第63回 In The Mood/Glenn Miller「Platinum Glenn Miller」より

 Glenn Millerはアメリカのトロンボーン奏者です。映画「グレン・ミラー物語」やテレビCM等で有名なので、誰でも名前くらいは知っているのではないでしょうか。ジャンルとしてはジャズで、その中でもスウィングジャズやビッグバンドと言われるジャンルになります。
 今回取り上げるのはベストアルバム「Platinum Glenn Miller」のDisc2、1曲目です。非常に有名で、ビッグバンドの代表的な曲とも言えます。自然と体が動くような曲です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。大人数編成らしいスケールの大きさを出してくれることと、サックス・トランペット・トロンボーンの各セクションをバランス良く鳴らしてくれることを重視したいと思います。モノラル録音なのでスケールの大きさとはどうかと思うという人もいるかもしれませんが、音の距離や鳴りっぷりの良さ等によりモノラルにはモノラルなりのものがあるという前提で探索したいと思います。


・1台目 ATH-TAD500(audio-technica)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。スケールの大きさはそれなりです。今回の曲はどうもトランペットが目立ちすぎるところがあるように思いますが、ATH-TAD500はそれほど酷くはありません。特別どこが良いと言うよりは、総合的に悪いところが少ないため選ばれた感じです。
 他にはDT231PRO、HI2050、HP-535、HP-RX900等で聴いてみました。DT231PROは楽器の質感はとても良いですし、バランスも悪くないのですが、スケールは小さいです。HI2050はトランペットが明るすぎてチープで、目立ちすぎます。HP-535は音像が小さいせいかどこかスケールが小さいように感じられますし、全体的に音色の癖が多少気になります。HP-RX900はスケールの大きさは感じられるのですが、トランペットが張り出すような感じで悪目立ちします。
 不満点は、もう少しスケールの大きさが欲しい点、トランペットはもう少し目立たなくても良い点です。

・2台目 MDR-1R(SONY)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはある程度改善されます。特にトランペットは質的にも量的にも控え目な印象です。むしろ控え目すぎるくらいです。今回の曲は低域があまり含まれていませんが、にもかかわらず全体的にもやっとしている感じです。各楽器の音色も全体的に暗めです。
 他にはAH-D1100、MDR-MA900、SRH840、T50RP等で聴いてみました。AH-D1100は音像が小さいせいかどこかスケールが小さいように感じられます。MDR-MA900はトランペットが改善されません。SRH840はスケールの大きさは良いのですが、トランペットが目立ちます。T50RPは最後までMDR-1Rと迷いましたが、鳴り方がおとなしいせいかスケールの大きさで見劣りする感じがしたので外しました。
 不満点は、バランスが低音よりすぎる点、各楽器の音色が暗い点です。

・3台目 HDJ-2000(Pioneer)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。ちょうど2台目をベースにして不満点を適度に改善したような音になっています。2台目と比べて低域の量が少なく全体的にもやっとしている感じが薄れ、各楽器の音色も若干明るくなっています。ただし、他の多くのヘッドホンと比べればややもやっとしていて音色も暗めだとは思います。
 不満点は、スケールの大きさがあまり感じられない点です。

・4台目 HD650(SENNHEISER)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり感じられます。2、3台目よりはトランペットが目立つ感じですが、他の多くのヘッドホンと比べると目立たない方だと思います。広い目で見ると、各セクションのバランスも良く違和感なく聴くことができますし、非常にうまくまとまっている印象です。
 他にはCUSTOM ONE PRO、DT880、SR-007+SRM-717、SRH1840等で聴いてみました。CUSTOM ONE PROはなかなか良いのですが、HD650と比べるとスケールの大きさが感じられません。DT880、SR-007+SRM-717、SRH1840はどれも2、3台目の不満店が改善されますが、トランペットが目立ちすぎるという共通の問題点があります。もちろん、これはどちらかと言うとヘッドホンの問題と言うよりはソースの問題だとは思いますが。

・5台目 EPH-100(YAMAHA)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。スケールの大きさ、各セクションのバランスともに悪くありませんし、トランペットが目立ちすぎない割には金属的な質感が感じられる点も魅力です。他の楽器についても質感がリアルです。色々と聴いてみたのですが、HP-TWF11Rはなかなか良いもののEPH-100と比べると各セクションのバランスが悪い、IE8はEPH-100と比べると楽器の質感で見劣りする、SE535はスケールが大きいと言うより臨場感がある傾向等の不満がありました。
 他にはSE215とS1110が良かったです。スケールの大きさが感じられますし、目立ちすぎなトランペットを抑えてくれます。


 今回は実際聴いてみるとかなりトランペットが目立ったため、選ばれたヘッドホンはトランペットが目立たない傾向になっていると思います。
 ヘッドホンアンプはSXH2が良いと思います。目立ちすぎなトランペットを抑えてくれます。トランペットがヘッドホンで十分抑えられているならAT-HA2002が良いと思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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