AH-78

音質
 やや高音より。低域は中域と同量から若干少なめ。かなり締まっている。重心の低さは普通。中域はやや明るめの質で低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はある程度多め。明るく金属的で目立つ。どちらかと言うと線が太い質。
 分解能は価格の割に良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれなりにこなしてくれるが、どちらかと言うと音の分離が良いことに目が行く。音場感はそれなりに広く、かなり明確で見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はそれなり。一聴して多少違和感はあるが、価格を考えれば気にならない方だろう。原音の粗や生っぽさはしっかり感じられる。エッジはややきつく、多少聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通からやや厚め。温かみはあまり感じられない。温かみに欠けると言うよりは冷たい音。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。明るめの質で、しっとり鳴らして欲しい場合には向かない。ノリが良い傾向。硬く締まった音で切れやスピード感がある。響きはややあっさりで、こもり感はほとんど気にならない。
 弦楽器は生楽器らしさが感じられる点は良いが、柔らかく心地よく聴きたい場合には向かない。金管楽器はかなり鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の質感の相性や切れが良い。
 聴き疲れは多少気になるが、明るく楽しみたいときに向いている機種。コストパフォーマンスは良い。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので耳の穴が痛くなりにくい。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。ただし、本体がかなり小さいため人によっては埋もれるような感じになって装着しづらいかもしれない。
 イヤーピースの材質はシリコンのようだ。4サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。音漏れ防止はカナル型としては普通からやや悪め(背面の穴からやや漏れるため)。
 作りは価格の割に良い。本体は金属製だし、プラグやコードもしっかりしている。デザインはあまり癖がない。タッチノイズがかなり大きい。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、やや硬く扱いづらい。

付属品
イヤーピース4種類



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
DN-T50
どちらもやや高音より。低域はほぼ同量。AH-78の方が重心が低く厚みもあるため、存在感にある程度の差がある。AH-78の方が締まっている。中域はAH-78の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はAH-78の方がやや量が多い。明るく金属的で目立つ。低域、高域ともにAH-78の方が末端までしっかり鳴らしてくれる印象。分解能はAH-78の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感は、DN-T50の方がやや広く、AH-78の方がかなり明確で把握しやすい。DN-T50の方がかなり音が混ざるような印象。原音忠実性はAH-78の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさもAH-78の方が感じられる。エッジはAH-78の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろAH-78の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-78の方が上。DN-T50はAH-78に比べると薄く曇っているように感じられる。厚みはAH-78の方がややある。温かみはDN-T50の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ただし、DN-T50の方が柔らかいので良いと感じる面はある。AH-78の方がノリが良い。切れやスピード感がある。DN-T50はAH-78と比べるとただ何となく鳴らしているような印象。響きは、低域はDN-T50の方がやや豊か、高域はAH-78の方がやや豊か。弦楽器はAH-78の方が生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。ただし、AH-78では硬く締まりすぎていると感じるならDN-T50の方が良いだろう。金管楽器はAH-78の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはAH-78、AH-78では聴き疲れするとか音が硬すぎるという不満があるならDN-T50。

HiDefJax AcousticSteel
AH-78はやや高音より、HiDefJax AcousticSteelはややドンシャリ。低域はHiDefJax AcousticSteelの方がやや量が多い。AH-78の方が締まっていて制動が良い。重心はHiDefJax AcousticSteelの方が若干低い。中域はAH-78の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はAH-78の方がしっかり出る。高域はAH-78の方がやや量が多い。AH-78の方が硬い質。HiDefJax AcousticSteelの方が線が細く粗がない。分解能は微妙。音の分離はAH-78の方が若干上。AH-78の方がくっきりはっきり分離する感じ、HiDefJax AcousticSteelの方が適度に混ざり合いながらそれぞれの音は聴き取れる感じ。一つ一つの音の微細な描写はHiDefJax AcousticSteelの方が丁寧にこなしてくれる。音場感はHiDefJax AcousticSteelの方が若干広く、AH-78の方が若干明確。原音忠実性はHiDefJax AcousticSteelの方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗はAH-78の方がやや感じられるが、生っぽさはHiDefJax AcousticSteelの方がやや感じられる。エッジはAH-78の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろAH-78の方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-78の方が若干上。厚みはほぼ同レベルだが、それよりもAH-78の方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHiDefJax AcousticSteelの方が感じられる。ヴォーカルはHiDefJax AcousticSteelの方が柔らかく聴きやすい。AH-78の方が明るくノリが良い。HiDefJax AcousticSteelの方が繊細で上品。AH-78の方が切れやスピード感がある。響きはHiDefJax AcousticSteelの方がやや豊か。HiDefJax AcousticSteelの方が響きが綺麗。弦楽器はHiDefJax AcousticSteelの方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はAH-78の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、明るさや切れ重視ならAH-78、原音忠実性や響き重視ならHiDefJax AcousticSteel。

HP-FXC50
AH-78はやや高音より、HP-FXC50はややドンシャリ。低域はHP-FXC50の方がやや量が多い。AH-78の方が締まっている。重心はHP-FXC50の方がやや低い。中域はAH-78の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はAH-78の方がやや強い。高域はほぼ同量。AH-78の方が太く金属的。HP-FXC50がハイハットをシャンと鳴らすところを、AH-78はチンと鳴らす感じ。分解能はほぼ同レベル。音の分離はAH-78の方がやや上、一つ一つの音の微細な描写はHP-FXC50の方がやや上。音場感はAH-78の方が広く、やや明確で把握しやすい。HP-FXC50の方が耳の近くで音を鳴らす感じで、やや頭内定位が気になる。原音忠実性はほぼ同レベル。HP-FXC50の方が一聴してやや違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはAH-78の方がやや感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとHP-FXC50の方が細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-78の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-FXC50の方が感じられる。AH-78の方がノリが良く、HP-FXC50の方が繊細。AH-78の方が切れやスピード感がある。HP-FXC50の方が低域に基づく迫力がある。響きはHP-FXC50の方がやや豊か。弦楽器はHP-FXC50の方がややうまい。繊細かつ心地よい。金管楽器はAH-78の方がややうまい。どちらも鮮やかだが、AH-78の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がややうまい。HP-FXC50は線の細さが合わないと感じることがあるが、AH-78はそういうことはないし切れで勝っている。使い分けるなら、低域が欲しいならHP-FXC50、それほどでもないならAH-78。あるいは、音場の広さや切れ重視ならAH-78、温かみや繊細さ重視ならHP-FXC50。

KH-C311
AH-78はやや高音より、KH-C311はややドンシャリ。低域はKH-C311の方がやや量が多い。どちらも締まっている点は似ている。重心はKH-C311の方がやや低い。中域はAH-78の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はAH-78の方がやや量が多い。硬く明るい質で目立つ。分解能はAH-78の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はKH-C311の方がやや広く、AH-78の方がやや明確。原音忠実性は微妙。どちらも多少癖のある音でしかもその方向性が異なるため、人によって評価が違ってくるだろう。原音の粗や生っぽさはAH-78の方が感じられる。エッジはAH-78の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろAH-78の方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-78の方が上。厚みはKH-C311の方がややある。温かみはKH-C311の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。擦れやリップノイズを求めるならAH-78の方が良いが、柔らかく鳴らして欲しいならKH-C311の方が良い。どちらもノリが良い傾向だが、AH-78の方が明るく切れが良く、KH-C311の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はKH-C311の方がやや豊か、高域はAH-78の方がやや豊か。KH-C311の方が生気に欠ける印象。弦楽器は微妙。AH-78の方が生楽器らしさが感じられ、KH-C311の方が粗がなく聴きやすい。金管楽器はAH-78の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、高域の量や分解能重視ならAH-78、低域の量や聴き疲れのなさ重視ならKH-C311。

RP-HJE70
AH-78はやや高音より、RP-HJE70はややドンシャリ。全体的に良く似た音。低域はRP-HJE70の方が若干量が多い。AH-78の方がやや締まっている。重心はRP-HJE70の方が若干低い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にもそれなりに似ている。高域はほぼ同量。質的にも良く似ているが、RP-HJE70の方が若干線が細く粗が気になる。分解能はほぼ同レベル。音の分離はAH-78の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はRP-HJE70の方が若干上。音場感は広さ・明確さともに大差ないが、AH-78の方が若干明確、RP-HJE70の方がやや広がりが良い。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさは大差ないし、違和感も同様。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベルだが、どちらかと言うとRP-HJE70の方が聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとRP-HJE70の方が痛い。明瞭さはAH-78の方が若干上、音の鮮やかさはRP-HJE70の方が若干上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HJE70の方が若干感じられる。どちらも明るくノリが良い傾向だが、AH-78の方がやや切れが良く、RP-HJE70の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはRP-HJE70の方がやや豊か。AH-78の方がやや硬く締まっていて付帯音が少ない。弦楽器はRP-HJE70の方が若干柔らかく心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかかつ力強いが、AH-78の方が若干おとなしい。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとAH-78の方がうまい。付帯音が少ない点が良い。あまり使い分けには向かないが、あえて使い分けるなら、低域が欲しいならRP-HJE70、それほどでもないならAH-78。

XBA-4SL
AH-78はやや高音より、XBA-4SLはややドンシャリ。低域はXBA-4SLの方が若干量が多い。AH-78の方が締まりや制動が感じられる。重心はXBA-4SLの方がやや低い。中域はXBA-4SLの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、うわずったり張り出したりする癖が気になることも多い。高域はAH-78の方が若干量が多い。どちらも明るい質だが、XBA-4SLの方が鋭い質で癖がある。AH-78の方が粗がない。分解能は微妙。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はXBA-4SLの方が若干上。ただし、一つ一つの音の微細な描写はAH-78の方が粗なく丁寧にこなしてくれる面はある。音場感は、XBA-4SLの方が若干広い、明確さはAH-78の方が若干上。原音忠実性はAH-78の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗は微妙。AH-78の方がソースの粗をそのまま出す感じ、XBA-4SLは粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。生っぽさはAH-78の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れは微妙。AH-78の方が音の硬さで疲れる感じ、XBA-4SLの方がざらつきで疲れる感じ。高域はXBA-4SLの方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はAH-78の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはAH-78の方が若干ある。温かみは微妙。AH-78は温かみに欠けると言うよりは冷たい音だが、XBA-4SLは癖の強さ、エッジのきつさ、音色の明るさ等の理由で温かみどころではない印象。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。AH-78の方が癖がなくソースを選ばない、XBA-4SLの方がかなり擦れが気になる。どちらも明るくノリが良いが、AH-78の方がしっかり制御されている感じ、XBA-4SLの方が自由奔放な感じ。響きはXBA-4SLの方が若干豊か。響きと言うより付帯音が多く、音そのものまで付帯音になっているような印象。弦楽器はどちらも心地よさに欠ける傾向だが、AH-78の方がやや質感が自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、AH-78の方が芯が通っている感じ、XBA-4SLの方が音の割れ方を出してくれる感じ。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がややうまい。XBA-4SLは付帯音の多さが合わないことが多い。使い分けるなら、癖のなさや粗のなさを求めるならAH-78、付帯音や低域の量感を求めるならXBA-4SL。

ZH-BX500
AH-78はやや高音より、ZH-BX500はかなりフラット。低域はAH-78の方が若干量が多い。どちらも締まりや制動が感じられる質だが、AH-78の方が厚みがあるため存在感がある。重心はAH-78の方が若干低い。中域は、低域・高域ともに存在感がない分ZH-BX500の方がはっきり聴こえてくることが多い。高域はAH-78の方がある程度量が多い。硬く鋭い質でかなり目立つ。分解能は微妙。音の分離はほぼ同レベル。一つ一つの音の微細な描写はAH-78の方が若干良いように感じられることもあるが、ZH-BX500の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感はAH-78の方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。AH-78は高域が目立ちすぎるのに対して、ZH-BX500は中域から中高域の癖が気になる。原音の粗や生っぽさはAH-78の方がやや感じられる。エッジはAH-78の方がきつく、聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろAH-78の方が痛い。明瞭さはZH-BX500の方が若干上、音の鮮やかさはAH-78の方がやや上。厚みはAH-78の方がややある。温かみはZH-BX500の方が若干感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。AH-78の方が擦れやリップノイズを出してくれる、ZH-BX500の方が聴きやすい。AH-78の方が明るく芯が通っている感じ、ZH-BX500の方が透明感がある。AH-78の方が明るく元気でノリが良い、ZH-BX500の方が繊細。AH-78の方が切れやメリハリがあるし、低域に基づく迫力や力強さでも勝っている。響きはZH-BX500の方が若干豊か。AH-78の方がドラムや破裂音が目立つ。ZH-BX500の方が付帯音が少なく表面が無機質な印象。弦楽器は、AH-78の方が生楽器らしさが感じられる、ZH-BX500の方が滑らか。金管楽器はAH-78の方が金属的で力強い。打ち込み系の音の表現はAH-78の方がうまい。音の質感の相性、切れ、厚み等、様々な点で少しずつ勝っている。使い分けるなら、高域の量や力強さを求めるならAH-78、聴き疲れのなさや透明感を求めるならZH-BX500。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



     












戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜25kHz 104dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
4g - 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 5 4 4 4 5 均(高) 1200円

TOP > ヘッドホンレビュー > AH-78

公開日:2009.11.18