VR-204CG

音質
 やや高音よりのかまぼこ。低域は質的にも量的にもやや控え目だが、必要量は出る。曇ったりぼやけたりしない点は良い。中域は低域に邪魔されずにはっきり聴こえる点は良いが、かなりうわずったり張り出したりする感じが気になる。3kHz前後が明らかに盛り上がっている。高域はそれなりに高い音で量も十分だが、やや粗が気になる。
 分解能は価格の割にかなり良い。音の分離にしろ微細な描写にしろそれなりにこなしてくれる。ただし、粗は気になる。音場は耳の近くで音を鳴らす感じが気になるが、それなりに明確ではある。原音忠実性はいまいち。周波数特性に癖がある。ただ、原音の粗や生っぽさは最低限感じられる。エッジはややきつく多少聴き疲れしやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通。温かみやヴォーカルの艶っぽさはいまいちだが、ややサラサラした質感で楽しめる面はある。ただ、ヴォーカルはうわずってしまうことがかなり多いし、特に明るい女性ヴォーカルは質が悪いしキンキンして痛い。元気の良い鳴らし方で、かなりノリが良い。響きはややあっさり。
 弦楽器はいまいち。生楽器らしさは最低限感じられるが、心地よさも繊細さも不満。金管楽器はなかなか鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はうまい。音の質感の相性や元気の良い鳴らし方が合う。
 コストパフォーマンスはかなり良いが、ヴォーカルは要注意。

装着感
 悪い。耳全部を覆う型より圧倒的に小型・軽量なので、疲れず邪魔にならないのは間違いない。ずれにくく、蒸れにくい。クリップが外耳を挟み込んで強く締め付けるため、長時間装着すると耳の外側が痛くなる。耳にかける部分がプラスチックなので、メガネをしている人はかなりつらそう。クリップがユニットにかなり密着していて動かせないので、装着が難しい。メガネをしている人は更に難易度がアップすると思われる。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
 作りは価格の割には良い。デザインも悪くはない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約3.5mm・厚さ約2mm、やや硬いがそれほど扱いづらくはない。イヤーパッドのサイズは、外周44mm×44mm。

付属品
無し



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
HP-AL1000
HP-AL1000はやや高音より、VR-204CGはやや高音よりのかまぼこ。メーカーが違う割には似た音。低域はHP-AL1000の方が若干低い音で、量もわずかに多い。中域はどちらも低域に負けずにはっきり聴こえてくるが、うわずり気味な点も似ている。うわずりはVR-204CGの方が酷い。3kHz前後が明らかに盛り上がっている。高域は粗があるところ含め質的に似ているが、HP-AL1000の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばHP-AL1000の方が上。音場感もほぼ同レベルだが、どちらかと言えばHP-AL1000の方が広く明確。原音忠実性はHP-AL1000の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでも若干勝っている。エッジのきつさはほぼ同レベル。どちらかと言えばHP-AL1000の方がきついと感じることもあるが、VR-204CGは中域が張り出すような感じで疲れることも多いので、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方がやや上。厚みはほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-AL1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL1000の方がやや上。どちらも明るく元気でノリが良い。この点に関しては甲乙つけがたいが、VR-204CGの方が耳の近くでガンガン鳴らす感じで、ある種の迫力はあるかもしれない。響きはHP-AL1000の方がやや豊か。HP-AL1000の方が音にやや生気がある。弦楽器はHP-AL1000の方が癖がなく安心して聴ける。金管楽器はHP-AL1000の方がやや明るく、しかも癖がない。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。音の質感の相性、音の厚み、切れ、力強さ等様々な点についてほぼ互角。ただ、低域の量感や中域から中高域の癖のなさはHP-AL1000の方が若干勝っているので、どちらかと言えばHP-AL1000の方が良いだろう。使い分けは難しい。似ているだけに、HP-AL1000があればVR-204CGは不要に感じる。

HP-MD1
HP-MD1はかなりフラット、VR-204CGはやや高音よりのかまぼこ。低域はHP-MD1の方がやや柔らかく量が多い。中域はVR-204CGの方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はVR-204CGの方が明るく目立つ。分解能はVR-204CGの方が上。音場感はHP-MD1の方がやや広いが、明確さは同レベル。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはHP-MD1の方が良いが、原音の粗や生っぽさはVR-204CGの方が感じられる。エッジはVR-204CGの方がきつく、やや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはVR-204CGの方が上。厚みはVR-204CGの方がある。温かみはHP-MD1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは、VR-204CGの方がサラサラしていて良いが、うわずってキンキンすることも多く、そういうソースはHP-MD1の方が聴きやすい。VR-204CGの方が明るく元気でノリが良い。響きはHP-MD1の方がやや豊か。弦楽器は、心地よさ重視ならHP-MD1、生楽器らしさ重視ならVR-204CG。金管楽器はVR-204CGの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はVR-204CGの方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、おとなしく聴きやすい方が良いならHP-MD1、明るくノリが良い方が良いならVR-204CG。

SE-E33
SE-E33はかまぼこ、VR-204CGはやや高音よりのかまぼこ。低域はVR-204CGの方がやや低い音で量も多め。中域はどちらも低域に負けずはっきり聴こえてくるが、VR-204CGの方が高い音で張り出すような感じで目立つ。高域はVR-204CGの方がやや高い音で明るい。分解能はVR-204CGの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ差がある。音場感はVR-204CGの方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になるものの明確。原音忠実性はVR-204CGの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはVR-204CGの方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはVR-204CGの方が上。厚みはVR-204CGの方がある。温かみはどちらも良くない。SE-E33の方が柔らかい音で良いと感じることもあるが、VR-204CGの方が低域が多くサラサラした質感が温かみに繋がっている面もある。ヴォーカルの艶っぽさはVR-204CGの方が上だが、うわずってキンキンすることも多く、そういうソースではSE-E33の方が安心して聴ける。VR-204CGの方が明るく元気でノリが良い。響きはVR-204CGの方がやや豊か。弦楽器はVR-204CGの方が生楽器らしくて良い。金管楽器はVR-204CGの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はVR-204CGの方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはVR-204CG、聴き疲れやキンキンした感じを避けたいならSE-E33。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



※生産終了










戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 20Hz〜20kHz 100dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
25g 30mm 1.2m 両出し(Y型) 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 2 1 3 3 4 均(中、高) 600円
※生産終了

TOP > ヘッドホンレビュー > VR-204CG

公開日:2008.6.18