Image X10

音質
 かなりフラット。低域は質的にも量的にも普通。特に締まっているわけでもぼやけているわけでもなく、重心が低いわけでも高いわけでもない。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。うわずったり張り出したりすることがほとんどない点が好印象。高域は癖が小さく、粗もない。やや線が細い傾向。量的には中域と同等から若干少なめ。
 分解能はなかなか良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ十分なものを持っている。音場感は、イヤーピースをかなり耳の奥に入れるせいかやや頭内定位が気になる感じではあるが、それなりに見晴らしが良く明確。原音忠実性はなかなか良い。周波数特性上の癖は小さいし、一聴して違和感の小さい音。原音の粗や生っぽさもある程度感じられる。エッジは基本的にはあまりきつくなくそれほど聴き疲れしないが、ヴォーカルのサ行は多少痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通からやや薄め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。低音の量が多くない割には自然な柔らかさと適度な響きで温かみを得ている印象。ノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、どちらかと言うと繊細な傾向。響きは適度。
 弦楽器は繊細かつ心地よいし、生楽器らしさも感じられる。金管楽器はあまり派手さはないが、綺麗で澄んだ音が楽しめる。打ち込み系の音の表現はそれなり。音の厚みや切れがもう少し欲しかったところ。
 良い具合に肩の力が抜けていて、癖がなく自然で綺麗な音を聴かせてくれる機種。
 なお、本機は接続する機器によって非常に大きく音が変わる。多くの機器では上記の内容と比べて低音よりになり音が柔らかくぼやけて不明瞭になる。分解能や原音忠実性も悪くなるように感じることが多い。音質評点は3.5〜4点程度に落ちる。ほとんど別物と考えて良いだろう。例えば、上記の内容がMDR-SA5000だとすると、他の多くの機器ではHD650(実際にはどちらももう少し低域にシフトしたような印象)。「音の傾向」表記だと「均」と「低」。

装着感
 良好。カナル型なので耳穴に対する圧迫は多少あるが、それを除けば着けていることを忘れるような小ささと軽量さ。かなり耳の奥まで入る感じ。ずれやすい、コードが顔に当たりやすい等の不満はない。
 イヤーピースの材質はシリコン。円形ではなく楕円形。シングルフランジ3サイズ、ダブルフランジ2サイズが付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。
 作り、デザインはなかなか良い。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ(なだらかなL型)。コードの太さは合流前・合流後ともに約1.5mmだが、合流後の方がやや太い。硬さは普通でやや癖が付きやすいが、すぐに戻せる。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
イヤーピース5種類
航空機用Dual Plug adapter
収納ケース2種類
クリーニングツール



参考
代理店製品ページ

不定期コラム『第77回 価格別favorite headphones インナーイヤー版 3回目』

周波数特性グラフ


比較メモ
E4c
どちらもかなりフラット。低域はImage X10の方がやや柔らかく、ローエンドがしっかり出る。量はImage X10の方が若干多い。中域はE4cの方がやや高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はE4cの方が太く明るい質で、量もやや多く目立つ。この2機種を比べると、E4cの方が高音よりと言える。分解能はImage X10の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写で若干勝っている。音場感はE4cの方がやや広く明確。原音忠実性はImage X10の方が上。一聴して違和感が小さいし、周波数特性上の癖も小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは同程度。エッジはE4cの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はE4cの方がやや痛く、ヴォーカルのサ行はImage X10の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方がやや上。ただし、これはE4cの方が作ったような明るさがあることによる部分も大きい。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはImage X10の方が上。E4cの方がノリが良く、Image X10の方が繊細。E4cの方が切れやスピード感がある。Image X10の方が全体的に自然で変な強調感がない。響きはImage X10の方がやや豊か。弦楽器はImage X10の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はE4cの方が力強く鮮やか。打ち込み系の音の表現はE4cの方がややうまい。音の質感の相性、切れ、音の厚み等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、明るさや切れを求めるならE4c、自然さや温かみを求めるならImage X10。

ER-4S
どちらもかなりフラット。低域はImage X10の方がやや柔らかく重心が低い。量はImage X10の方がやや多め。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、ER-4Sの方がやや高い音で低域に邪魔されない。高域はER-4Sの方が線が細くやや量が多い。この2機種を比べると、ER-4Sの方が高音よりと言える。分解能はER-4Sの方がやや上。一つ一つの音の微細な描写に多少差がある。音場感は、広さは大差ないが、ER-4Sの方がやや明確。原音忠実性はER-4Sの方がやや上。ER-4Sの方が原音の粗や生っぽさが感じられる。ただ、Image X10の方が自然な柔らかさがあるし、ER-4Sはコンデンサー型のような独特の質感がマイナスという人もいるだろう。エッジはER-4Sの方がややきつく、聴き疲れしやすい。高域はER-4Sの方が細く量が多いため痛いが、ヴォーカルのサ行はImage X10の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはER-4Sの方がやや上。厚みはImage X10の方が多少あるが、それよりもER-4Sの方が硬く締まっていることに目が行く。温かみはImage X10の方がやや感じられる。低音の量が多く、全体的に柔らかい音であるため。ヴォーカルの艶っぽさはER-4Sの方がやや上。ただし、Image X10の方が低く落ち着いた音で柔らかく心地よい。ER-4Sの方が繊細。響きはImage X10の方がやや豊か。ER-4Sの方が分析的、Image X10の方が自然な柔らかさや余裕が感じられる。弦楽器は一概にどちらがうまいとは言えない。ER-4Sの方が繊細、Image X10の方が心地よい。コンデンサー型のような質感を好むならER-4Sの方が良い。コントラバス等の量感が欲しいならImage X10の方が良い。金管楽器は、量や音の高さはそれほど変わらないが、ER-4Sの方が割れ方を細部まで描写してくれる。逆に言うと、Image X10の方がシンプルな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性や切れはER-4Sの方が良いが、線が細い点がマイナスだし、Image X10の方が低域の量感や音の厚みで勝っている。使い分けるなら、基本的にはER-4S、ER-4Sでは音の質感が合わないとか低域の量が少ないという不満があるならImage X10。

GR8
どちらもかなりフラット。低域はImage X10の方がやや量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感にある程度の差がある。中域はGR8の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はImage X10の方が若干量が多い。GR8の方がやや線が細く、Image X10の方がやや金属的。この2機種を比べると、Image X10の方がドンシャリと言える。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。ただし、音場的な意味でGR8の方が分離が良いように感じることはある。音場感はGR8の方が広く見晴らしが良い。Image X10の方が横に間延びしたような音場で、頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はImage X10の方がやや上。低域・中域・高域すべてGR8の方が若干癖がある印象。原音の粗や生っぽさはImage X10の方が若干感じられる。エッジはImage X10の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろImage X10の方がやや鋭く刺さる。明瞭さはGR8の方がやや上、音の鮮やかさはImage X10の方が若干上。厚みはImage X10の方がある。温かみはImage X10の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。それなりに似た傾向ではあるが、GR8の方がやや明るく澄んでいて、Image X10の方が柔らかく心地よい。GR8の方が繊細、Image X10の方がニュートラル。GR8の方が全体的にあっさりしている。響きはImage X10の方がやや豊か。弦楽器は、基本的にはImage X10の方が音色が自然で心地よく聴きやすいが、ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならGR8の方が良いこともある。金管楽器はどちらもなかなか明るく鮮やかだが、Image X10の方がやや金属的で力強い。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性は大差なく、切れはGR8の方が若干上、厚みや低域の量感はImage X10の方がやや上。使い分けるなら、音場感や透明感重視ならGR8、自然さや温かみ重視ならImage X10。

HP101
HP101はややドンシャリ、Image X10はかなりフラット。低域はHP101の方がかなり量が多く、存在感がある。中域は、音の高さはImage X10の方が高く感じることが多いのだが、HP101の方が張り出すような癖が気になることが多い。高域はImage X10の方が細く高い音で粗がない。分解能はImage X10の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ多少差がある。音場感はImage X10の方が見晴らしが良く明確。ただし、頭内定位が気になりやすい面もある。原音忠実性はImage X10の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っており、一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさもImage X10の方が感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。ただし、ヴォーカルのサ行はImage X10の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはImage X10の方が上。厚みはHP101の方がある。温かみは低域の量が多い分HP101の方があるように感じがちだが、それを除くとむしろImage X10の方が温かみがあるくらいにも感じる。ヴォーカルの艶っぽさはImage X10の方が上。HP101の方が低域の量や音の厚みに基づく迫力がある。Image X10の方が繊細。響きはHP101の方がやや豊か。この2機種の音の違いは、普通にイメージされるダイナミック型とバランスド・アーマチュア型の音の違いがそれなりに出ているように感じられる。Image X10の方が線が細く綺麗で爽やか。弦楽器はImage X10の方がうまい。繊細かつ自然。金管楽器はImage X10の方が綺麗で澄んでいる。線が太く荒々しい感じが欲しいならHP101の方が良いだろうが、基本的にはImage X10の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばHP101の方がうまいか。音の厚みやダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、低域の量や音の厚みが欲しいならHP101、それほどでもないならImage X10。あるいは、迫力重視ならHP101、繊細さ重視ならImage X10。

Super.fi 5 Pro
どちらもかなりフラット。低域はSuper.fi 5 Proの方が薄く曇ったような質で、やや量が多い。中域はImage X10の方がやや高い音で、低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はImage X10の方が細く高い音で量も多い。この2機種を比べると、Image X10の方が高音よりと言える。分解能はImage X10の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ多少差がある。音場感はSuper.fi 5 Proの方が広く、Image X10の方が見晴らしが良く明確。原音忠実性はImage X10の方が上。一聴して違和感が小さいし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでも勝っている。エッジはImage X10の方がややきつく聴き疲れしやすい。特にヴォーカルのサ行は痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはImage X10の方が上。厚みはほぼ同レベルだが、それよりもImage X10の方が締まった音である点に目が行く。温かみは、ヴォーカルの艶っぽさはImage X10の方がやや上。ただし、Super.fi 5 Proの方が薄く曇っていてスモーキーなので、そういう表現を求めているならSuper.fi 5 Proの方が良いこともあるだろう。Image X10の方が繊細。響きは、低域はSuper.fi 5 Proの方がやや豊か、高域はImage X10の方がやや豊か。弦楽器はImage X10の方が繊細で生楽器らしさも感じられて良い。金管楽器はImage X10の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はImage X10の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはImage X10、Image X10では高域の量が多いとかヴォーカルのサ行が痛いという不満があるならSuper.fi 5 Pro。あるいは、基本的にはImage X10、ロック等の一部相性が良い音源のみSuper.fi 5 Pro。

Westone3
Image X10はかなりフラット、Westone3は低音よりのドンシャリ。低域はWestone3の方がある程度量が多い。Westone3の方が柔らかくぼやけた質。重心の低さはほぼ同レベル。中域は、Image X10の方が高い音で低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。ただし、Westone3の低く落ち着いた音と比べると、Image X10はややうわずるような印象。高域はほぼ同量。Image X10の方がやや細く明るく、Westone3の方がやや太く金属的。Image X10がハイハットをシャンと鳴らすところを、Westone3はチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能は微妙。音の分離は、低域の量が少なく全体的に硬く締まった音であるImage X10の方が良いように感じがちだが、Westone3は溶け合いながら分かれるような独特の分離感があり、聴き込むと甲乙つけがたい。一つ一つの音の微細な描写はほぼ同レベル。音場感はWestone3の方がやや広い。明確さはほぼ同レベル。原音忠実性はImage X10の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでもやや勝っている。エッジはImage X10の方がきつく、やや聴き疲れしやすい。高域はImage X10の方が若干痛く、ヴォーカルのサ行はImage X10の方がある程度痛い。明瞭さはImage X10の方が上、音の鮮やかさはImage X10の方が若干上。厚みはWestone3の方がややあるが、それよりもImage X10の方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみはWestone3の方が感じられる。低域が多いだけでなく、低域から中域が全体的に柔らかく心地よいため。ヴォーカルの艶っぽさはWestone3の方がやや上。特に、低く柔らかく鳴らして欲しい場合にはかなり差が出る。Image X10の方が切れやスピード感があり、Westone3の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはWestone3の方がやや豊か。Westone3の方が大音量で音数が増えても崩れたりせずに余裕がある鳴らし方。弦楽器はImage X10の方が生楽器らしさが感じられ、Westone3の方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならImage X10の方が良いが、チェロ等を心地よく聴きたいならWestone3の方が良い。金管楽器はどちらもなかなか鮮やか。Image X10の方がやや細く綺麗、Westone3の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現はImage X10の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れ重視ならImage X10、温かみや聴き疲れのなさ重視ならWestone3。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第7回 ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 作品49/メンデルスゾーン
第55回 チェロ協奏曲ニ長調Badley D1/ホフマン
第64回 はじめて/一青窈
第71回 ミラクルペイント/OSTER project feat. 初音ミク「OSTERさんのベスト」より
第80回 Where Were You/Jeff Beck「Jeff Beck's Guitar Shop」より
第98回 Luv (sic.) pt3 (Featuring Shing02/Nujabes「modal soul」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
バランスド・マイクロ・アーマチュア 密閉型 5Hz〜19kHz 110dB 50Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
3g - 1.25m 両出し(Y型) 収納ケース付属

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4.5 5 4 5 4 5 34800円

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公開日:2009.1.15