SK PRO

音質
 低音よりのドンシャリ。低域はややぼやけているし、それほど低い音を鳴らすわけではないが、量は多め。中域はおとなしく低域に負けるが、最低限は聴こえてくるし変な癖もない。高域は適量。質的にはそれなりにしっかり高い音を鳴らしてくれるし、シャリついたりもしない。
 分解能は価格の割には良くない。線が太く、細かいところまで鳴らしてくれない感じ。音場感はごく普通。原音忠実性は癖の少なさという意味では悪くないが、原音の粗や生っぽさは感じられない。エッジはきつくなく聴きやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。曇っているような感じが多少気になる。厚みは普通からやや薄め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなりだが、DJ用として見ればかなり良い部類に入るだろう。どちらかと言えばノリが良い傾向だが、基本的にはニュートラル。響きはやや豊かで、低域の強いソースではこもり感が気になる。
 弦楽器は滑らかで心地よいが、繊細さや生っぽさがかなり不満。金管楽器は癖の少ない鳴らし方でそれなりに聴けるが、鮮やかさが足りない。打ち込み系の音の表現は悪くはないのだが、もう少し厚みや切れが欲しかったところ。
 録音が悪いものでもそれなりに聴かせてくれるので、そういった用途にはかなり向いている機種。

装着感
 普通。側圧はやや強めで、ヘッドバンドにはクッションが付いているが多少痛い。真上を向いたりしない限りずれない。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革でやや硬めだが肌触りは良い。
 HFI-650と同様、ヘッドバンドの長さ調節が固定できないのに加えて、調節位置がずれやすいため何度も着けたり外したりする場合には調節が面倒。

その他
 遮音性は普通、音漏れ防止は悪い。ハウジングのスリットからも音が漏れるので、この点は半開放型と考えた方が良いだろう。
 作りは価格なり、デザインはなかなか良いが、実際に外で使用する際は人を選ぶだろう。DJ用らしくカールコードでスイーベル機構、折りたたみ可能。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、やや硬く扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×90mm、内周58mm×44mm、深さ20mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
Alp Horn
Alp Hornはややかまぼこ、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がやや量が多い。Alp Hornの方が癖がある。SK PROの方がやや柔らかくぼやけたり曇ったりする。中域はAlp Hornの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はAlp Hornの方がしっかり出る。高域はSK PROの方がやや量が多い。SK PROの方が線が細く粗がない。SK PROがハイハットをシャンと鳴らすところを、Alp Hornはチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はSK PROの方がやや上。音の分離は大差ないが、一つ一つの音の微細な描写を丁寧に粗なくこなしてくれる。音場感はSK PROの方が広い。Alp Hornの方が頭内定位が気になる。原音忠実性はSK PROの方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはAlp Hornの方がやや感じられる。エッジはAlp Hornの方がきつく聴き疲れしやすい。高域はAlp Hornの方が粗っぽく痛い感じ、SK PROの方が細く刺さる感じ。どちらかと言うとAlp Hornの方が痛い。ヴォーカルのサ行はAlp Hornの方がかなり痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはAlp Hornの方がやや上。厚みはAlp Hornの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方が上。Alp Hornの方がノリが良い。切れやスピード感がある。響きはSK PROの方がやや豊か。SK PROの方が響きが綺麗で柔らかい。弦楽器はSK PROの方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はAlp Hornの方が太く鮮やかだが癖が大きい。打ち込み系の音の表現はAlp Hornの方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、低域の締まりや明瞭さ重視ならAlp Horn、原音忠実性や聴き疲れのなさ重視ならSK PRO。

HFI-650
HFI-650はややドンシャリ、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がぼやけていてかなり量が多い。中域はHFI-650の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。SK PROはかなり低域に埋もれる感じ。高域はHFI-650の方がやや高く硬い音を鳴らす。分解能はHFI-650の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ上。音場感はHFI-650の方が耳から離れたところで鳴らしていて広く感じる。原音忠実性はHFI-650の方が上。原音の粗や生っぽさにおいて勝っている。HFI-650の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはほぼ同等レベルだが、SK PROの方が太くぼやけた音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方がやや上。どちらもノリが良いが、SK PROの方が低域の量で押すような感じ。響きはSK PROの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHFI-650の方が良い。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。締まりがあり、テンションも高いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の締まりや原音の生っぽさが欲しいならHFI-650、低域の量や滑らかな質感が欲しいならSK PRO。

K242HD
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はソースによって多少鳴らし方が変わってくるが、トータルの量はほぼ同等。SK PROの方がやや厚みや締まりがある感じ。中域はどちらもやや低域に負けるが、どちらかと言えばSK PROの方が聴こえてくる。高域は多少似ているが、K242HDの方がやや細く高い音。分解能はK242HDの方がやや上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感は広さ・明確さともに大差ないが、どちらかと言えばSK PROの方が広い。原音忠実性はK242HDの方がやや上。一聴して違和感が小さい。エッジはK242HDの方が若干きつく聴き疲れしやすい。明瞭さはSK PROの方がやや上、音の鮮やかさはK242HDの方がやや上。厚みはSK PROの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK242HDの方が上。SK PROの方がノリが良く、K242HDの方が繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はK242HDの方が繊細かつ心地よく、しかも自然。金管楽器はある程度似ているが、K242HDの方がやや高い音で綺麗に鳴らしてくれる。打ち込み系の音の表現はSK PROの方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、クラシックやジャズはK242HD、ポップスやロックはSK PRO。

MDR-Z900
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は量的にはそれほど差はないが、MDR-Z900の方が粘りがある。中域はどちらも低域に負けてはっきり聴こえてこない。高域はMDR-Z900の方がやや高く金属的。分解能はMDR-Z900の方がやや上。音場感はほぼ同等。どちらも広がりのない感じは似ている。原音忠実性はどちらも良くないが、周波数特性的な癖の少なさからSK PROの方がやや良いか。エッジのきつさはほぼ同等で聴き疲れも同程度。明瞭さ、音の鮮やかさはSK PROの方がやや上。厚みはMDR-Z900の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。どちらもノリが良いが、MDR-Z900の方が古臭く地味な感じがある。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器はどちらも塗りつぶしたような質感であまり生っぽさが感じられない点が似ている。金管楽器はMDR-Z900の方がやや高い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、響きが少なく線の太いSK PROの方がややうまいように感じる。使い分けるなら、少しでも線の細い感じを求めるならMDR-Z900、響きの豊かさやこもり感を避けたいならSK PRO。

RH-200
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はRH-200の方がやや低く厚みのある音を鳴らす。中域はRH-200の方がやや高い音で低域と切り離されたような感じで聴こえてくる。高域はSK PROの方がやや量が多いのだが、RH-200の方が金属的な質感で目立つことがある。分解能はほぼ同等。音場感はSK PROの方が立体的で明確。原音忠実性は周波数特性の癖のなさではSK PROの方が良いが、RH-200の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等だが、RH-200の方が圧力のある音を耳の近くで鳴らすため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-200の方がやや上。SK PROは薄く曇っていておとなしい感じが付きまとう。厚みはRH-200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方が感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、RH-200の方が厚みや迫力がある。響きはRH-200の方がやや豊か。弦楽器はSK PROの方が心地よく聴ける。RH-200はどこか嫌味が出ることも多い。金管楽器はRH-200の方が金属的でしかも力強さがあるが、不自然でいまひとつ鮮やかさに足りない感もある。SK PROは力強さもない代わりそれなりに自然な感じ。打ち込み系の音の表現は、音の濃さだけを求めるならRH-200の方が良いだろうが、SK PROの方が癖がない鳴らし方。使い分けるなら、厚みや迫力を求めるならRH-200、癖のなさや温かみを求めるならSK PRO。

RP-HT560
RP-HT560はかなりフラット、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がやや量が多いが、質的にぼやけ気味なところは似ている。中域はPR-HT560の方が低域に邪魔されない上若干高い音ではっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量で、質的にも近いが、RP-HT560の方がやや金属的な鳴り。分解能はRP-HT560の方が上。音場感はほぼ同等。原音忠実性はPR-HT560の方が上。エッジのきつさはほぼ同等で、聴き疲れも同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HT560の方が上。厚みはSK PROの方がある。温かみは低域が出る分SK PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い傾向ではあるのだが、RP-HT560の方が軽くて爽やか、SK PROの方が骨太で圧力があるという違いがある。響きは、低域はSK PROの方が豊か、高域はRP-HT560の方が豊か。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならRP-HT560の方が良い。金管楽器はRP-HT560の方が明るいが、SK PROに比べると軽薄な感じに聴こえる。打ち込み系の音の表現も同様で、圧力や迫力を求めるならSK PROの方が良いだろう。使い分けるなら、明るく爽やかに聴きたいならRP-HT560、厚みや低域の量を求めるならSK PRO。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



   










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 20Hz〜20kHz - 64Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
270g 50mm 4.92m(カール) 片出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 3 3 2 4 3 低(高) 14100円

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公開日:2007.5.1