K55
音質
高音よりのドンシャリ。低域は厚み・量ともに程々で、全体的に鳴らす感じ。カタログにパワフルな重低音再生と書いてあるが、実際にはAKGにしては出るというレベルで、一般的な見方をするならそれほど凄い低音ではない。中域はそれほど弱いわけではないが、低域や高域と比べると出ない。高域は非常に細く硬く、量も十分だが、シャリつく。
分解能はそれなり。音場感、原音忠実性はいまいち。ただし、価格なりではあるだろう。エッジはややきつめで、多少聴き疲れする。特に高域が強いソースでは疲れるし、サ行の音等も痛い。
明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みはやや薄め。温かみはあまり感じられないが、ヴォーカルの艶っぽさはそれなりにある。ただ、人によってはややかすれが気になるかもしれない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、明るく爽やかな鳴らし方。響きはややあっさりで、こもり感はあまり気にならない。
弦楽器はやや硬くて心地よさに欠けるが、澄んだ感じを楽しみたいときにはそれなりに良いだろう。金管楽器はソースによっては安っぽくなるが、なかなか鮮やか。打ち込み系の音の表現はそれなり。中域から高域は線が細いながらもなかなか鮮やかで楽しめるが、低域は質・量ともにやや不満。
装着感
良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力はやや弱め。ただ、ヘッドバンドやイヤーパッドの接触面積は普通にあるし、比較的フィットする構造の上に軽いこともあり、かなりずれにくい。
イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができるが、調節できる幅があまり広くない。材質はレザータイプの人工皮革だが、やや安っぽい。
その他
遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしては悪い。
作りは普通だが、デザインははっきり言って良くない。
プラグはミニプラグ。コードの太さは約3.5mm、硬さは普通だがやや癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×88mm、内周60mm×42mm、深さ16mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
周波数特性グラフ
比較メモ
AH-G500
AH-G500は高音より、K55はドンシャリ。超低域はAH-G500の方が出るが、低域はK55の方が出る。高域はK55の方が強い。分解能はAH-G500の方が上、音場感はK55の方が上。AH-G500の方が原音忠実だがエッジがきつく非常に聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならAH-G500。AH-G500は音が細く割れ気味で痛い。K55は塗り潰したように繊細さがない。響きはAH-G500の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにAH-G500の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現はK55の方がうまい。得意分野はAH-G500はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスはK55、それ以外はAH-G500。ただし、AH-G500は非常に聴き疲れするので、常用するにはつらい。
HP830
どちらもドンシャリだが、HP830の方がやや低音より。超低域はどちらもやや弱め、低域の厚みはHP830の方がかなりある。高域はどちらもしっかり聴こえてくるが、K55の方が高い音を鳴らす。分解能はHP830の方がやや上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はHP830の方が上。K55の方がエッジがのきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方がうまい。ただし、高域が高い方が好きな人はK55の方が良いと感じる部分もあるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良い。
K501
K501は高音より、K55はドンシャリ。低域は全体的にK55の方が出るが、特に超低域の差は大きい。高域はK55の方が出る上、若干高い音を鳴らす。K501はK55と比べるとかなりかまぼこに感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方が上。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはK501の方が上。温かみはK55の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK501の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならK501。響きはK55の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK501の方が自然で澄んだ音が楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低音が出る分どうしてもK55の方が良いように感じる。得意分野はK501はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスやロックはK55、それ以外はK501。
K514
K514は高音より、K55は高音よりのドンシャリ。全体的にかなり似た音。低域は質・量ともに似ているが、K55の方がやや厚みや弾力がある。中域はどちらも低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるし、質的にも似ている。高域も似ているが、K55の方がやや痛くて目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同レベル。エッジのきつさも大差ないが、K55の方がややきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ同レベル。K514の方が若干粗がなく自然、K55の方が若干ノリが良くポップス向き。響きはほぼ同等。弦楽器はK514の方が若干繊細かつ心地よい。金管楽器はK55の方が良くも悪くも粗っぽい感じ。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばK55の方がうまい。低域の量感や元気の良さで若干勝っている。どちらか片方持っていれば十分な機種。
SE-M870
どちらもややドンシャリだが、K55の方が高音より。低域はSE-M870の方が全体的に出るし、高域はK55の方がやや強い。分解能、原音忠実性はSE-M870の方が上、、音場感はK55の方が上。ただし、SE-M870は中高域に癖がある。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK55の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。SE-M870の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はK55の方がやや高い音で澄んでいる。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方が良い。K55も悪くないのだが、そういうソースを楽しむにはやや高音よりに感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、金管楽器メインの曲はK55、それ以外はSE-M870。
UR/29
K55はドンシャリ、UR/29はかまぼこ。特に高域はK55の方が比較にならないほど出る。UR/29は中高域が多少出るだけで他はごっそり抜け落ちているが、K55は全体的にかなり出る上、高い音を鳴らす。低域はUR/29の方が若干強い。UR/29の方がかなり曇っているように感じられる。分解能はK55の方が上、音場感はUR/29の方が若干良い。原音忠実性はK55の方が上だが、エッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK55の方が上。厚みはUR/29の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもあまり感じられない。K55の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK55の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ロックはUR/29、それ以外はK55。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
戻る
スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 16Hz〜20kHz | 99dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
210g | - | 3m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
2.5 | 4 | 3 | 3 | 2 | 1 | 高(低) | 2900円 |
公開日:2005.4.20