SE-M380

音質
 低音より。低域は厚みはそれほどでもないが、量が物凄い。中域から中高域はかなり埋もれる印象。高域はPioneerらしい鳴らし方で、量は控え目なもののそれなりに聴こえてくる。
 分解能、音場感、原音忠実性すべていまいち。エッジはそれほどきつくないが、ソースによっては低域が強すぎて疲れる。
 明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚みはそれなり。温かみは低域が強いためにそれなりにあるように感じるが、それだけ。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。かなりノリが良いが、低音の量でごり押ししているだけで、切れやスピード感に欠ける。響きは豊かで、しかも前述のとおり低域がかなり強いため、こもり感が非常に気になる。
 弦楽器は繊細さが不足しすぎ。金管楽器はなかなか芯の通った鳴らし方だが、鮮やかさが足りない。打ち込み系の音の表現は悪くないが、低域が強すぎるし、中域から中高域に鮮やかさがない。

装着感
 普通。側圧がやや強めで、フリーアジャストのヘッドバンドが頭を押さえる上、軽量なため非常にずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革だがかなり安っぽく、肌触りは悪くないが硬く、蒸れる。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は普通。
 オーソドックスなデザインで、作りも価格のわりに悪くない。と感じたのだが、買った当日ハウジングとヘッドバンドをつなぐ部分が折れた。手荒に扱わないほうが良い模様。耐久性に若干の不安は残るが、低価格で低音よりの機種が欲しいならかなりおすすめできる機種。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬めだが癖が付きやすいわけではなく、扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周106mm×86mm、内周64mm×44mm、深さ14mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第56回 ヘッドホンの破損と経年劣化』

周波数特性グラフ


比較メモ
AHP-505
どちらも低音よりだが、SE-M380の方が低域も高域も強い。それでいてAHP-505の方が曇りが気になる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-M380の方が上。SE-M380の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-M380の方が上。SE-M380の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも豊かでこもり感が気になるが、SE-M380の方がまだまし。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-M380の方が一段上の表現力。ほとんど何を聴くにしてもSE-M380の方が良いように感じる。

ATH-T2
どちらも低音よりだが、どちらかと言えばATH-T2の方が高音より。ただし、いずれにせよ高域は全然聴こえてこない上、低域が凄い量でしかもこもりも酷い。分解能、音場感、原音忠実性等、最低限。どちらもやや聴き疲れするが、ATH-T2はエッジがきつく聴き疲れするのに対して、SE-M380は低域が強すぎで聴き疲れする。サ行の音の痛さは似たようなもの。明瞭さや音の鮮やかさどちらも欠けている。厚み、密度はSE-M380の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさもSE-M380の方が上。どちらもノリが良い方向性。響きはSE-M380の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにSE-M380の方がややうまい。弦楽器の温かみや金管楽器の鮮やかさに違いが見られる。打ち込み系の音の表現もSE-M380の方が若干うまい。得意分野をあえて挙げるならATH-T2はロック、SE-M380はポップス。ただし、どちらも音楽鑑賞に使えるレベルの機種ではない。

HP-X122
SE-M380は低音より、HP-X122はドンシャリ。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものはHP-X122の方が若干上。中域〜高域はHP-X122の方が圧倒的に出る。分解能や原音忠実性はHP-X122の方がやや上、音場感はほぼ互角。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。温かみはSE-M380の方がある。HP-X122も無いわけではないが、どうしても刺激や鮮やかさに目が行く。ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が良い。ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はHP-X122の方が繊細さがあり楽しめる。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が好きな人でなければ、HP-X122だけあれば良いだろう。

MDR-CD480
どちらも低音より。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものは若干MDR-CD480の方がある。高音は基本的にはMDR-CD480の方が埋もれないが、超高域はSE-M380の方が出る。全体的にはMDR-CD480の方が高音より。分解能、音場感、原音忠実性等すべてMDR-CD480の方が若干良い。ただし、低音が出ないソースでは分解能や原音忠実性は逆転する。MDR-CD480の方がエッジがきつめ。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方が上。かなり曇ってはいるものの、温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M380の方が感じられるMDR-CD480は芯が通り過ぎている。MDR-CD480の方がノリが良くしかも繊細。ただし、低域はSE-M380の方が出るので、人によってはノリの良さの評価は違ってきそう。響きはどちらも適度で、MDR-CD480は布製イヤーパッドでSE-M380は特殊な構造で音が抜けるにもかかわらず、こもり感が気になる。弦楽器はMDR-CD480の方が繊細で楽しめる。金管楽器はややSE-M380の方が良いか。MDR-CD480はかなり安っぽい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、MDR-CD480の方がバランスよく楽しめる。得意分野はSE-M380がポップス、MDR-CD480がロック。使い分けるなら一部のポップスやブラスメインのものはSE-M380、それ以外はMDR-CD480。

SE-M390
SE-M380は低音より、SE-M390は低音よりのドンシャリ。低域はSE-M390の方がやや重心が低く厚みがある。中域はSE-M390の方が曇らずはっきり聴こえてくる。中高域はSE-M390の方がしっかり出る。高域はSE-M390の方がやや高く鋭い。SE-M390の方がシャリつく。分解能はSE-M390の方がやや上。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベル。ただし、SE-M390の方がやや見晴らしが良い。原音忠実性はSE-M390の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。SE-M390の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M390の方が上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M390の方が感じられる。どちらも低音で押す感じのノリの良さだが、SE-M390の方が多少明るく元気な印象を受ける。響きはほぼ同等だが、SE-M380の方がかなりこもり感が気になる。SE-M390の方がサラサラした質感。弦楽器はSE-M390の方が繊細な表現をこなしてくれる。金管楽器はSE-M390の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。使い分けるなら、基本的にはSE-M390、SE-M390では高域のシャリつきやエッジのきつさが気になるならSE-M380。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜28kHz 105dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
205g 40mm 3.5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 3 3 3 3 1 2500円
※生産終了

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公開日:2004.12.12