第68回 トキドキセカイ/WEAVER「Tapestry」より

 WEAVERは日本のスリーピースピアノ・ロックバンドです。メンバーはヴォーカル・ピアノ、ベース、ドラムスです。
 今回取り上げるのは2010年発表の1stアルバム「Tapestry」の1曲目です。ヴォーカルは男性としては高めで、曲全体の印象もどちらかと言うと明るめだと思います。ピアノがヴォーカルなみに活躍する点が特徴的です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「ヴォーカル・ピアノ・ドラムの音を疾走感を楽しみながら細かく楽しみたいです」とのことです。フィーリングもあるでしょうが、具体的なポイントとしては切れと分解能がある程度重要になってくると思います。


・1台目 MDR-V6(SONY)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れ、分解能ともに良いですし、フィーリングの部分でも疾走感がしっかり感じられます。これは切れや分解能と言うよりおそらくメリハリが寄与しているのではないかと思います。
 他にはCPH7000、HI2050、HPS5000、PRO DJ100等で聴いてみました。CPH7000は切れも分解能も良いのですが、フィーリングとしてはやや淡々と鳴らす感じで疾走感とは少し違うように思われます。HI2050は悪くないのですが、フィーリングの部分でMDR-V6ほど疾走感がありません。HPS5000は疾走感はあるのですが分解能はやや不足しています。PRO DJ100はなかなか良いのですが、MDR-V6と比べるとメリハリに欠けるぶん疾走感が出ない印象です。
 不満点は、ヴォーカルの音色が不自然な点です。

・2台目 HA-MX10-B(Victor)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。1台目のヴォーカルを自然にして、低域の量を少し減らしたような音です。1台目同様切れ、分解能ともに良いですし、フィーリングの部分でも疾走感がしっかり感じられます。ヴォーカルだけでなくピアノの音色も1台目より自然です。
 他にはEX-29、HD280Pro、K181DJ、MDR-CD900ST等で聴いてみました。EX-29は切れや分解能は問題ないのですが、音色が暗いせいで疾走感はあまり感じられませんし、ヴォーカルに1台目とは違う傾向の癖があります。HD280Proは1台目の不満点は改善されますが、疾走感はもう少し出して欲しかったところです。K181DJは悪くないのですが、低域の量が多すぎるせいで疾走感よりも迫力が感じられる傾向になってしまいます。MDR-CD900STは1台目の不満点は改善されますが、疾走感は良くもなく悪くもなくといった感じです。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 色々聴いてみた結果これになりました。特にフィーリングの部分での疾走感が素晴らしいです。全体的に音色が明るめな点も今回の曲に合っているように感じられます。ヴォーカルやピアノの音色についても、明るめな点を除けばあまり違和感なく聴ける範囲だと思います。細部は粗があるのでその点は減点対象ですが、そこまで含めて総合的に見ても今回聴いた他の機種と比べて優れている印象です。
 不満点は、細部の粗が気になる点です。

・4台目 HD800(SENNHEISER)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。疾走感だけを見るならどれを選ぶべきかかなり迷う印象ですが、3台目の不満点、分解能、音色の自然さといった点まで考えるとこれが頭一つ抜けているように思われます。
 他にはATH-A2000X、DT660 Edition 2007、HD25-1、HFI-780等で聴いてみました。ATH-A2000Xは悪くないのですが、スルスルと凹凸なくスムーズに流れていってしまうようなところがあって、それが疾走感にはマイナスの影響を与えているように感じられます。DT660 Edition 2007は疾走感は良いのですが、3台目の不満点は改善されません。HD25-1はある種の疾走感はあると思いますが、今回の曲を楽しむには音色が暗めだと思いますし、分解能ももう少し欲しい印象です。HFI-780は1台目に近いメリハリがある感じで疾走感がありますが、HD800と比べると3台目の不満点は改善されません。

・5台目 ATH-CK100PRO(audio-technica)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。疾走感と細部の表現の両立という意味で最も良いように感じられます。色々と聴いてみたのですが、HiDefJax AcousticSteelはやや曇っていて細部の表現が物足りない、MDR-EX1000は悪くないもののフィーリングとしてはやや淡々と鳴らす感じで疾走感とは少し違うように思われる、Turbine Pro Copperは疾走感に加えてピアノの質感も魅力的ではあるもののATH-CK100PROと比べると細部の表現が物足りない等の不満がありました。
 他にはHP-FX500とKH-C311が良かったです。どちらも細部の表現が物足りない面はありますが、疾走感はかなりのものです。


 今回は疾走感と細部の表現の両立を目指して探索した結果このようになりましたが、例によってどちらをどの程度重視するかの匙加減で選ばれるヘッドホンがかなり変わってくると思います。本文まで読んで自分に合ったヘッドホンを探してみてください。
 ヘッドホンアンプはhpa200b(ハイエンド仕様)が良いと思います。疾走感と細部の表現の両立に向いています。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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