DT990 Edition 2005

音質
 高音よりのドンシャリ。低域はやや重心が低く厚みもあり、量も多め。中域はあまり癖はないが、低域・高域に比べると質的にも量的にも目立たない。高域はかなり高く鋭い音で量も多い。粗が気になるが、刺激的で魅力に感じられる面もある。
 分解能はなかなか良いが、価格を考えると微妙。音の分離にしろ一つ一つの音の描写にしろある程度のものは持っているが、付帯音の多さでごまかされているような印象もある。音場感はそれなりに広いし、癖がない点が良い。原音忠実性は悪くないが、価格を考えるといまいちか。周波数特性に癖があるし、ザラザラした質感で付帯音が多い点も気になる。原音の粗や生っぽさはそれなりに感じられる。エッジはきつくかなり聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろかなり痛い。
 明瞭さはそれなり、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みはかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良いのだが、高域の刺激や付帯音の多さでそうは思えないところもある。特にヴォーカルは擦れを嫌う人には合わないだろう。鳴りっぷりが良く、そういう意味ではノリが良いと言えるが、スピード感はいまいち。響きはやや豊か。
 弦楽器は質感が高く心地よく聴けるが、ここでも付帯音が気になることはある。金管楽器は非常に高く鮮やかで楽しめるが、やややりすぎな感はある。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の厚みや中高域の鮮やかさは良いのだが、音の質感の相性は良くない。
 個性的でかつ魅力もあるのだが、高域の刺激や付帯音の多さが合わない人には無理だろう。

装着感
 良好。側圧は普通で、特にずれやすい等の不満はない。また、ヘッドバンド調節の固定が多少しづらい。
 イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、左右方向の角度調節があまりできないがほとんど気にならない。材質はしっとりした布製で、なかなか心地よい。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは良い。デザインは多少人を選ぶかもしれないが、特別悪くはないように思う。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、やや硬いがそれほど扱いづらくはない。イヤーパッドのサイズは、外周104mm×104mm、内周58mm×58mm、深さ24mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
収納ケース



参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

不定期コラム『第62回 ヘッドホンの重さのメーカー公称値と実際』

周波数特性グラフ


比較メモ
DT990PRO
どちらもドンシャリ。非常に良く似た音。低域は、全体的な量はほぼ同じ。DT990PROの方が若干重心が低く、ソースによってはわずかにボスボスと詰まったような質になることがある。どちらかと言うとDT990 Edition 2005の方がローエンドまでフラットで癖がない。中域は良く似ている。違いがあるとすれば、後述の付帯音の比率くらいのものだろう。高域はDT990PROの方が若干線が細いが、基本的には質・量ともに良く似ている。どちらも鋭くかつ粗がある。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同レベル。分解能は音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほとんど差がない。音場感は広さ・明確さだけでなく細かいところまで良く似ている。原音忠実性は低域の癖等のわずかな違いによりどちらかと言えばDT990 Edition 2005の方が上。エッジのきつさはほぼ同等で、聴き疲れも同レベル。ヴォーカルのサ行にしろ高域の痛さにしろかなり似た表現。付帯音の量はほぼ同じなのだが、付帯音に対して音そのものがどのくらいしっかり聴こえるかという点ではDT990 Edition 2005の方がやや上。そのため、比率としてはDT990 Edition 2005の方が付帯音が少ない印象。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ同レベル。厚みはどちらかと言えばDT990 Edition 2005の方が上、温かみはどちらかと言えばDT990PROの方が上。DT990 Edition 2005の方がやや明るく爽やか。響きはほぼ同等。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてほぼ同じ。違いがあるとすれば前述の低域の重心や付帯音の比率。打ち込み系の音はDT990 Edition 2005の方が若干明るく、低域の重さがない分うまいように感じることがある。使い分けにはまったく向かない2機種だが、あえて使い分けるなら、低域の重心の低さが欲しいならDT990PRO、付帯音の割合が少ない方が良いならDT990 Edition 2005。違いがなくはないが、個体差や経年劣化と大差ないようにも感じる。

DTX900
DT990 Edition 2005はドンシャリ、DTX900はややドンシャリ。低域はDT990 Edition 2005の方が重心が低く厚みもある。DTX900の方がやや薄く曇ったような質。量は同程度。中域はDT990 Edition 2005の方がやや高い音で低域の曇りに覆われたりもしないが、それでいて低域・高域と比べると目立たずに引っ込んでいるように感じる面もある。高域はDT990 Edition 2005の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はDT990 Edition 2005の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っているように感じる。音場感はDT990 Edition 2005の方が広い。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはDTX900の方が上、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはDT990 Edition 2005の方が上。エッジはDT990 Edition 2005の方がきつく聴き疲れしやすい。ヴォーカルのサ行にしろ高域にしろDT990 Edition 2005の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990 Edition 2005の方がやや上。厚みはDT990 Edition 2005の方がややある。温かみはDTX900の方がやや上だが、DT990 Edition 2005は高域の刺激や付帯音の多さで温かみが損なわれている面があるので、そのあたりが気にならないソースならほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさは判断が難しい。DT990 Edition 2005の方がサ行の痛さや擦れがかなり気になるので、そのあたりを気にするならDTX900の方が良いが、DT990 Edition 2005の方が擦れ含め魅力があるようにも感じる。DT990 Edition 2005の方が鳴りっぷりが良い。DTX900の方が粗がないという意味で繊細。響きはDT990 Edition 2005の方がやや豊か。DT990 Edition 2005の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はDTX900の方が心地よく安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じや表現力を求めるならDT990 Edition 2005の方がやや良い。金管楽器はDT990 Edition 2005の方が高く鮮やかで楽しめるが、作ったような感じが強いのも確か。打ち込み系の音の表現はDT990 Edition 2005の方がややうまい。中高域から高域にかけての明るさやメリハリのある鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはDT990 Edition 2005、DT990 Edition 2005では高域や聴き疲れが気になるならDTX900。

HD650
DT990 Edition 2005はドンシャリ、HD650はやや低音より。低域はそれなりに似ているが、HD650の方がローエンドまでフラットな傾向。DT990 Edition 2005の方がやや重心が低く厚みもある。全体的な量もDT990 Edition 2005の方が若干多い。中域はどちらも普通に聴こえてくるが、どちらかと言えばDT990 Edition 2005は低域の量に負ける感じ、HD650は低域の曇りに覆われる感じ。中域の中でも高めの音はDT990 Edition 2005の方がやや高い音で目立つ。高域はDT990 Edition 2005の方がかなり高く鋭い音で量も多い。この点がこの2機種の最大の違いだろう。分解能はHD650の方がやや上。HD650の方が一つ一つの音の微細な描写を丁寧にこなしてくれる。音場感はHD650の方がやや明確で、前方定位する感じ。原音忠実性はHD650の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはDT990 Edition 2005の方が感じられる面もあるが、これはザラザラした質感、付帯音の多さでそう感じる面が大きい。エッジはDT990 Edition 2005の方がかなりきつく聴き疲れしやすい。ヴォーカルのサ行にしろ高域にしろかなり痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはDT990 Edition 2005の方がやや上。厚みはDT990 Edition 2005の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD650の方がやや上。ただし、高域の刺激や付帯音の多さを取り除けばかなり近い傾向ではある。DT990 Edition 2005の方が刺激的でノリが良く、HD650の方がおとなしく繊細。響きはDT990 Edition 2005の方がやや豊か。DT990 Edition 2005の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はHD650の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDT990 Edition 2005の方が高く鮮やかで楽しめるが、作ったような感じが強いのも確か。打ち込み系の音の表現はDT990 Edition 2005の方がややうまい。音の厚み、低域の量感、中高域から高域の明るさ等で勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD650、聴き疲れしても良いから高域が欲しいならDT990 Edition 2005。

HFI-2200ULE
DT990 Edition 2005はドンシャリ、HFI-2200ULEはややドンシャリ。低域は質的にも量的にもそれなりに似ていてソースによって多少聴こえ方が変わってくる印象だが、基本的にはHFI-2200ULEの方が若干重心が低く厚みがある。全体的な量は同程度。中域はHFI-2200ULEの方がやや張り出すような感じで目立つ。中高域はHFI-2200ULEの方がややしっかり鳴らしてくれるが、高域はDT990 Edition 2005の方が高く鋭い音で目立つ。どちらも高域に粗があるが、DT990 Edition 2005の方が鋭く刺さる感じ、HFI-2200ULEの方がザラザラする感じ。分解能はDT990 Edition 2005の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っているように感じる。音場感はHFI-2200ULEの方がやや癖がある。広さや明確さは大差ないが、HFI-2200ULEの方がやや頭外定位する印象。原音忠実性はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとDT990 Edition 2005の方が上か。周波数特性の癖は同程度。原音の粗や生っぽさはDT990 Edition 2005の方がやや感じられる。エッジはDT990 Edition 2005の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろどちらも痛いが、DT990 Edition 2005の方が鋭く刺さる痛さ。明瞭さはHFI-2200ULEの方がやや上、音の鮮やかさはDT990 Edition 2005の方がやや上。厚みはHFI-2200ULEの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT990 Edition 2005の方がやや上だが、高域の刺激や付帯音の多さを嫌うならHFI-2200ULEの方が良いと感じるだろう。鳴りっぷりの良さでノリの良さを感じさせる点や、やや粗がある点は似ている。響きは、低域から中域はHFI-2200ULEの方がやや豊か、高域はDT990 Edition 2005の方がやや豊か。弦楽器はHFI-2200ULEの方が心地よく安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じや表現力を求めるならDT990 Edition 2005の方がやや良い。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめるが、DT990 Edition 2005の方が高く、HFI-2200ULEの方が太い。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がややうまい。どちらも音の質感の相性があまり良くない点は似ているが、DT990 Edition 2005の方が線が細く付帯音が多い点が合わない印象。使い分けるなら、高域をしっかり出して欲しいならDT990 Edition 2005、聴き疲れを避けたいならHFI-2200ULE。あるいは、生楽器らしさ重視ならDT990 Edition 2005、心地よさや聴きやすさ重視ならHFI-2200ULE。

HP-535
どちらもドンシャリ。低域はほぼ同量。DT990 Edition 2005の方が濃く中身が詰まったような質、HP-535の方が薄く曇ったような質。重心はDT990 Edition 2005の方がやや低い。中域はDT990 Edition 2005の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDT990 Edition 2005の方がやや量が多い。若干明るく鋭い質で目立つ。分解能はDT990 Edition 2005の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はDT990 Edition 2005の方が若干広く明確。HP-535の方が近くで音を鳴らす感じ。原音忠実性はDT990 Edition 2005の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはDT990 Edition 2005の方が若干感じられる。エッジはDT990 Edition 2005の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990 Edition 2005の方が若干上。厚みはDT990 Edition 2005の方がややある。温かみは薄く曇っているHP-535の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDT990 Edition 2005の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはDT990 Edition 2005の方が若干上。DT990 Edition 2005の方が擦れやリップノイズを出してくれる、HP-535の方がややスモーキー。ノリの良さは微妙。DT990 Edition 2005の方が鳴りっぷりが良い、HP-535の方が軽快。響きは、低域はHP-535の方がやや豊か、高域はDT990 Edition 2005の方がやや豊か。全体のバランスや付帯音が多い点は似ている。弦楽器はDT990 Edition 2005の方が生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。金管楽器はDT990 Edition 2005の方が若干鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はHP-535の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、基本的にはDT990 Edition 2005、DT990 Edition 2005では聴き疲れするとかポップスやロックで音の質感が合わないという不満があるならHP-535。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第11回 熱情の律動/「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- オリジナル・サウンドトラック」より
第59回 TITULOS FINALES/「MAR ADENTRO」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 5Hz〜35kHz 96dB 250Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
250g - 3m 片出し 収納ケース付属

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 4 2 2 4 1 高(低) 32800円

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公開日:2008.12.14