第32回 AGHARTHA/SUNN O)))「MONOLITHS & DIMENSIONS」より

 SUNN O)))はアメリカのドローンメタルバンドです。大音量のライヴで有名です。
 今回取り上げるのは2009年発表のアルバム「MONOLITHS & DIMENSIONS」の1曲目です。低音がかなりのウェイトを占め、テンポが非常に遅いのも特徴です。実験的で、「これは音楽と言えるのか?」と感じる人もいると思います。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「音の大波濤によって鼓膜どころか脳髄を揺さぶられ、意識が朦朧となる、彼等のライヴならではの感覚を自宅で再体験したい。凄まじい音量で演奏するミュージシャンとして有名なので、音量が取れること、楽曲の意図が伝わる(原音に忠実である)ことを重視する。」とのことです。音量の取りやすさを重視するため、今回は変則的にボリューム位置を高めに固定して探索することにしたいと思います。また、ここには書いてありませんが、脳髄を揺さぶられるような感覚を得るには実質的に低域がしっかり出ることが必要になってくると思いますので、その点も重視したいと思います。なお、曲別HP探索2ではHD53を使用していますが、HD53は他の多くのヘッドホンアンプと比べてヘッドホンの音量の取りやすさが大きく異なるため、今回に限ってHD-1L Limited Edition(RC1)を使用します。


・1台目 HA-S800(Victor)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。今回聴いた中では、音量の取りやすさと低域の量の両方でトップレベルです。
 他にはATH-WS70、HGP-755、HX-5000、MDR-XB700、PortaPro、SE-M870等で聴いてみました。ATH-WS70はHA-S800と比べてやや音量が取りにくいですし、中低域が少なく低域が締まっているせいか物足りない感じです。HGP-755は最後までHA-S800と迷いましたが、ヴォーカルが悪目立ちしたりして違和感が気になったので外しました。HX-5000とSE-M870はやや音量が取りにくいです。MDR-XB700とPortaProは音量の取りやすさも低域の量も悪くないのですが、MDR-XB700は遠くから音を鳴らす感じが、PortaProは密閉型のような圧力がない点が悪い方に働く印象です。
 不満点は、細部が潰れてしまうためある意味原音に忠実でない点です。

・2台目 K181DJ(AKG)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。低域は量よりも質の違いが大きいです。K181DJの方が重心が低く存在感のある塊のような質です。今回の曲にはこういった質の方が向いている印象です。音量の取りやすさは1台目の方が若干上です。
 他にはDJX-1、MDR-Z700DJ、RP-DH1200、Studiophile Q40等で聴いてみました。DJX-1はやや音量が取りにくいです。MDR-Z700DJは低域の量が物足りない感じです。RP-DH1200は音量の取りやすさではK181DJより若干上ですが、1台目の不満点を改善するにはK181DJの方が良いです。Studiophile Q40は音量の取りやすさはK181DJと大差ありませんが、こちらも1台目の不満点を改善するにはK181DJの方が良いです。低域の質については、K181DJが最も重心が低く存在感のある塊のような質で、次いでStudiophile Q40、RP-DH1200という順です。
 不満点と言うか希望は、1台目と2台目の良いとこ取りをしたいということです。

・3台目 Bose on-ear headphones(BOSE)
 良いとこ取りを目指しましたが、やはり難しかったです。結果的に、良いとこ取りと言うよりも様々な点について1台目と2台目の間くらいになっている印象です。様々な点とは、音量の取りやすさ、低域の曇り具合、細部の潰れ具合です。低域の量感という意味では今回聴いた中でトップレベルです。1台目では低域が曇った感じで存在感が足りない、2台目では低域が締まりすぎていて量感が足りない、という人には最適だと思います。低域の量が多い点を除けばそれほど違和感のない音を鳴らす点も長所です。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 HD25-1(SENNHEISER)
 なかなか良いものが見つからず悩みましたが、最終的には消去法でこれになりました。低域の量はやや物足りないのですが、音量が取りやすく細部も潰れずに聴こえてくる点は良いです。
 他にはAH-D5000、DT990PRO、K242HD、PRO900等で聴いてみました。AH-D5000は最後までHD25-1と迷いましたが、ローエンドは出るものの圧力が物足りない感じなので外しました。DT990PROとK242HDは低域の量は多いのですが、いかんせん音量が取りにくいです。PRO900はDT990PROやK242HDほどではないものの音量が取りにくいです。ただし、音量さえ取れるなら低域の量感や存在感はなかなか良いです。

・5台目 Westone3(Westone)
 最も音量が取りやすかったので選びました。低域の量も十分出ますし、細部も潰れません。色々と聴いてみたのですが、HP-TWF11RとIE8はWestone3と比べると若干音量が取りにくい上に細部が潰れる、m5はかなり音量が取りにくい等の不満がありました。ただし、濃密で存在感のある低域を求めるのであれば、この3つはどれもWestone3より良いと思います。特にIE8は総合的に見てWestone3と甲乙つけがたい印象です。
 他にはATH-CKM50とS1110が良かったです。どちらも音量が取りやすく低域の量も多いです。


 今回は高価なものより2万円以下の方が充実していたような印象です。これは、高価なヘッドホンになるほど音量の取りにくいものやバランスの良いもの(つまり低域の量があまり多くないもの)が増えてくるためではないかと思います。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。低域はローエンドまできっちり出ますし、圧力もあります。今回の条件だと、メーカーでゲインを調節してもらえる点もメリットだと思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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