HA-1A

概要
　詳細はメーカー製品ページを参照のこと。
　ヘッドホンアンプ、インテグレーテッドアンプ、プリアンプとして使用できる多機能な真空管アンプ。入力端子はRCA×1系統。出力はヘッドホン端子（標準サイズ1個）以外に、スピーカー出力が1系統、RCAが1系統ある。
　ヘッドホン出力を使用するかプリアウトを使用するかの切替スイッチが前面にある（同時使用はできない）。音の好みに応じてTRIODEとULTRALINEARの2つの動作モードが選択できる。ヘッドホンのインピーダンス切替スイッチ（6-32Ω、33-64Ω、65-120Ω、121-300Ωの4段階）があり、真空管アンプながら広範囲のインピーダンスに対応している。
　サイズはともかく、縦長の形状が使いづらいと感じる人もいそう。重量はやや重め。外観はかなり万人向けだろう。私が所有しているものはブラックだが、シルバーもある。真空管が青くライトアップされているのを窓から見ることができる。なかなか美しく、雰囲気がある。

音質
　スケールが大きく、温かみに溢れている。濃密で力強い鳴らし方でありながら、各楽器の微細な描写はしっかりこなしてくれる。真空管の良さが全面に出ている印象。ソースの持つ温かみや艶がかなり上乗せされる印象。密度はかなり高い。粗がないとは言わないが、その粗も艶に感じさせるような風合い。輪郭はぼやけ気味。質感は柔らかく、非常に温かい。表面にどこかサラサラした質感を感じることがある。音の立ち上がりは、質感が柔らかいせいもありあまり良くないように感じられる。アコースティックな楽器には合うが、打ち込み系の音には合わない傾向。
　周波数特性は低音よりから、低音よりのドンシャリ。低域はかなり膨らんでいる。高域は、量は十分出るが細く分かれるような鳴らし方で、硬い金属的な感じはあまりしない。情報量は多いとは感じないが、それほど不満には感じないレベル。そもそも情報量を求める機種ではなく、真空管の魅力を堪能する機種であるように感じる。音の分離はあまり良くないが、微細な描写はうまい。ソースに忠実に緻密に描写するわけではないかもしれないが、聴いていて心地よく不自然さがない。空間表現はAT-HA2002と同様、空間に音が満ちる感じで細かい把握には向かない。残響音はかなり豊かで、伸びも良い。
　背面にULTRALINEARとTRIODEの切替スイッチが付いているが、極端な違いはない。ULTRALINEARの方が同ボリュームだと音量が大きくなり、ホワイトノイズも大きくなるのが最大の違い。音質的にはULTRALINEARの方がやや繊細か。
　相性の良いヘッドホンは、無音時のホワイトノイズの小ささを重視するなら高インピーダンス・低感度の機種。音質的には、あまり低域が豊かで音が柔らかいものは合わないだろう。低域が不足気味のヘッドホンでは低域の不足を補ってくれるし、音が硬いヘッドホンでは硬さを和らげてくれるので、そのような機種が良いかもしれない。RS-1やMDR-SA5000が良い例だろう。

その他
　ボリュームノブの直径は約16mmとやや小さめだが、奥行きがあるため摘みやすく、使いづらさは感じない。ギャングエラーやガリノイズはない。ボリュームは低音量から大音量まで破綻しないし、ボリュームを回すのに合わせて正確に音量を上下してくれる。音量のとりやすいヘッドホンでは8時くらいで十分な音量が取れることもあるが、ボリュームを絞っても安定した動作をしてくれるので、実用上問題はない。音量のとりづらいヘッドホンでも12時以上に上げる必要はほとんどないだろう。ボリュームのタッチはやや重い。
　真空管に由来するノイズがかなり大きく、インピーダンスが小さく感度が高いヘッドホンでは、ノイズの小さいTRIODEモードであってもかなりノイズが気になる。なお、インピーダンス切り替えスイッチは一応ヘッドホンのインピーダンスに対応させて切り替えるようになっているが、対応インピーダンスが小さいほどノイズが小さくなり6-32Ωで最もノイズが小さくなるため、ノイズが気になる場合にはインピーダンス切り替えスイッチを下げると良いだろう。
　TRIODEとULTRALINEARを切り替える際、かなり大きな異音が発生するため、切り替える際はヘッドホンを外しておいた方が良いだろう。インピーダンス切り替えやヘッドホンアンプ/プリアンプ切り替えの際は、異音は発生しない。
　本体の発熱はかなりある。長時間使用すると数秒以上は手で触っていられないほどだが、真空管アンプとしては普通のレベルだろう。電源ランプは青色でやや明るい上、正面の窓からかなり明かりが漏れる。

付属品
電源ケーブル

参考
不定期コラム『第40回　ヘッドホンアンプの内部写真』










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スペック

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公開日：2006.10.16