SE-MONITOR 10R
音質
ややドンシャリ。低域は締まっていて厚みがあるが、それほど過剰ではない。中域はやや控え目な量だが、低域に埋もれるというほどではない。高域はPioneer独特の癖があり、かなり細く硬い鳴らし方。
分解能はなかなか良いが、原音忠実性はこの価格帯のモニター用として見るといまいち。音場感はそれなり。エッジはややきつめで多少聴き疲れする。
非常に明瞭で、音の鮮やかさも十分。厚みはかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは最低限。モニター用とは思えないほどノリが良い。全体的にやや硬い音。自然でバランスよい音楽を聴きたいならあまり向かない機種だが、明瞭で切れの良い音を求める時には良い。響きはあっさりで、こもり感はあまり気にならない。
弦楽器はモニター用らしい鳴らし方で、心地よさにはやや欠ける。金管楽器は非常に鮮やかで芯の通った表現が楽しめる。打ち込み系の音の表現は中高域から高域がやや細いものの鮮やかだし、低域の質感は好印象。基本的にかなり相性が良い。
装着感
普通。側圧がやや強めでずれにくい。頭頂部にあまり優しくない。
イヤーパッドは耳を覆うサイズで、上下左右に角度が調節できる。材質はレザータイプの人工皮革で、硬めなため密閉されない感じが気になる。
その他
遮音性及び音漏れ防止は普通。
個人的にはデザインがすごく好み。他にはない魅力を持つ。作りも悪くない。ヘッドホン本体側でもコードの着脱が可能で、スイーベル機構なのは良いが、ケーブルが短いのが少しネック。ケーブルがストレートとカールコードの2種類付属しているのが面白い。折りたたみ可能なのは良いが、非装着時に普通に使っているだけでも勝手にたたまってしまうことがあるため使いづらい。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周106mm×84mm、内周64mm×42mm、深さ14mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
1m交換用コード
参考
メーカー製品ページ
不定期コラム『第15回 モニター用ヘッドホン比較』
不定期コラム『第56回 ヘッドホンの破損と経年劣化』
周波数特性グラフ
比較メモ
HD280Pro
HD280Proはややかまぼこ、SE-MONITOR
10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR
10Rの方が若干出る。中域はHD280Proの方がしっかり聴こえてくる。ただ、かまぼことドンシャリとは書いたがそれほどの差は感じられない。HD280Proはかまぼこと言うには低音が強いし、SE-MONITOR
10Rはドンシャリのわりには低音が弱めで高域が強いため。分解能はほぼ互角だがSE-MONITOR
10Rの方が芯の通った音で明瞭でもあるためやや良いように感じる。音場感はHD280Proの方がやや良い。HD280Proの方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、HD280Proはやや濁りがあるため疲れ、SE-MONITOR
10Rは硬く芯が通りすぎで疲れるという違いがある。そのため、どちらが聴き疲れするかはソースによって違ってくる。明瞭さや音の鮮やかさはSE-MONITOR
10Rの方がある。どちらも厚みのある音を鳴らす。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方が若干ある。響きはHD280Proの方が豊か。弦楽器はHD280Proの方が原音に近くしなやかで良い。金管楽器はSE-MONITOR
10Rの方が鮮やか。ただしソースによってはやや安っぽい音になる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらか選ぶならSE-MONITOR
10Rか。使い分けるなら、クラシックやジャズはHD280Pro、ポップスやロックはSE-MONITOR
10R。
MDR-7506
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方が厚みや弾力があり、量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SE-MONITOR 10Rの方が癖がない点が良い。高域はSE-MONITOR 10Rの方が高く鋭い音を鳴らす。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばSE-MONITOR 10Rの方が上。音場感はSE-MONITOR 10Rの方が広く明確。原音忠実性はSE-MONITOR 10Rの方がやや上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベルだが、周波数特性上の癖のなさでSE-MONITOR 10Rが勝っている。SE-MONITOR 10Rの方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはSE-MONITOR 10Rの方がやや上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MONITOR 10Rの方が上。MDR-7506の方がノリが良く、SE-MONITOR 10Rの方が繊細。響きは、低域はMDR-7506の方が豊か、高域はSE-MONITOR 10Rの方が豊か。弦楽器はSE-MONITOR 10Rの方が心地よく癖がない。金管楽器はSE-MONITOR 10Rの方が高く明るい鳴らし方だが、力強さという点ではMDR-7506の方が勝っている。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、MDR-7506の方がやや良い。音の厚み、圧力、低域の量で勝っている。使い分けるなら、癖のなさ重視ならSE-MONITOR 10R、音の厚みや低域の量感重視ならMDR-7506。
PRO/4AA
PRO/4AAはかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR
10Rの方が出る。分解能、音場感ともにほぼ互角だが、若干SE-MONITOR
10Rの方が良いか。原音忠実性はどちらもモニター用にしてはいまいちだが、まだSE-MONITOR
10Rの方が良い。エッジのきつさはほぼ互角、どちらもエッジと言うより芯が通り過ぎていて聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角だが、音の鮮やかさはSE-MONITOR
10Rの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-MONITOR 10Rの方がかなりある。SE-MONITOR
10Rの方がノリの良く、音楽鑑賞向き。響きはどちらもかなりあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてSE-MONITOR
10Rの方が上。何を聴くにしてもSE-MONITOR
10Rの方が良いと思われるが、PRO/4AAには独特の魅力があるのも確か。
SE-M870
どちらもややドンシャリだが、SE-M870の方がやや低音よりか。基本的にはかなり似ている。低域はSE-MONITOR
10Rの方が締まっている。高域もSE-MONITOR 10Rの方が硬く澄んでいる。分解能、原音忠実性はSE-MONITOR
10Rの方がやや上。音場感はどちらもいまいちでほぼ互角。SE-MONITOR 10Rの方がやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-MONITOR
10Rの方がやや上。温かみはSE-M870の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にノリが良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はSE-MONITOR
10Rの方が原音に近い上鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MONITOR
10Rの方が曇りがなく切れも良いのでうまいように思うが、低音が欲しいならSE-M870の方が良いかもしれない。基本的にはSE-MONITOR
10Rがあれば事足りるが、弦楽器を聴くときや温かみや響きが欲しいときにはSE-M870の方が良い。
T50RP
T50RPはややかまぼこ、SE-MONITOR
10Rはドンシャリ。超低域はどちらもやや弱め。低域の厚みはSE-MONITOR
10Rの方がかなりある。高域はT50RPは曇っていてやや弱めなのに対して、SE-MONITOR
10Rは尖っていて強め。中域はT50RPの方がかなり強くはっきり聴こえる。分解能はSE-MONITOR
10Rの方が上、音場感はさすがに全面駆動のT50RPの方が上。原音忠実性はどちらもモニター用にしてはいまいちだが、どちらかと言えばSE-MONITOR
10Rの方が良いように感じる。T50RPは原音の生っぽさがかなり足りない。SE-MONITOR
10Rの方がエッジがきつく聴き疲れする。サ行の音等もかなり痛い。ただし、T50RPは曇っていてエッジのきつさもそれほどではないのに妙なこもり感のためか意外と聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はすべてSE-MONITOR
10Rの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはT50RPの方がある。ただし、ヴォーカルはかなり独特の癖が出るので一概に良いとは言えない。まったく違う音を鳴らすので、比較しない方が良いのかもしれない。T50RPには艶っぽさはあるが力はない。一方、SE-MONITOR
10Rは強さと最低限の艶っぽさがある。ノリの良さならSE-MONITOR 10R、繊細さならT50RP。響きはT50RPの方が豊か。SE-MONITOR
10Rはかなり切れが良い。どちらもモニター用だがまったく違う音調。これほど対照的な機種も珍しい。弦楽器はT50RPの方が良く伸び自然で魅力的。金管楽器や打ち込み系の音はSE-MONITOR
10Rの方が圧倒的に鮮やかで相性が良い。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはT50RP、それ以外はSE-MONITOR 10R。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 5Hz〜28kHz | 106dB | 35Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
275g | 50mm | 3.5m(カール) | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3.5 | 3 | 3 | 3 | 4 | 3 | 均(高、低) | 12500円 |
公開日:2004.11.28