K242HD
音質
低音よりのドンシャリ。低域は多少ふくらみ気味で量が多め。薄く曇っているような質だが、重心はそれなりに低い。中域はやや低域の曇りに覆われる感じであまりはっきり聴こえてこないが、うわずったり張り出したりするような癖がない点は良い。高域はやや高めの音で、あまり粗はなく綺麗に鳴らしてくれる感じだが、質・量ともに普通の範疇だろう。AKGは高域が細く繊細で金属的な質感を出さない味付けがされている傾向があるが、本機はそういった味付けをほとんど感じない。
分解能は価格の割にはいまいち。一つ一つの音の微細な描写は良いのだが、音の分離が不満。音場感はやや狭く、見晴らしが良くない。原音忠実性はそれなり。低域の量が多いことを除けば周波数特性上の癖はあまりないし、一聴して違和感があるような音ではない。ただ、もう少し原音の粗や生っぽさが感じられればなお良かっただろう。エッジはきつくなく聴き疲れしにくいが、厳しく見るならソースによっては高域もヴォーカルのサ行等も若干痛いと感じることはある。
明瞭さはいまいち。やや曇っているように感じる。音の鮮やかさはそれなり。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはかなり良い。どちらかと言うとおとなしく繊細な傾向だが、極端ではない。響きはやや豊か。
弦楽器は心地よくかつ繊細で、あまり生楽器らしさが感じられる傾向ではない。金管楽器はあまり癖がなく、なかなか綺麗に鳴らしてくれる。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性や切れが良くない。
曇りや音場の狭さが残念ではあるが、一つ一つの楽器の表現はしっかりしていてなかなか魅力的な機種。なお、本機はエージング前はかなり曇っていて不明瞭だが、エージングによりある程度は改善される。
装着感
普通。側圧は普通で、比較的軽量でずれにくい。ヘッドバンドが幅広で圧力もやや強めで気になる。
イヤーパッドは耳を覆うサイズだが、内側が狭くかなり耳に当たる。上下左右に角度調節ができる。材質は心地よい布製。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。
作りは価格の割にやや安っぽいし、デザインも変に地味で微妙。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約3.5mm、硬さは普通で扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周110mm×110mm、内周52mm×52mm、深さ18mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
代理店製品ページ
不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』
周波数特性グラフ
比較メモ
DTX900
DTX900はややドンシャリ、K242HDは低音よりのドンシャリ。低域はK242HDの方がやや量が多く、薄く曇ったような質。中域はDTX900の方がやや高い音で、低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域は質・量ともに似ているが、K242HDの方がやや細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばK242HDの方が良いか。音の分離はDTX900の方が若干良く、一つ一つの音の微細な描写はK242HDの方がやや細やかに丁寧にこなしてくれる。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、どちらかと言えばK242HDの方が広い。原音忠実性はDTX900の方がやや上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いで多少勝っている。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、どちらかと言えばDTX900の方が粗く疲れる。明瞭さはDTX900の方がやや上。K242HDの方がやや曇っているように感じる。音の鮮やかさはDTX900の方が若干上。厚みはほぼ互角だが、どちらかと言えばDTX900の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、ヴォーカルはK242HDの方がややスモーキーなのでそこで好みの差が出るかもしれない。DTX900の方がややノリが良く、K242HDの方がやや粗がなく繊細。こう書くといかにもbeyerdynamicとAKGの違いのようだが、この2機の違いは一般的に想像されるbeyerdynamicとAKGの違いよりもかなり小さいと思われる。響きはK242HDの方がやや豊か。弦楽器はどちらも心地よく聴けるが、K242HDの方がやや繊細。金管楽器は甲乙つけがたい。DTX900の方が若干力強く、K242HDの方が若干綺麗な表現。打ち込み系の音の表現はDTX900の方がややうまい。低域の質感や明るい鳴らし方で勝っている。あまり使い分けには向かない2機種だが、あえて使い分けるなら、低域の曇りを嫌うならDTX900、少しでも繊細な方が良いならK242HD。
HD595
HD595はやや低音より、K242HDは低音よりのドンシャリ。低域はK242HDの方がやや重心が低く、量も多い。中域はHD595の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はK242HDの方が高く鋭い音で、量も多い。分解能はHD595の方がやや上。音の分離に差がある。音場感はHD595の方がやや広く、見晴らしが良い。原音忠実性はHD595の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは大差ない。エッジはK242HDの方がきつく、聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK242HDの方がきつい。明瞭さはHD595の方がやや上、音の鮮やかさはK242HDの方がやや上。厚みはK242HDの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルは、K242HDの方がやや擦れが気になる。どちらもやや繊細でおとなしい傾向ながらノリの良さも感じられる点は似ている。響きはK242HDの方がやや豊か。HD595の方が全体的にややあっさりした鳴らし方。ソースによっては、K242HDの方がやや音に芯が通っているような印象を受けることがある。弦楽器はどちらも繊細かつ心地よい。やや曇った表現で生楽器らしさが多少不足な点も似ている。チェロ等の低域の量感やヴァイオリンの芯が通った感じが欲しいならK242HDの方がやや良いが、やや不自然さを感じることもある。金管楽器はK242HDの方がやや高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいち。低域の量や高域の明るさはK242HDの方が良いが、HD595の方が軽快なノリの良さがある。使い分けるなら、基本的にはHD595、HD595では高域が足りないと感じたりあっさりしすぎという不満があるならK242HD。
K240monitor
K240monitorはやや高音より、K242HDは低音よりのドンシャリ。低域はK242HDの方がやや量が多く、重心も低い。中域はK240monitorの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はK242HDの方がやや金属的で高い音を鳴らす。この2機種を比べると、K242HDの方がドンシャリと言える。分解能はほぼ同レベル。音の分離はK240monitorの方が若干良く、一つ一つの音の微細な描写はK242HDの方が若干良い。音場感はK240monitorの方がやや広く、見晴らしが良い。原音忠実性はK240monitorの方がやや上。K242HDの方が音楽鑑賞向きの味付けがされている感じ。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いにはあまり差はない。エッジはK242HDの方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が少ない分K240monitorの方がやや上、音の鮮やかさはK242HDの方がやや上。厚みはK242HDの方がややある。温かみはK242HDの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは大差ないが、ヴォーカルの表現力全体を見るとK242HDの方がやや上。ただし、K240monitorと比べるとやや擦れが気になるという面もある。K242HDの方がノリが良い。低域の量が多いだけでなく、鳴らし方そのものがダイナミックで迫力がある。響きはK242HDの方がやや豊か。K240monitorの方が軽くてあっさりした音で、どこか古臭い地味さがある。K240monitorの方がAKGらしい音。弦楽器はK242HDの方が心地よく聴けるが、モニター的な味付けのなさを好むならK240monitorの方が良い。金管楽器はK242HDの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はK240monitorの方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。ただし、低域の量感やダイナミックな鳴らし方という点ではK242HDの方が良い。使い分けるなら、低音控え目であっさりした音を求めるならK240monitor、低音がしっかり出て温かみのある音を求めるならK242HD。
SK PRO
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はソースによって多少鳴らし方が変わってくるが、トータルの量はほぼ同等。SK PROの方がやや厚みや締まりがある感じ。中域はどちらもやや低域に負けるが、どちらかと言えばSK PROの方が聴こえてくる。高域は多少似ているが、K242HDの方がやや細く高い音。分解能はK242HDの方がやや上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感は広さ・明確さともに大差ないが、どちらかと言えばSK PROの方が広い。原音忠実性はK242HDの方がやや上。一聴して違和感が小さい。エッジはK242HDの方が若干きつく聴き疲れしやすい。明瞭さはSK PROの方がやや上、音の鮮やかさはK242HDの方がやや上。厚みはSK PROの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK242HDの方が上。SK PROの方がノリが良く、K242HDの方が繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はK242HDの方が繊細かつ心地よく、しかも自然。金管楽器はある程度似ているが、K242HDの方がやや高い音で綺麗に鳴らしてくれる。打ち込み系の音の表現はSK PROの方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、クラシックやジャズはK242HD、ポップスやロックはSK PRO。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 半開放 | 15Hz〜25kHz | 91dB | 55Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
240g | - | 3m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3.5 | 3 | 2 | 2 | 3 | 1 | 低(高) | 22800円 |
公開日:2008.10.14