SE-E33

音質
 高音よりのかまぼこ。低域は全体的にかなり不足。その割には曇っているように感じる。中域はしっかり聴こえてくるが、ソースによってはやや嫌味が出たりうわずった感じになったりする。高域は、低域ほどではないがやや控え目。ただし、必要量は出る。
 分解能、音場感、原音忠実性すべていまいち。特殊な構造のため、耳かけ型でありながら半ばインナーイヤーのような音場。狭い上に立体感もない。エッジはそれほどきつくないが、中域の芯が通っていて痛い感じでやや聴き疲れする。
 明瞭さはそこそこあるのだが、その割に音の鮮やかさは悪い。厚みはいまいち。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは悪い。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない、ただ音を鳴らすだけの機種。響きはあっさり。力強さが感じられず、どこかスカスカに感じる。
 弦楽器は低域が不足の上に粗が目立って良くない。金管楽器は鮮やかさが足りないが、価格を考えれば致し方ないところか。打ち込み系の音の表現は価格なりだろう。

装着感
 普通。耳にかける部分は樹脂製で硬くはないのだが、それでもメガネをかけている人にはつらそう。フックが動かない構造なので、慣れるまで装着するのに手間取る。高さ調節が三段階でできるようになっているが、それで装着感が良くなっているかどうかは微妙なところ。

その他
 音漏れ対策を徹底したという売り文句どおり、音漏れ防止は良好。遮音性は普通の耳かけ型なみ。
 作りは価格なり。デザインは個人的には悪くないように思うが、人を選ぶだろう。スペックのわりにかなり音量が取りづらいように感じる。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm。硬さは普通で扱いづらさは感じない。

付属品
1m延長コード
チェンジプレート×2



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-EM7
どちらもかまぼこだが、ATH-EM7の方がやや高音より。低域はSE-E33の方が若干強い印象。ただ、曇っているためにそう感じる部分もあることは否めない。いずれにせよ、両機種とも不足に感じることに変わりはない。高域はATH-EM7の方がシャリつかないし、量も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-EM7の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。SE-E33はソースによってはやや曇っているように感じるが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-EM7の方がうまい。特に金管楽器の鮮やかさは段違い。ATH-EM7はもう少し低域が出れば非常に良い機種になっただろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもATH-EM7の方が良いだろう。

EHP-820
EHP-820はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はどちらも薄いが、量はEHP-820の方が出る。中域はSE-E33の方がハッキリ聴こえてくる。低域の曇りが無いし、ややうわずった音を鳴らすため。高域はEHP-820の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び音場感はEHP-820の方がやや上。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820の方がエッジがきついが、SE-E33は芯の通った音で疲れるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。EHP-820はややぼやけているのに対して、SE-E33は芯が通っている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-820の方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、ノリの良さならSE-E33、繊細さならEHP-820となるか。響きはEHP-820の方が豊か。弦楽器はEHP-820の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも意外と良いが、どちらかと言えばEHP-820の方が良いか。打ち込み系の音の表現は、SE-E33の方が相性が良いのだが、かなり低域が不足に感じる。かと言って、EHP-820も低域の厚みがかなり薄いため、どちらもあまりうまいとは感じない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量が少しでも欲しいならEHP-820、不要ならSE-E33。

HP-MD1
HP-MD1はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。SE-E33は低域の量がかなり不足に感じるわりには曇っている。高域もHP-MD1の方がやや高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-MD1の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-MD1の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-MD1の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-MD1の方が良いだろう。

MDR-Q36LW
MDR-Q36LWはかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はMDR-Q36LWの方が一段低い音で、量もかなり差がある。中域はどちらもソースによっては嫌味が出たりするが、そういう意味ではSE-E33の方がまだまし。高域は量的にはそれほど変わりないように感じるが、MDR-Q36LWの方が細く硬い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてどちらも大差ないレベル。どちらもエッジはきつくないが、SE-E33の方が中域に芯の通った感じが痛くて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方がやや上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Q36LWの方がやや上。どちらもただ音を鳴らすだけの機種といった感じで、ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMDR-Q36LWの方がやや豊か。MDR-Q36LWの方が迫力がある反面、SE-E33の方が軽快。弦楽器はどちらもやや癖が強く、最低レベル。金管楽器はSE-E33の方が芯の通った力強い鳴りで魅力的。打ち込み系の音の表現は、基本的にはSE-E33の方がうまいが、低域が出る分MDR-Q36LWの方が楽しめることも多い。総合的にはほぼ互角か。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域が欲しい場合やロックを聴く場合にはMDR-Q36LW、それ以外はSE-E33か。

MGD-01
どちらもかまぼこ。低域はSE-E33の方が量が多いし、やや低い音を鳴らす。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が量が多く、高く金属的。分解能はMGD-01の方が上。SE-E33は音の分離が悪いし微細な表現もこなしてくれないが、MGD-01は粗があるものの一応鳴らそうとはしてくれる感じ。音場感はSE-E33の方が明確。原音忠実性はSE-E33の方が上。MGD-01はとにかく一聴して違和感があるのに対して、SE-E33は普通に聴ける。ただし、原音の生っぽさはMGD-01の方がやや良いかもしれない。SE-E33の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-E33の方が上。どちらもただ何となく鳴らしているだけの機種だが、SE-E33の方が低域が出るため多少ノリが良いように感じる。響きは、低域はSE-E33の方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はSE-E33の方が心地よいが、塗りつぶしたように繊細さがない。金管楽器はMGD-01の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、低域が出るという意味ではSE-E33の方が良いが、音の質感はMGD-01の方が相性が良いように感じる(ただし、それでも粗は気になる)。使い分けるなら、粗や違和感を気にするならSE-E33、粗や違和感があっても良いから明るさや高域の量を重視するならMGD-01。

VR-204CG
SE-E33はかまぼこ、VR-204CGはやや高音よりのかまぼこ。低域はVR-204CGの方がやや低い音で量も多め。中域はどちらも低域に負けずはっきり聴こえてくるが、VR-204CGの方が高い音で張り出すような感じで目立つ。高域はVR-204CGの方がやや高い音で明るい。分解能はVR-204CGの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ差がある。音場感はVR-204CGの方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になるものの明確。原音忠実性はVR-204CGの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはVR-204CGの方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはVR-204CGの方が上。厚みはVR-204CGの方がある。温かみはどちらも良くない。SE-E33の方が柔らかい音で良いと感じることもあるが、VR-204CGの方が低域が多くサラサラした質感が温かみに繋がっている面もある。ヴォーカルの艶っぽさはVR-204CGの方が上だが、うわずってキンキンすることも多く、そういうソースではSE-E33の方が安心して聴ける。VR-204CGの方が明るく元気でノリが良い。響きはVR-204CGの方がやや豊か。弦楽器はVR-204CGの方が生楽器らしくて良い。金管楽器はVR-204CGの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はVR-204CGの方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはVR-204CG、聴き疲れやキンキンした感じを避けたいならSE-E33。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



     


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 15Hz〜24kHz 104dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
20g 16mm 0.6m 両出し(ネックチェーン) 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1.5 3 2 4 4 4 1500円
※生産終了

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公開日:2005.7.24