MDR-AS20J

音質
 やや低音より。低域はやや多め。やや柔らかくぼやけた質だが、それ以外にはあまり癖がない。重心の低さは普通。中低域はしっかり出る。中域はやや低域に埋もれる感じ。質的には落ち着いていて聴きやすい。中高域は控え目。高域はやや少なめ。やや地味で目立たない点を除けば、粗や癖はない。
 分解能は価格なり。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ最低限はある。音場感はバーチカルらしく広くて癖がある。明確さはいまいちで見晴らしはあまり良くない。近くで音を鳴らす感じでやや頭内定位が気になりやすい。音像がぼやけている。原音忠実性はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。一聴して大きな違和感はないが、バランスが低音よりである点はやや気になる。原音の粗や生っぽさはあまり感じられない。エッジはきつくなく、聴き疲れしにくい。高域はあまり痛くない。ヴォーカルのサ行はやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みは普通。温かみはしっかり感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。柔らかくややスモーキーで、うわずったり張り出したりすることがなく非常に聴きやすい。特に低い男性ヴォーカルやバラードに合う。ポップス等の明るい女性ヴォーカルを明るく瑞々しく鳴らして欲しい場合には向かない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。どちらかと言うとおとなしい。切れやスピード感はいまいち。響きはやや豊か。柔らかい低域や豊かな響きは短所に感じられることも多いものだが、本機はソースや聴き方に合えばかなり魅力的で、むしろ長所や個性(開放型のイヤホンでこういう低域・響きは珍しい)になっている印象。
 弦楽器は繊細さや生楽器らしさには欠けるが、滑らかで心地よい。金管楽器は聴けないような癖はないが、やや地味で目立たない傾向。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性、切れ、低域の質等、さまざまな点から見てやや不満。
 まったり聴きたいときにはなかなか良い機種。

装着感
 良好。ハンガーは柔らかく負担にならない印象だが、ハンガーのないものと比べると若干の煩わしさはある。可動部はないが、ハンガーが柔らかく良く考えられた形状であるため、多くの人にフィットすると思われる。かなりずれにくい。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。いずれも開放型イヤホンとしては平均レベル。
 作りは価格なりからやや良いレベル。デザインはやや個性的。タッチノイズはほとんど気にならない(スポーツ用ということで厳しく見ても良好なレベル)。しっかり固定できるクリップが付属している。防滴仕様(詳細不明)。スポーツ用として総合的に見ると、優秀な出来という印象。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約2.5mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
クリップ



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第61回 スポーツ用イヤホン比較』

比較メモ
HA-EB75
HA-EB75はやや低音よりのかまぼこ、MDR-AS20Jはやや低音より。低域はMDR-AS20Jの方がやや量が多い。MDR-AS20Jの方が柔らかくぼやけた質。重心はMDR-AS20Jの方が若干低い。中域はHA-EB75の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。言い換えると、MDR-AS20Jの方が落ち着いていて聴きやすい。中高域はHA-EB75の方がしっかり出る。高域はHA-EB75の方が若干量が多い。やや線が細く明るい質。分解能はHA-EB75の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、MDR-AS20Jの方がやや広く、HA-EB75の方がやや明確。HA-EB75の方が音像がシャープ。原音忠実性はHA-EB75の方がやや上。周波数特性上の癖のなさでやや勝っている。原音の粗や生っぽさはHA-EB75の方が若干感じられる。エッジはHA-EB75の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はHA-EB75の方が若干痛いが、ヴォーカルのサ行はソースによって違ってくる。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-EB75の方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、それよりもHA-EB75の方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-AS20Jの方がやや感じられる。ヴォーカルは、HA-EB75の方が擦れやリップノイズを出してくれる、MDR-AS20Jの方が柔らかくスモーキー。HA-EB75の方が明るくノリが良い。MDR-AS20Jの方がおとなしい。切れやスピード感はHA-EB75の方がある。低域に基づく迫力や力強さはMDR-AS20Jの方がある。響きはMDR-AS20Jの方がやや豊か。弦楽器はHA-EB75の方が繊細、MDR-AS20Jの方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならHA-EB75の方が良いが、チェロやコントラバスを心地よく聴きたいならMDR-AS20Jの方が良い。金管楽器はHA-EB75の方が若干明るい。打ち込み系の音の表現はHA-EB75の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、癖のなさや切れを求めるならHA-EB75、低域の量や心地よさを求めるならMDR-AS20J。

MDR-A35SL
どちらもやや低音より。低域はMDR-AS20Jの方が若干量が多い。MDR-A35SLの方が締まりや制動が感じられる。重心はMDR-A35SLの方が若干低い。中低域はMDR-AS20Jの方がしっかり出る。中域はMDR-A35SLの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-A35SLの方が若干量が多い。明るい質で目立つ。この2機種を比べるとMDR-A35SLの方が高音よりと言える。分解能はMDR-A35SLの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、MDR-A35SLの方がやや明確で見晴らしが良い。MDR-AS20Jの方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はMDR-A35SLの方がやや上。周波数特性上の癖のなさはMDR-A35SLの方が若干上。原音の粗や生っぽさはMDR-A35SLの方がやや感じられる。エッジはMDR-A35SLの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろMDR-A35SLの方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-A35SLの方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみはMDR-AS20Jの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-AS20Jの方が若干感じられる。MDR-A35SLの方が擦れやリップノイズを出してくれる、MDR-AS20Jの方が柔らかくスモーキー。MDR-A35SLの方が明るくノリが良い。MDR-AS20Jの方がおとなしく聴きやすい。MDR-A35SLの方が切れやスピード感がある。響きはMDR-AS20Jの方がやや豊か。MDR-A35SLの方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はMDR-A35SLの方が繊細で生楽器らしさが感じられる、MDR-AS20Jの方が柔らかく心地よい。金管楽器はMDR-A35SLの方がやや金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-A35SLの方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-A35SL、MDR-A35SLでは低域の量が足りないとか聴き疲れしやすいという不満があるならMDR-AS20J。

SE-E22
MDR-AS20Jはやや低音より、SE-E22はややドンシャリ。低域はMDR-AS20Jの方が若干量が多い。MDR-AS20Jの方が柔らかくぼやけた質。メタルのように重低音が多く圧力のあるソースではSE-E22の方が存在感がある。MDR-AS20Jの方が癖がない。重心はSE-E22の方がやや低い。中域はSE-E22の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、それでいて引っ込んでいて前に出てこないように感じられることも多い。高域はSE-E22の方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。MDR-AS20Jの方が粗がない。分解能はSE-E22の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はSE-E22の方がやや広く明確。MDR-AS20Jの方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。SE-E22の方が音像がシャープ。原音忠実性はMDR-AS20Jの方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはSE-E22の方が感じられる。エッジはSE-E22の方がきつく聴き疲れしやすい。高域はSE-E22の方が痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E22の方が上。厚みはSE-E22の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-AS20Jの方が感じられる。ヴォーカルはMDR-AS20Jの方が柔らかく癖がなく聴きやすい。SE-E22の方が明るくノリが良い。SE-E22の方がメリハリがある。響きは、低域はMDR-AS20Jの方がやや豊か、高域はSE-E22の方がやや豊か。SE-E22の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はMDR-AS20Jの方が滑らかで心地よく、音色も自然。金管楽器はSE-E22の方が金属的で鮮やかだが、やりすぎな感がある。打ち込み系の音の表現はSE-E22の方がややうまい。音の質感の相性や中高域から高域の明るい表現で勝っている。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならMDR-AS20J、高域の量や刺激を求めるならSE-E22。





※生産終了。後継機はMDR-AS21J。











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 18Hz〜22kHz 104dB -
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
12g 13.5mm 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 4 2 3 3 4 均(低) 1500円

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公開日:2010.12.4

※生産終了。後継機はMDR-AS21J。