ATH-EM7

音質
 かまぼこ。低域は全体的にかなり不足に感じられ、特にローエンドが鳴らない。高域は低域ほどではないが、やや不足な上粗い。audio-technicaらしい金属的な鳴りはあまり感じられない。
 分解能、原音忠実性は悪くないが、耳かけ型だけあって音場感は悪い。エッジはそれほどきつくなく基本的には聴き疲れしないが、ソースによっては芯の通った中域がやや痛い感じがする。
 低域が出ないだけあって、なかなか明瞭。音の鮮やかさや厚みはそれなり。温かみやヴォーカルの艶っぽさには欠ける。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはあっさり。根本的に、音の粗が気になる。
 弦楽器は繊細さには欠けるが、意外と滑らか。金管楽器はそれほど悪くはないが、目の覚めるような鮮やかさはないし、力強さにも欠ける。打ち込み系の音の表現はうまいが、いかんせん低域が不足。

装着感
 慣れればかなり良い。耳全部を覆う型より圧倒的に小型・軽量なので、疲れず邪魔にならないのは間違いない。長時間装着してもそれほど耳が痛くならない。

その他
 アウトドアで使うには音漏れが大き目で遮音性がかなり悪いのが難点。電車などで使うときには音量はかなり控えめにした方が良いだろう。
 作り、デザインともに良い。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約2mm、布巻きだがやや癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周30mm×30mm。

付属品
1m延長コード
キャリングポーチ



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-EQ300M
ATH-EM7はややかまぼこ、ATH-EQ300Mはやや高音より。全体的にそれなりに似た音を鳴らす。低域はATH-EQ300Mの方が若干量が多い。ATH-EM7の方がやや締まりや制動が感じられる。ATH-EQ300Mの方がやや薄く曇ったような質。重心はATH-EQ300Mの方が若干低い。中域はATH-EM7の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはATH-EM7の方が若干太い芯が通っている感じ。高域はATH-EQ300Mの方が若干量が多い。やや線の細い質。分解能はATH-EM7の方が若干上。音の分離でやや勝っている。一つ一つの音の微細な描写は大差ない。音場感は、ATH-EQ300Mの方が若干広い、ATH-EM7の方が若干明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはATH-EQ300Mの方が若干上。原音の粗や生っぽさはATH-EM7の方が若干感じられる。エッジはATH-EM7の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域はATH-EQ300Mの方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-EM7の方が若干上。厚みはATH-EM7の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EQ300Mの方が若干感じられる。ATH-EM7の方がやや明るくノリが良い。メリハリがある。響きはATH-EQ300Mの方が若干豊か。弦楽器は、ATH-EM7の方が若干生楽器らしさが感じられる、ATH-EQ300Mの方が若干心地よい。金管楽器はATH-EM7の方が若干鮮やか。太く金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はATH-EM7の方が若干うまい。音の質感の相性や切れで若干勝っている。あまり使い分けには向かないが、あえて使い分けるなら、明瞭さやメリハリを求めるならATH-EM7、繊細さや温かみを求めるならATH-EQ300M。

HP-AL1000
ATH-EM7はかまぼこ、HP-AL1000はやや高音より。低域はどちらも締まっていてほどほどの量だが、HP-AL1000の方が若干量が多く、質的にも低い音を鳴らす。中域はどちらもややうわずり気味な点は似ているが、どちらかと言えばATH-EM7の方がうわずりが少ない。高域はHP-AL1000の方が量が多く、質的にも高く硬い音を鳴らす。分解能はATH-EM7の方がやや上。HP-AL1000は細部の描写に粗がありすぎる。音場感はほぼ同等だが、HP-AL1000の方が臨場感がある感じ。原音忠実性はATH-EM7の方が上。付帯音が少なくシンプルな鳴らし方な点が好印象。HP-AL1000は原音忠実性よりもいかに楽しく聴かせるかという方向性の音作り。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みはHP-AL1000の方がある。温かみはHP-AL1000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならATH-EM7。響きはHP-AL1000の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL1000の方がある種の心地よさがあるが、ATH-EM7の方が澄んでいてシンプルな鳴らし方。金管楽器はHP-AL1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の量、厚み、元気の良さ等で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく楽しみたいならHP-AL1000、地味でも良いから余計な音を鳴らして欲しくないならATH-EM7。

HP-MD1
ATH-EM7はかまぼこ、HP-MD1はかなりフラット。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。ATH-EM7は低域の量がかなり不足に感じるが、HP-MD1はそれほど不足に感じない。高域はATH-EM7の方がシャリつかず、質が良い。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかというとHP-MD1の方が良い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は基本的にはATH-EM7の方が良いのだが、チェロ等の低域はまったくダメなので、多少繊細さを犠牲にしても低域の量が欲しいという人はHP-MD1の方が良いだろう。金管楽器はATH-EM7の方がやや鮮やかでaudio-technicaらしい金物っぽい鳴り。打ち込み系の音の表現もATH-EM7の方がうまいが、低域が足りないのが難点。低域が欲しい人はHP-MD1の方が合うかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、繊細さを選ぶならATH-EM7、低域の量を選ぶならHP-MD1。

OMX52
ATH-EM7はかまぼこ、OMX52はかなりフラット。低域はOMX52の方がやや量が多くぼやけた感じ。ATH-EM7の方が締まりがある。中域はATH-EM7の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-EM7の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はATH-EM7の方が上。音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方がエッジがきつい上、中域がキンキン突き刺さってくる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX52の方が上。ATH-EM7の方がノリが良い。OMX52がただ何となく鳴らしているのに対して、ATH-EM7はメリハリがある。響きはOMX52の方がやや豊か。弦楽器はOMX52の方が心地よい。金管楽器はATH-EM7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-EM7の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-EM7、中域の癖が気になるときや温かみが欲しいときはOMX52。

PHP-200
ATH-EM7はかまぼこ、PHP-200はややドンシャリながらかなりフラット。低域は圧倒的にPHP-200の方が出る。ATH-EM7は低域が不足に感じることが多いが、PHP-200はそんなことはない。音そのものも、一段低いしっかりした低音。高域もPHP-200の方が出るが、低域ほどの差はない。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上、音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方が線が細いのだが、PHP-200の方がサ行の音等が痛く、全体的な聴き疲れのレベルとしてはほぼ互角。明瞭さはATH-EM7の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはPHP-200の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPHP-200の方がやや上。ノリの良さならPHP-200、繊細さならATH-EM7。響きはPHP-200の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角だが、チェロ等の低域が欲しい場合にはPHP-200の方が良い。金管楽器はどちらも悪くないが、PHP-200の方が力強く前に出てくる印象。打ち込み系の音の表現は、基本的にはATH-EM7の方がうまいのだが、大抵のソースでは低域不足に感じるため、単にノリ良く楽しみたいならPHP-200の方が良いことが多い。得意分野は、どちらもポップス。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめる気がするが、ATH-EM7と比べて粗削りなので、クラシック等で繊細さが欲しい場合はATH-EM7の方が良いだろう。コストパフォーマンスはPHP-200の方がかなり良い。

SE-E33
どちらもかまぼこだが、ATH-EM7の方がやや高音より。低域はSE-E33の方が若干強い印象。ただ、曇っているためにそう感じる部分もあることは否めない。いずれにせよ、両機種とも不足に感じることに変わりはない。高域はATH-EM7の方がシャリつかないし、量も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-EM7の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。SE-E33はソースによってはやや曇っているように感じるが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-EM7の方がうまい。特に金管楽器の鮮やかさは段違い。ATH-EM7はもう少し低域が出れば非常に良い機種になっただろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもATH-EM7の方が良いだろう。

SE-EX9
ATH-EM7はかまぼこ、SE-EX9はややドンシャリ。低域はSE-EX9の方がかなりしっかり鳴らしてくれる。中域は、低域に邪魔されないだけでなくややうわずっているATH-EM7の方がはっきり聴こえてくる。中高域はSE-EX9の方が高い音を鳴らす。高域はSE-EX9の方が量が多い。分解能はSE-EX9の方がやや上。音場感はSE-EX9の方が広くしかも立体的。原音忠実性は比較しずらい。かまぼことドンシャリという違いを除けば、ほぼ同等レベルだろう。SE-EX9の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、ATH-EM7はソースによっては中域がうわずって痛いので、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さは低域が出ない分ATH-EM7の方が上。音の鮮やかさ、厚みはSE-EX9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-EX9の方が上。SE-EX9の方がノリが良い。響きはSE-EX9の方が豊か。弦楽器はSE-EX9の方が心地よい。金管楽器はSE-EX9の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、音の質感としてはどちらもなかなか良いが、ATH-EM7は決定的に低域の量が不足しているので、そういう点まで含めるとSE-EX9の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、低域の量が控え目な方が良い場合にはATH-EM7。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



 


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 14Hz〜24kHz 109dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
30g 28mm 0.5m - 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 4 1 3 5 4 6400円
※生産終了

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公開日:2004.11.28