DT880

AT-HA2002
 DT880の暗い音調が好きな人には合わない音だが、暗すぎると感じる人にはなかなか良いと思われる。AT-HA2002らしく明瞭で情報量豊か。低域のローエンドまで伸びている感触はそのままに、量はやや控えめになっているように感じる。中高域〜高域の高く澄んだ鮮やかな音色は、DT880本来のものに加えて、AT-HA2002の力で見事な表現になっている。ただ、HA-1Aと比べると音が凝縮されて細いせいか、やや聴き疲れするように感じる。
 サ行の音もやや痛いが、ヴォーカルの艶っぽさは損なわれない。ぼやけ気味の声も比較的瑞々しく表現してくれる。コーラスはよく分かれて聴こえる。ウォームさはそのままなので、打ち込み系の音にはあまり合わない。ロックはソースによってはややあっさり過ぎるように感じるが、HA-1AやHD53と比べると切れは段違いに良い。それにしても基本的には非常に良いバランス。暗い印象のDT880にしてはメリハリがあり、生き生きした演奏の交響曲等に最適。ジャズはウッドベースがやや沈みきらない感はあるものの総合的に見てかなり良い。ハイハットやシンバルが非常に美しい。ピアノの輪郭は明確でありながら過剰な硬さはまったく感じない。残響音もAT-HA2002にしてはかなり豊かで、一般的な見方をしても必要量は感じられる。

HA-1A
 なかなかバランスが良い。もともとDT880を暗すぎると感じる人には向かないかもしれないが、基本的にはDT880とHA-1A両方の持つ良さが感じられる。繊細で温かみに溢れ、しかも力強く刺激的。よく言われる「音楽的」な表現のものを求めている人にはかなり合うと思われる。分解能や情報量も十分。正直言って、聴くまではもっと低域が強くて太い音になるかと思っていたのだが、杞憂だった。深く沈みこむような上品で柔らかくやや厚めの低域。高域の表現も不満は感じない。
 ヴォーカルはサ行の音の痛さはあるものの、非常に艶っぽい。コーラスは分離よりも、馴染んで一体化して美しいという印象。全音域に渡って文句のない表現力。残響音も豊かで、音の最後の一粒が消えるところまで味わえる。ジャズには良く合う反面、DT880のウォームさをかなり引き出しているため、打ち込み系の音には合わない。ロックは音が一塊でぶつかってくる感触が楽しめる(もちろん密閉型ほどではないが)。ピアノが滑らかで蕩けるように心地よいが、そのぶん輪郭はやや甘い。ジャズはウッドベースが深みのある味わいを出してくれる。オーケストラはやや分離が悪いようにも思うが、表現力という意味ではなかなかのもの。ウッドベースと同様、チェロやコントラバスも非常に味わい深いものがある。
 HA-1Aのノイズはやや気になるが、インピーダンス切り換えを一段下げると気にならないレベルになる。

HD53
 DT880らしい暗い音調。低域はローエンドまで綺麗に伸びているが、あまり柔らかくはない。そのせいか明瞭さにはやや欠けるものの、高域は硬く鋭く刺激的。AT-HA2002やHA-1Aと比べて癖がないのだが、どこか物足りない、薄い音。繊細さや力感もいまひとつ。音が粗く、曇っているように感じられる。おそらくこれは、相性と言うよりもHD53の力不足がそのまま出ているだけだろう。
 ヴォーカルの艶っぽさは十分に感じられる。ただし、サ行の音等はやや痛い。コーラスはよく分離してくれるのだが、やや詰めが甘い感じ。打ち込み系の音にしろロックにしろ、どこか音に粗があり完成度は高くないものの、ソースを選ばないという良さは有るように感じた。残響音が豊かなのは良いのだが、明瞭さ不足による曇りと合わさり、低域の豊かなオーケストラ等にはあまり合わない。ジャズはウッドベースがやや薄いように感じるし、全体的にやや薄味。そういう意味では、オーケストラも同様。

SXH2
 全体的にやや暗めの音調で、DT880らしい音だが、高域は気持ち控え目。低域の厚みが薄めなのはHD53と似ているが、比較にならないくらい滑らかで柔らかい。ただ、幾分ぼやけ気味かもしれない。中高域から高域は刺激が程よく低減されるが、低域と比べるとほとんど低減されていないと言っても良い程度。刺激が低減されると言っても、元が元だけに十分な刺激はある。全体として、HA-1Aほど濃い音ではないし、残響音が豊かでもない。するすると音が流れていく感じで聴きやすい。当然メリハリには欠ける。AT-HA2002ほどの明るさや情報量はないし、むしろかなり少ないようにも感じるが、DT880本来の魅力を引き出しているという意味ではSXH2はかなりのものだろう。ただ、線の細さやウォームさについてはやや生かされていない部分も感じられる。
 ヴォーカルはやや曇り気味でぬるく、HA-1Aほどの繊細さもAT-HA2002ほどの瑞々しさもないが、柔らかく滑らか。コーラスは分離が甘いが、これは滑らかさからくるもので致し方なかろう。ピアノは非常に柔らかく、輪郭が甘い。この点については良くも悪くもHA-1A以上かもしれない。オーケストラは迫力、勢い、厚み、情報量等いまいち。まったり聴くときには良いだろうが、そうでなければ違う組み合わせの方が良いだろう。ロックを聴くには低域が致命的に薄く柔らか。DT880はもともとロックを聴くには厳しいが、SXH2との組み合わせではさらに相性が悪くなる。打ち込み系の音はロック同様低域の厚みの薄さや切れの無さが合わない。ジャズはもう少しウッドベースに深みが欲しかったところだが、基本的には悪くない。ギターはSXH2にしては意外と明るく軽快な表現が楽しめる。弦楽器は、特にチェロ等の低域で厚み不足に感じられるものの、滑らかで非常に心地よい。ブラスはDT880の持ち味をしっかり発揮してくれる。明るく曇りが感じられない。オルガンはヴォーカルや弦楽器同様非常に滑らかな一方、厚みには欠ける。
 また、HD53のようなボリュームのガリノイズやHA-1Aのような無音時のノイズがないのは良い。







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