第44回 Telecastic fake show/凛として時雨「just A moment」より

 凛として時雨は日本のロックバンドです。男女ツインボーカルでかつ3ピースバンドという珍しい編成です。
 今回取り上げるのは2009年発表の3rdアルバム「just A moment」の7曲目です。3ピースバンドとしては音に厚みがあり、テンポが速めで激しい曲調です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「ボーカルの絶叫、激しいドラムなど、刺々しい曲調を損なわないように聞けるヘッドホン・イヤホン」とのことです。言い換えると、切れが良くエッジを丸めずに鳴らしてくれるヘッドホンが合うのではないかと思います。


・1台目 HPS5000(BEHRINGER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れが良くエッジを丸めずに鳴らしてくれます。音の圧力やスピード感も十分です。グルーヴ感があると言うか、まとまりがあり違和感なくノリ良く聴ける印象です。
 他にはATH-WS70、HD215、PRO DJ100、UR/40等で聴いてみました。ATH-WS70は最後までHPS5000と迷いましたが、HPS5000の方がグルーヴ感があるように感じられたのでそちらにしました。ただし、ヴォーカルがはっきり聴こえる方が良いならATH-WS70の方が良いと思います。HD215はなかなか良いのですが、音が遠く圧力が足りない点が気になります。PRO DJ100はなかなか良いのですが、低域の量と音の圧力がもう少し欲しい印象です。UR/40は悪くないのですが、切れと音の圧力が足りません。
 不満点は、一つ一つの音がもう少しはっきりきちんと聴こえてきて欲しい点です。

・2台目 HA-MX10-B(Victor)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。1台目と比べるとやや低域の量が少なくヴォーカルが明るめになります。最初に書いた条件についてもきちんと満たしています。多少聴き疲れしやすい気もしますが、これは今回の曲と探索条件を考えれば仕方ないと思います。
 他にはATH-ES7、EX-29、K181DJ、RP-21、Studiophile Q40等で聴いてみました。ATH-ES7はなかなか良いのですが、1台目の不満点を改善するにはHA-MX10-Bの方が向いているのでそちらにしました。EX-29はスピード感は良いのですが、エッジがやや丸い印象です。K181DJはなかなか良いのですが、今回の曲には低域の量が多すぎるように感じられます。RP-21は最後までHA-MX10-Bと迷いましたが、HA-MX10-Bの方が1台目の不満点を改善するには向いているように感じられたのでそちらにしました。ただし、グルーヴ感を最優先するならRP-21の方が良いと思います。Studiophile Q40は楽器の質感が魅力的なのですが、低域の量が多すぎるせいもあってかやや鈍重な印象です。
 不満点は、低域の量と音の圧力がもう少しあればなお良いと思われる点です。

・3台目 HFI-780(ULTRASONE)
 2台目の不満点改善と最初に書いた条件の両立がなかなかできずにかなり迷いましたが、最終的にはこれになりました。どちらかと言うと2台目の不満点改善よりは最初に書いた条件の方が満たされる印象です。切れとエッジについてはかなりのものだと思います。2台目同様ヴォーカルがやや明るめになりますが、全体としてはよりメリハリと厚みがあります。ただし、癖のなさや楽器の質感のリアルさは2台目の方が良いのではないかと思います。
 不満点は、楽器の質感のリアルさやグルーヴ感がもう少しあればなお良いと思われる点です。

・4台目 SR-325i(GRADO)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。3台目と違って密閉型特有の圧力はありませんが、切れ、エッジ、スピード感といった点では同等かそれ以上のものを持っているので不満はほとんど出ないのではないかと思います。今回の曲と探索条件を考えると、総合的に見て3台目よりも良いと思います。
 他にはDT770PRO、DT860、HD25-1、PROline750等で聴いてみました。DT770PROは悪くないのですが、もう少し切れが欲しい印象です。DT860は最後までSR-325iと迷いましたが、SR-325iの方が楽器の質感がリアルでグルーヴ感も若干あるように感じられたのでそちらにしました。HD25-1は2台目の不満点を改善するだけなら最適ですし、スピード感やグルーヴ感も良いのですが、今回聴いた他の機種と比べるとエッジがやや丸く刺激に欠けます。PROline750はエッジが丸くない点は良いのですが、やや癖が強く切れが足りない印象です。

・5台目 HP-FX500(Victor)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れやエッジがどうこうと言うよりも「ボーカルの絶叫、激しいドラムなど、刺々しい曲調を損なわない」という表現がぴったり当てはまるように感じます。色々と聴いてみたのですが、EPH-100はエッジが丸くないと言うより団子になった低域と癖の強い高域が目立つ点が気になる、HiDefJax AcousticSteelはHP-FX500と比べると綺麗にまとまっているような感じで刺々しさに欠ける、Turbine Pro Copperは切れは良いもののHP-FX500と比べると刺々しさがなく楽器の質感のリアルさで見劣りする等の不満がありました。
 他にはAH-78とBI-RACKEARが良かったです。どちらもHP-FX500に近い傾向で、切れが良くエッジを丸めずに鳴らしてくれます。


 今回は探索条件の影響で聴き疲れしやすいものが選ばれている傾向があると思います。曲自体も聴き疲れしやすい傾向なので、聴き疲れも考慮したいという人はあえて今回選ばれなかったものを使ってみるのも手だと思います。
 ヘッドホンアンプはHead Amp 2/MkII SEが良いと思います。切れが良くエッジを丸めませんし、その上グルーヴ感も出してくれます。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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