高域はSE-E22の方が痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E22の方が上。厚みはSE-E22の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-AS20Jの方が感じられる。ヴォーカルはMDR-AS20Jの方が柔らかく癖がなく聴きやすい。SE-E22の方が明るくノリが良い。SE-E22の方がメリハリがある。響きは、低域はMDR-AS20Jの方がやや豊か、高域はSE-E22の方がやや豊か。SE-E22の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はMDR-AS20Jの方が滑らかで心地よく、音色も自然。金管楽器はSE-E22の方が金属的で鮮やかだが、やりすぎな感がある。打ち込み系の音の表現はSE-E22の方がややうまい。音の質感の相性や中高域から高域の明るい表現で勝っている。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならMDR-AS20J、高域の量や刺激を求めるならSE-E22。

P9
P9はかなりフラット、SE-E22はややドンシャリ。低域はSE-E22の方がやや量が多い。SE-E22の方が柔らかくぼやけた質。重心はSE-E22の方がやや低い。中域はP9の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖がない。高域はSE-E22の方が若干量が多い。どちらも明るい質で目立つが、ハイハットやシンバル等の高いところはSE-E22の方がしっかり出る。SE-E22の方が粗が気になる。分解能はP9の方がやや上。音の分離はP9の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はP9の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感は、SE-E22の方がやや広く、P9の方が明確。原音忠実性はP9の方がかなり上。一聴して違和感がない。原音の粗が感じられる度合いは大差ないが、SE-E22は粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。生っぽさはP9の方が若干感じられる。エッジはSE-E22の方がきつく聴き疲れしやすい。高域はSE-E22の方がやや痛い、ヴォーカルのサ行はP9の方がやや痛い。明瞭さはP9の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはSE-E22の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはP9の方がやや感じられる。SE-E22は艶っぽさ以前に癖が強すぎて大抵のヴォーカルはまともに聴けない印象。どちらも明るくノリが良い。P9の方が切れやスピード感がある。SE-E22の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはSE-E22の方がやや豊か。SE-E22の方がドラムや破裂音が目立つ。P9の方が全体的に硬く締まっていて余計な音を鳴らさず無駄がない。SE-E22の方が歪みや濁りが気になる。弦楽器はP9の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、P9の方が癖がない。打ち込み系の音の表現はP9の方がややうまい。切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはP9、P9では低域の量が少ないとか刺激に欠けるという不満があるならSE-E22。

SHJ080
SE-E22はややドンシャリ、SHJ080はやや高音よりのかまぼこ。低域はSE-E22の方がやや量が多い。重心はSE-E22の方が低い。SHJ080の方が量が少なく重心が高いぶん締まりや制動が感じられる印象。中域はSHJ080の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、うわずったり張り出したりする癖が気になることも多い。SE-E22の方が引っ込んでいて前に出てこないように感じられる。中高域はSHJ080の方がややしっかり出る。高域はSE-E22の方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。SHJ080の方が粗がない。分解能はSHJ080の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとSHJ080の方が勝っている。音場感は、SE-E22の方がやや広く、SHJ080の方がやや明確。SHJ080の方が音像がシャープ。原音忠実性はSHJ080の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはSE-E22の方が若干感じられる。エッジはSE-E22の方がきつく聴き疲れしやすい。ただし、ソースによってはSHJ080の方が中域のうわずりや張り出しで疲れる面はある。高域はSE-E22の方が痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さはSHJ080の方が若干上、音の鮮やかさはSE-E22の方が若干上。厚みはSE-E22の方が若干ある。温かみはSHJ080の方が若干感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。SE-E22の方が艶を上乗せする面があり癖が強い、SHJ080の方がうわずったり張り出したりする癖が気になることが多いものの質感はあまり癖がない。SE-E22の方がノリが良い。SE-E22の方が鳴りっぷりが良く刺激的、SHJ080の方がしっかり制御されている感じ。低域に基づく迫力や力強さはSE-E22の方がある。響きはSE-E22の方が豊か。弦楽器はSHJ080の方が心地よく、音色も自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、SE-E22の方が派手でやりすぎな感がある、SHJ080の方が太い芯が通っていてシンプルな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はSE-E22の方が若干良いが、付帯音の多さが気になることも多い。使い分けるなら、低域の量や刺激を求めるならSE-E22、中域の量や癖のなさを求めるならSHJ080。













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 20Hz〜20kHz 100dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
16g 16mm 0.6m 両出し(ネックチェーン) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 3 1 2 3 4 均(高、低) 1100円

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公開日:2010.12.7