UR/29

音質
 かまぼこ。低域は必要量は出るが、厚みも量もやや足りない。その割には曇っているように感じる。中域ははっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は控え目で、あまり尖って前に出てくるような感じはしない。
 分解能はいまいちだが、音場感、原音忠実性は価格なりの価値はあるだろう。ただ、原音の粗はあまり感じない。エッジはきつくないが、中域が前面に出てくる感じでソースによっては聴き疲れする。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みはそれなりだが、輪郭がぼやけていて中途半端に感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。どちらかと言えばノリが良いが、切れやスピード感に欠け、ある種モニター的な冷静な鳴らし方にも感じる。響きはややあっさりから適度だが、こもり感がやや気になる。
 弦楽器は繊細さがまるで足りない。金管楽器は鮮やかさも量も足りない。打ち込み系の音の表現はうまくない。低域は締まりがないし、中域から高域にかけては鮮やかさがない。

装着感
 普通。側圧は普通。ヘッドバンドのクッションは薄めだが、特に痛くはない。しっかりフィットする構造になっているためずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ、左右方向の角度調節が出来ないが装着感にはあまり影響ないようだ。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。

その他
 遮音性は良好、音漏れ防止は普通。
 作り、デザインともに価格なり。折りたたみ方法がかなり変わっているが、なかなか良い感じに折りたたみできる。コードにボリュームコントロールが付いているが、実用に堪えるレベル。ただ、目盛がついてないのは不便。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、やや硬くて癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×86mm、内周60mm×44mm、深さ14mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
HP-170
HP-170は低音より、UR/29はかまぼこ。低域はHP-170の方がやや量が多い。若干重心が低く、やや柔らかい質。中域はUR/29の方がやや高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はUR/29の方が若干量が多い。やや明るい質で目立つ。分解能はUR/29の方が若干上。音の分離はUR/29の方がやや上だが、一つ一つの音の微細な描写は大差ない。音場感はUR/29の方がやや広く明確。HP-170の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性は微妙。どちらも一聴してやや違和感があるが、どちらかと言うとHP-170の方が違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはUR/29の方がやや感じられる。エッジはUR/29の方がややきつく、多少聴き疲れしやすい。高域はUR/29の方がやや痛いが、ヴォーカルのサ行はHP-170の方がやや痛いと感じることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはUR/29の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-170の方がやや感じられる。UR/29の方が明るくノリが良い。HP-170の方がモニター的。響きは、低域はHP-170の方がやや豊か、高域はUR/29の方がやや豊か。弦楽器はHP-170の方が心地よい。UR/29の方が不自然な音色に感じることが多い。金管楽器はUR/29の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はUR/29の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、低域の量や温かみ重視ならHP-170、明瞭さや切れ重視ならUR/29。あるいは、ロックはHP-170、ポップスはUR/29。

K55
K55はドンシャリ、UR/29はかまぼこ。特に高域はK55の方が比較にならないほど出る。UR/29は中高域が多少出るだけで他はごっそり抜け落ちているが、K55は全体的にかなり出る上、高い音を鳴らす。低域はUR/29の方が若干強い。UR/29の方がかなり曇っているように感じられる。分解能はK55の方が上、音場感はUR/29の方が若干良い。原音忠実性はK55の方が上だが、エッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK55の方が上。厚みはUR/29の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもあまり感じられない。K55の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK55の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ロックはUR/29、それ以外はK55。

MDR-DS1000
どちらもかまぼこ。低域はUR/29の方がやや重心が低くしっかりしている。全体的な量は大差ない。中域はMDR-DS1000の方がやや高い音で、張り出すような感じで目立つ。高域はUR/29の方が明るく金属的で、量もやや多い。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はMDR-DS1000の方がやや広い。原音忠実性はUR/29の方がやや上。MDR-DS1000の方が一聴して違和感のある音を鳴らすことが多い。エッジはUR/29の方がややきついが、MDR-DS1000は中域が張り出すような感じで疲れることがあり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さはMDR-DS1000の方がやや上、音の鮮やかさはUR/29の方がやや上。厚みはUR/29の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはUR/29の方がやや上。UR/29の方がノリが良いし、粗がないという意味で繊細でもある。響きはほぼ同レベル。弦楽器は多少似た傾向ではあるが、UR/29の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はUR/29の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はUR/29の方がややうまい。音の質感の相性やダイナミックな鳴らし方に差がある。使い分けるなら、基本的にはUR/29、UR/29ではエッジがきつい等の不満があるならMDR-DS1000。

mix-style headphones
どちらもかまぼこ。低域はどちらも薄く曇っている点は似ているが、どちらかと言うとmix-style headphonesの方がぼやけて量が多い。中域はUR/29の方がはっきり聴こえてくるし変な癖もない。高域はUR/29の方がやや高い音で量も多い。分解能はどちらも良くないが、どちらかと言えばUR/29の方が上。音の分離が良い。音場感はUR/29の方が明確で、mix-style headphonesほど頭内定位は気にならない。原音忠実性はUR/29の方が上。mix-style headphonesは中域の癖と高域の極端な不足のせいでソースによっては原音とかなり違う音になる。どちらもエッジはきつくないが、mix-style headphonesはハウリングするような感じで聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべて微妙にUR/29の方が良い。どちらも中途半端な鳴らし方だが、どちらかと言えばUR/29の方がノリが良い。響きはmix-style headphonesの方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器はほぼ同等レベルの鳴らし方だが、どちらかと言えばUR/29の方が澄んだ音。金管楽器はUR/29の方が高くて目立つが、いずれにせよあまり良いとは言えない。打ち込み系の音の表現はあまり大きな差はないが、どちらかと言えばUR/29の方がメリハリがあって良い。それなりに似ている上、様々な点について微妙にUR/29の方が勝っているので、UR/29があればmix-style headphonesは不要だろう。

PRO DJ100
PRO DJ100はやや高音より、UR/29はかまぼこ。低域はUR/29の方が若干量が多い。柔らかくぼやけた質。重心の低さはほぼ同レベル。中域はPRO DJ100の方が明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はPRO DJ100の方がしっかり出る。高域はPRO DJ100の方が量が多い。明るい質で、伸びが良い。分解能はPRO DJ100の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、PRO DJ100の方が左右に広い、UR/29の方が上下に広い。PRO DJ100の方が明確。PRO DJ100の方が音像がシャープ。原音忠実性はPRO DJ100の方が若干上。周波数特性上の癖のなさはPRO DJ100の方が若干勝っている。原音の粗や生っぽさはPRO DJ100の方が感じられる。エッジはPRO DJ100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろPRO DJ100の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO DJ100の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみはUR/29の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはPRO DJ100の方がやや感じられる。PRO DJ100の方が擦れやリップノイズを出してくれる、UR/29の方がスモーキー。PRO DJ100の方が明るくノリが良い。PRO DJ100の方が切れやスピード感がある。響きはUR/29の方がやや豊かでこもり感が気になる。UR/29の方が生気に欠ける印象。弦楽器は、PRO DJ100の方が繊細で生楽器らしさが感じられる、UR/29の方が滑らか。金管楽器はPRO DJ100の方が鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はPRO DJ100の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはPRO DJ100、PRO DJ100では低域の量が足りないとか聴き疲れしやすいという不満があるならUR/29。

R/200
どちらもかまぼこだが、UR/29の方が低音より。低域はややUR/29の方がやや強い。R/200は中高域が非常に強いため、バランスが悪く感じる。高域はR/200の方が一段高い音。分解能、音場感はR/200の方が上。原音忠実性はUR/29の方がかなり上。R/200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはR/200の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはUR/29の方が上。UR/29の方がノリが良い。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてUR/29の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもUR/29の方が良いのだが、分解能や音場感といった基本的な能力はR/200の方が上。R/200はとにかくスカスカでしかもエッジがきつく音が割れるため、聴いていられない。

UR/40
UR/29はかまぼこ、UR/40はドンシャリ。低域・高域ともにUR/40の方が出るが、低域の厚みは密閉型の分UR/29の方があるように感じる。UR/40の方が高い音は高く、低い音は低く鳴らしてくれる。分解能はUR/40の方が上、音場感はほぼ互角だが、セミオープンの分UR/40の方が抜けが良く自然。どちらもあまり原音忠実ではない。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。基本的にはどちらもシャープで、似た音調だが、UR/40は明るくさわやかなのに対してUR/29はやや嫌味のある芯がある。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてUR/40の方が上。中域の音の厚みはUR/29の方が若干あるように感じる。どちらも基本的にはノリが良いが、UR/29はかまぼこのためいまいちノリきれない印象。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてUR/40の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもUR/40の方が良い。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生














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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 18Hz〜20kHz 101dB 100Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
340g - 2.4m 片出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 3 3 3 3 3 4700円

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公開日:2005.4.20