DJ PRO 60

音質
 低音よりのドンシャリ。低域は独特の質で、ソースによって印象が変わりやすい。特別厚みや重心の低さがあるわけではないが、その割にはロックでバスドラやベースが妙にはまることがある。締まりはあまり感じられず、ソースによってはややぼやけたり曇ったりする質。全体的な量はある程度多い。中域は低く落ち着いた音でやや低域に埋もれる印象だが、聴こえないほどではないし、特に癖はない。高域はやや太く金属的で、量はやや多めという程度。多少粗っぽい。
 分解能は価格なり。音の分離よりも一つ一つの音の微細な描写の良さに目が行く。音場感は狭いが、それなりに明確。原音忠実性はいまいち。低域の癖が気になるが、それ以外に大きな癖や違和感はない。原音の粗や生っぽさは最低限は感じられる。エッジのきつさや聴き疲れは普通。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ、ソースによっては多少粗っぽい感じで気になることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さはいまいち、音の鮮やかさはそれなり。厚みはやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなりに感じられるが、これは低域の曇りによるところも大きい。価格を考えればヴォーカルがうわずったり張り出したりすることなく普通に聴ける点は評価したい。ノリが良い傾向だが、切れやスピード感ではなく迫力や力強さで聴かせる傾向。響きは適度からやや豊かで、こもり感はかなり気になる。
 弦楽器はそれなりに心地よいが、繊細さにはやや欠ける。ただ、ヴァイオリンを澄んだ感じで鳴らして欲しいなら意外と良い。金管楽器は太く力強い質で、鮮やかさという意味でも悪くない。低域の曇りに邪魔されて鮮やかさに欠けるように感じられることも多いが、ソロや低域の少ないソースであればなかなか楽しめる。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性や切れが不満。
 低域の癖やこもり感は気になるもののそれ以外の点は悪くないし、ロック系のソースと相性はなかなか良い。

装着感
 悪い。側圧はやや強めで、しかもイヤーパッドが半端なサイズなので耳への負担が大きい。フリーアジャストのヘッドバンドの圧力はかなり強い(と言うよりも、装着するときにヘッドバンドを強く頭部に押し付ける必要がある、装着してからは少し工夫すれば圧力はあまり感じないようにすることができるが個人差はあるかもしれない)。側圧とヘッドバンドの圧力がいずれも強いためずれにくい。
 イヤーパッドは耳のせと耳覆いの中間サイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好だが、密閉型としては良くはない。
 作りは価格なり、デザインは特に変わったところはないが全体としては少し抵抗を感じる人もいるかもしれない。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは約3mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。
 イヤーパッドのサイズは、外周74mm×64mm、内周40mm×32mm、深さ10mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
AH-P372
AH-P372はやや低音より、DJ PRO 60は低音よりのドンシャリ。低域はAH-P372の方が重心が低い。DJ PRO 60の方が薄く曇ったり柔らかくぼやけたりする質。中低域はDJ PRO 60の方がしっかり出る。低域トータルの量はDJ PRO 60の方がやや多いが、質的な問題でソースによってはAH-P372の方が存在感があるように感じられることも多い。中域はAH-P372の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、DJ PRO 60の方がやや癖がない印象。高域はDJ PRO 60の方がやや量が多く、明るく目立つ。DJ PRO 60の方がやや粗がある。分解能はほぼ同レベル。音の分離はAH-P372の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はDJ PRO 60の方が若干上。音場感はAH-P372の方がやや広く明確で、見晴らしも良い。原音忠実性は微妙。低域はDJ PRO 60の方が癖があり、中域はAH-P372の方が癖がある。原音の粗や生っぽさはAH-P372の方が多少感じられる。エッジはDJ PRO 60の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はDJ PRO 60の方が粗っぽく痛いが、ヴォーカルのサ行の痛さは大差ない。明瞭さはAH-P372の方がやや上、音の鮮やかさはDJ PRO 60の方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、どちらかと言うとDJ PRO 60の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJ PRO 60の方がやや上。AH-P372の方が明るくポップス向きのノリの良さがある。DJ PRO 60の方が低域の量に基づく迫力がありロック向き。響きはDJ PRO 60の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はDJ PRO 60の方が心地よいし、癖もない。金管楽器はDJ PRO 60の方がやや金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はAH-P372の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れ重視ならAH-P372、温かみや迫力重視ならDJ PRO 60。ただし、使い分けと言うよりも好みによって評価が割れるように感じられる。AH-P372が好きな人にとってはDJ PRO 60はこもり感や曇りが酷くて使えないだろうし、逆にDJ PRO 60が好きな人にとってはAH-P372はスカスカで使えないだろう。

DJ Pro 3000
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はDJ Pro 3000の方がやや重心が低く厚みがあり、癖がない。DJ PRO 60の方がやや薄く曇ったような質。量は同程度。中域はDJ Pro 3000の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はDJ PRO 60の方がしっかり出る。高域は質的にも量的にもそれなりに似ているが、DJ Pro 3000の方がやや線が細く粗がない。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はDJ Pro 3000の方がやや広い。原音忠実性はDJ Pro 3000の方がやや上。一聴して違和感が小さい。ただし、ソースによっては中域から中高域にかけてDJ Pro 3000の方が癖があるように感じられることはある。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは同程度。エッジはDJ PRO 60の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDJ PRO 60の方がやや痛い。明瞭さはDJ Pro 3000の方がやや上、音の鮮やかさはDJ PRO 60の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJ PRO 60の方がやや上。DJ PRO 60の方がやや明るく元気が良い。DJ Pro 3000の方がしっかりとした安定感があり、良くも悪くも安心して聴ける。響きはDJ PRO 60の方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器はソースや好みで評価が変わってくる程度の差。ただし、ヴァイオリン等を澄んだ音で聴きたいならDJ PRO 60の方が良い。金管楽器はDJ PRO 60の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はDJ Pro 3000の方がややうまい。低域の質や安定感で勝っている。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさ重視ならDJ Pro 3000、温かみや中高域の明るさが欲しいならDJ PRO 60。

HA-S800
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はHA-S800の方がやや量が多い。特に所謂重低音はHA-S800の方がしっかり出る。どちらもぼやけているが、HA-S800の方が厚みのあるしっかりした質。重心はHA-S800の方が低い。中域はDJ PRO 60の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖がない。高域は微妙。ソースによって印象が変わってくる。量はほぼ同量で、DJ PRO 60の方が若干細く明るい質に感じられることが多い。分解能はDJ PRO 60の方が若干上。音の分離は大差ないが、一つ一つの音の微細な描写はDJ PRO 60の方がやや上。音場感はDJ PRO 60の方が左右に広く、見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はDJ PRO 60の方がやや上。DJ PRO 60は低域の癖が大きいもののそれ以外の帯域はそれほどでもないのに対して、HA-S800は全帯域に癖がある。原音の粗や生っぽさはDJ PRO 60の方が若干感じられる。エッジはDJ PRO 60の方がややきついが、HA-S800の方が低域の量で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDJ PRO 60の方が若干細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDJ PRO 60の方が若干上。厚みはHA-S800の方がある。温かみはほぼ同レベル、ヴォーカルの艶っぽさはDJ PRO 60の方が若干感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、HA-S800の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは大差ないが、どちらかと言うとHA-S800の方が豊か。弦楽器はDJ PRO 60の方がうまい。繊細で生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。ただし、心地よさ最優先ならHA-S800の方が良いこともある。金管楽器は微妙。鮮やかさはソースによって印象が変わってくるが、HA-S800の方が太く力強い質に感じられることが多い。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性にしろ切れにしろ大差ない。使い分けるなら、音場感や原音忠実性重視ならDJ PRO 60、低域の量や迫力重視ならHA-S800。

HD25-1
DJ PRO 60は低音よりのドンシャリ、HD25-1はややドンシャリ。低域はHD25-1の方が重心が低く圧力があるため存在感がある。DJ PRO 60の方が薄く曇ったような質。量はDJ PRO 60の方が若干多い。中域はHD25-1の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDJ PRO 60の方が太く金属的で粗がある。量はHD25-1の方が若干多い。分解能はHD25-1の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろある程度の差がある。音場感はHD25-1の方が明確。広さは大差ない。原音忠実性はHD25-1の方が上。DJ PRO 60は低域の癖が気になるし、原音の粗や生っぽさもHD25-1の方が感じられる。エッジはHD25-1の方がややきつく、圧力があることもあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHD25-1の方がやや鋭く刺さる。ただし、DJ PRO 60の方が粗っぽい痛さがあるので、人によってはDJ PRO 60の方が気になるかもしれない。明瞭さはHD25-1の方が上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはHD25-1の方がややあるが、それよりもDJ PRO 60の方が柔らかくぼやけた音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJ PRO 60の方がやや上だが、これはDJ PRO 60の方が曇っているためで、その点を除けば大差ない。HD25-1の方がノリが良い。スピード感があり、迫力でも勝っている。すべての音をしっかりと制御して鳴らしてくれる感じ。HD25-1と比べるとDJ PRO 60は散漫で何となく鳴らしているような印象。響きはDJ PRO 60の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はHD25-1の方が癖がなく生楽器らしさも感じられて良いが、締まった音なので、柔らかく心地よい音を聴きたいならDJ PRO 60の方が良い。金管楽器は好みの差だろう。HD25-1の方がやや癖がなく、DJ PRO 60の方がやや金属的。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では締まりすぎとか圧力がありすぎるという不満があるならDJ PRO 60。

HX-5000
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はHX-5000の方が若干量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感にかなりの差がある。中低域はDJ PRO 60の方がしっかり出る。中域はどちらも低域に邪魔されてあまりはっきり聴こえてこないが、DJ PRO 60の方が低域の曇りに覆われるような感じ、HX-5000の方が低域の量に負ける感じ。中域の質そのものは、どちらもうわずったり張り出したりするような癖がなくそれなりに似ているが、どちらかと言うとHX-5000の方が明るい質。高域はほぼ同量。DJ PRO 60の方がやや線の細い質で、ソースによっては粗が気になる。分解能はほぼ同レベル。音の分離はHX-5000の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はDJ PRO 60の方が若干上。音場感はHX-5000の方がやや広い。DJ PRO 60の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性は微妙。どちらも低域に癖があり、その癖の方向性が異なるので、どちらが許容範囲かは個人差があるだろうし、それによって原音忠実性の判断も変わってくるだろう。どちらも一聴して多少違和感がある。原音の粗や生っぽさはHX-5000の方がやや感じられる。エッジはDJ PRO 60の方がややきついが、HX-5000は低域の量や音の圧力で疲れる面があるので、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDJ PRO 60の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHX-5000の方がやや上。厚みはHX-5000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJ PRO 60の方がやや上。DJ PRO 60の方が繊細、HX-5000の方がノリが良い。HX-5000の方がかなり迫力や力強さが感じられる。響きはDJ PRO 60の方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器はDJ PRO 60の方が繊細かつ心地よい。ただし、生楽器らしさが欲しいならHX-5000の方が良い。金管楽器はそれなりに似た音だが、DJ PRO 60の方が音の割れ方を出してくれる感じ。打ち込み系の音の表現はHX-5000の方がうまい。音の質感の相性、切れ、厚み、低域の質等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、繊細さや温かみが欲しいならDJ PRO 60、低域の量感や厚みが欲しいならHX-5000。あるいは、過剰な低域や迫力を嫌うならDJ PRO 60、曇りやこもり感を嫌うならHX-5000。

RE-575
DJ PRO 60は低音よりのドンシャリ、RE-575はかなりフラット。低域はDJ PRO 60の方がやや量が多い。厚みがあり重心も低めなので存在感がある。中域は、DJ PRO 60は低域の量にやや負ける感じなのに対して、RE-575は低域の曇りにやや覆われる感じ。どちらかと言うとDJ PRO 60の方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDJ PRO 60の方が太く金属的。RE-575の方がハイハットが目立つような質。分解能はDJ PRO 60の方がやや上。音の分離でやや勝っている。音場感はRE-575の方がやや広く、DJ PRO 60の方がやや明確。原音忠実性は微妙。RE-575の方が周波数特性上の癖のなさで勝っているが、DJ PRO 60の方が原音の粗や生っぽさが多少感じられるし、原音の実体感も上。エッジはDJ PRO 60の方がきつく、やや聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろどちらかと言うとDJ PRO 60の方が痛い傾向だが、DJ PRO 60は粗っぽくて痛いのに対してRE-575は細く刺さるような質の違いがあるので、人によって評価は割れるかもしれない。ただし、どちらも聴き疲れが酷いというほどではない。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはDJ PRO 60の方がやや上。厚みはDJ PRO 60の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRE-575の方がやや上。DJ PRO 60の方がかなりノリが良い。低域の量感や音の厚みに基づくしっかりとした迫力や力強さがある。響きはRE-575の方がやや豊かだが、こもり感という意味ではDJ PRO 60の方がやや気になる。弦楽器はどちらが上と言うよりは質の違いが大きい。DJ PRO 60の方が原音の実体感や生楽器らしさが感じられ、RE-575の方が繊細でか細いような印象。金管楽器はDJ PRO 60の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はDJ PRO 60の方がややうまい。音の厚みやダイナミックな鳴らし方で勝っている。また、迫力を求めるようなロックはDJ PRO 60の方がかなり相性が良い。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならDJ PRO 60、癖のなさ重視ならRE-575。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 3Hz〜28kHz 102dB 50Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
170g 40mm 2.8m 片出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 2 4 4 3 3 低(高) 3500円

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公開日:2009.3.23