第76回 Tu sei Lei/Luciano Ligabue「Mondovisione」より

 Luciano Ligabueはイタリアの男性歌手です。日本ではあまり知られていませんが、イタリアでは20年以上に渡って活躍している有名なアーティストです。ジャンルとしてはポップスあるいはポップ・ロックに分類されることが多いようです。
 今回取り上げるのは2013年発表のアルバム「Mondovisione」の7曲目です。ポップスらしい聴きやすさとキャッチーさのある曲だと思います。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。ヴォーカルのしゃがれ具合を自然かつしっかり出してくれること、ポップスらしい聴きやすさや明るさが感じられることを重視したいと思います。


・1台目 ATH-TAD500(audio-technica)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。ヴォーカルのしゃがれ具合を自然かつしっかり出してくれること、ポップスらしい聴きやすさや明るさが感じられること、2点ともある程度のレベルだと思います。特にしゃがれ具合については変に強調しすぎたり痛くなったりしませんし、それでいてしゃがれ具合が足りないということもありません。
 他にはAPHN-AC30、DT231PRO、MDR-V6、PRO DJ100、UR/40等で聴いてみました。APHN-AC30は悪くないのですが、ATH-TAD500と比べるとヴォーカルのしゃがれ具合が物足りない感じです。DT231PROはヴォーカルのしゃがれ具合はかなり良いのですが、ポップスらしい明るさはあまり感じられません。MDR-V6はヴォーカルのしゃがれ具合を出してくれることは出してくれるのですが、質的には不自然で全体的にも違和感が気になります。PRO DJ100はヴォーカルのしゃがれ具合を出してくれるのですが、線が細い感じで今回の曲の渋めのしゃがれとは合わない印象です。UR/40は悪くないのですが、ATH-TAD500と比べるとヴォーカルのしゃがれ具合が物足りない感じです。
 不満点は特にありませんが、もう少し明るくても良いかもしれません。

・2台目 MUSIC SERIES ONE(ALESSANDRO)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。ヴォーカルのしゃがれ具合やポップスらしい明るさといった点は1台目とそれほど大きな差はないと思いますが、低域の量が多いこともあってか全体の印象としては温かみやまとまりがあるように感じられます。
 他にはES-HF300、HA-MX10-B、HP-AURVN-LV、MDR-MA900等で聴いてみました。ES-HF300はヴォーカルのしゃがれ具合は悪くないのですが、低域がヴォーカルを邪魔するのが気になります。HA-MX10-Bはヴォーカルのしゃがれ具合を出してくれることは出してくれるのですが、少し強調しすぎな気もしますし、ドライなところが今回の曲に合わない印象も受けます。HP-AURVN-LVは悪くないのですが、MUSIC SERIES ONEと比べるとヴォーカルのしゃがれ具合が物足りない感じです。MDR-MA900は最後までMUSIC SERIES ONEと迷いましたが、MUSIC SERIES ONEの方がヴォーカルのしゃがれ具合の質がやや魅力的に感じられたのでそちらにしました。
 不満点は特にありませんが、1台目同様もう少し明るくても良いかもしれないとは思います。

・3台目 RS-1(GRADO)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。ヴォーカルのしゃがれ具合も1、2台目よりしっかり出してくれますし、それでいて質的に不自然という印象もあまり受けません。むしろ独特のリアルさがあるようにも感じられます。ただ、ヴォーカルも明るくなるため渋めに聴きたい人にはあまり合わない面があるでしょうし、聴き疲れもしやすいです。魅力が増した分、欠点も大きくなったような印象です。
 不満点は、明るすぎる点です。

・4台目 T1(beyerdynamic)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されますが、それでもまだ十分な明るさがあると言って良いと思います。ヴォーカルのしゃがれ具合についても同様で、3台目より控え目なもののそれでもまだ十分出してくれます。しゃがれ具合の質も自然ですし、全体のバランスが良い点も長所だと思います。
 他にはATH-A2000X、DT770PRO、SRH1840、SRS-4040等で聴いてみました。ATH-A2000Xはヴォーカルのしゃがれ具合を出してくれることは出してくれるのですが、質的には不自然です。DT770PROはヴォーカルのしゃがれ具合を少し強調しすぎのように感じられます。SRH1840はなかなか良いのですが、ポップスらしい明るさはもう少しあっても良いと思います。SRS-4040はヴォーカルのしゃがれ具合を出してくれるのですが、線が細い感じで今回の曲の渋めのしゃがれとは合わない印象です。

・5台目 IE800(TDK)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。特にしゃがれ具合については代わりになるものがあまりないように思われます。全体のバランスが良い点も長所だと思います。色々と聴いてみたのですが、ER-4Sは線が細い感じで今回の曲の渋めのしゃがれとは合わない、HiDefJax AcousticSteelはなかなか良いもののIE800と比べるとやや不自然、MDR-EX1000はしゃがれ具合が物足りない等の不満がありました。
 他にはHP-FX500とHA-FX3Xが良かったです。他の機種と比べてじゃがれ具合を出してくれる傾向です。


 今回は男性ヴォーカルのしゃがれ具合という、これまであまり触れてこなかった部分に注目してみました。その意味で価値のある探索になったのではないかと思います。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。しゃがれ具合を殺さずかつ冷たくなったりしない点が魅力です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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