第77回 聖乙女の祈り/「舞-乙HiME オリジナルサウンドトラックVol.2 乙女の祈り」より

 今回取り上げるのは、2005年放送のテレビアニメ「舞-乙HiME」のオリジナルサウンドトラックVol.2から24曲目です。
 音楽は梶浦由記、「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」等、多数のアニメ音楽を手がけていることで有名です。今回の曲は主に打ち込みと女性の声で構成されていて、疾走感と独特の味わいがあるような印象です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。今回の曲の疾走感を出してくれること、独特の味わいやシリアスな雰囲気を壊さないこと、声の柔らかさや伸びが感じられること、音場の広さや音の広がりがあることといった条件が思い浮かびますが、今回の曲の良さが感じられるかどうかはフィーリングによる部分が大きい気もするので、それらをすべて念頭に置いた上で探索したいと思います。


・1台目 ATH-TAD500(audio-technica)
 フィーリングで選びました。と言っても、どちらかと言うと消去法で選ばれたような感じです。他の機種と比べれば大きな不満がなかっただけで、厳しく見るなら疾走感、声の柔らかさ、音場の広さといった点が物足りません。
 他にはAPHN-AC30、HP-RX900、HPS5000、MDR-V6、UR/40等で聴いてみました。APHN-AC30は悪くないのですが、ATH-TAD500と比べると音の広がりに欠けます。HP-RX900は音場の広さは良いのですが、声にやや違和感があります。HPS5000は音の広がりのなさと曇りが気になります。MDR-V6は全体的に違和感が強いです。UR/40はあまり違和感なく聴ける点は良いのですが、曇りがやや気になります。
 不満点は特にどこがと言うより全体的に物足りない感じです。

・2台目 RH-300(Roland)
 フィーリングで選びました。1台目同様、消去法で選ばれたような感じです。声の柔らかさや全体のバランスはなかなか良いのですが、音場の広さは不満です。
 他にはES-HF300、HP-AURVN-LV、MDR-MA900、SE-A1000等で聴いてみました。ES-HF300は重低音が目立ちすぎて声を邪魔するような感じになるのが気になります。HP-AURVN-LVは悪くないのですが、音場の広さが足りません。MDR-MA900とSE-A1000は音場の広さや音の広がりは比較的良いのですが、声がやや硬く粗っぽいのが気になります。
 不満点は、音場の広さが足りない点です。

・3台目 SR-007+SRM-717(STAX)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。単純に音場が広いだけでなく、音の広がりが感じられる点も良いです。やはり今回の曲は耳の近くでこじんまり鳴っているようだと魅力が半減してしまうと、改めて感じさせられます。声の柔らかさや伸びも長所です。曇りや違和感も特に気になりません。ただ、今回の曲の鳴らし方はこれで良いのかという疑問は浮かびます。理由はおそらく、疾走感やシリアスな雰囲気をそれほど出してくれない上に、音の広がりや声の柔らかさがあまりに良いことにあると思われます。もっとも、これはこれで一つの完成形だとは思いますが。
 不満点は、疾走感やシリアスな雰囲気をもう少し出して欲しい点です。

・4台目 HD800(SENNHEISER)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。疾走感はかなり改善されますし、シリアスな雰囲気も3台目よりは感じられる印象です。それでいて声の柔らかさや伸びも問題ありません。3台目とどちらが良いかは好みによるでしょうが、少なくとも4台目の方がニュートラルだとは思います。
 他にはHD650、RS-1、SRH1840、T1等で聴いてみました。HD650は、フィーリングではある意味今回の曲の鳴らし方はこれが最も正しいのではないかという気もするのですが、3、4台目と比べると曇りが気になる上に音場が狭かったので外しました。RS-1は声が明るすぎる点が気になります。SRH1840は悪くないのですが、声はもう少し落ち着いていて柔らかい方が良いように思われます。T1は高域が悪目立ちする上に全体的に音が硬い点が気になります。

・5台目 IE8(SENNHEISER)
 フィーリングで選びました。音の広がりと声の柔らかさが良いです。独特の味わいやシリアスな雰囲気も壊しません。曇りはやや気になりますが、IE8の長所を維持したまま曇りを改善できるものは見当たりませんでした。色々と聴いてみたのですが、EPH-100は悪くないものの高域が悪目立ちする点がやや気になる、Image X10は悪くないもののIE8と比べると音場が狭い、SE535は違和感が気になる等の不満がありました。
 他にはSE215とSHE9700が良かったです。消去法で選ばれたような感じですが、比較的欠点が少なく雰囲気は出してくれると思います。


 今回は1、2台目の探索で聴いたものと3、4台目の探索で聴いたものにかなり差があったような印象です。今回の曲は特に録音が良いとか分解能を必要とするといったことはないと思いますが、結果的には音場の広さがある程度重要になってきたのでその部分で差が出た面があるのではないかと思います。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。独特の味わいを壊したり声の硬さが気になったりすることがありません。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。













戻る





TOP > 曲別HP探索2 > 第77回