VR-403SV

音質
 ややドンシャリだが、広い目で見ればかなりフラット。低域は厚みは薄いが、量はそれなりに出る。中域はやや弱めで、多少うわずったり癖があったりするが、低域に埋もれたりはしない。高域は普通に出る感じで、特に癖はないし十分聴こえてくる。
 分解能、音場感、原音忠実性はすべていまいちだが、価格の割には良い。エッジのきつさは程々で、それほど聴き疲れしないし、適度な刺激が楽しめる。ただし、サ行の音はやや痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。厚み、密度は薄い。全体的に音が粗い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。どちらかと言えばノリが良いが、迫力や力強さはない。軽快で明るいノリの良さ。響きはややあっさりで、こもり感は気にならない。密閉型という表記だが、イヤーパッドは非常に音の抜けが良さそうな材質なので、そのせいだろう。その代わり、密閉型特有の圧力のある低域は出ない。
 弦楽器はやや高めの音を鳴らすし伸びも悪いため心地よさに欠ける。金管楽器はなかなか鮮やか。この点は十分に価格以上の働きをしてくれる。打ち込み系の音の表現はそれなり。中域から高域はなかなか良いのだが、低域の締まりのなさが合わない。コストパフォーマンスはかなり良いと言える。

装着感
 普通。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力ははやや強め。かなりずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズだが内側がやや耳に当たる。左右方向の角度調節ができない。材質はサラサラしたジャージ素材で、やや硬めだが蒸れにくい。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしてはかなり悪い。
 作りは安っぽいが、デザインはオーソドックスで価格のわりには悪くない印象を受ける。この価格で音質・装着感ともに何とか使用に堪えるレベルものは非常に珍しい。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約3mm、硬さは普通。ただし、5mのコードは長すぎて邪魔な上、断線が心配。イヤーパッドのサイズは、外周90mm×90mm、内周54mm×46mm、深さ18mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
不定期コラム『第32回 おでかけヘッドフォン2試聴レポ』

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-T2
ATH-T2は低音より、VR-403SVはドンシャリ。低域はATH-T2の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、VR-403SVの方がやや高い音。分解能、音場感、原音忠実性(自然さ)、ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。どちらも明瞭とは言いがたい音。厚みはATH-T2の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方が上。VR-403SVの方が癖が無く落ち着いている。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてVR-403SVの方がうまい。得意分野はATH-T2はロック、VR-403SVはポップス。使い分けるならロックはATH-T2、それ以外はVR-403SV。

CDH-505
CDH-505はやや低音より、VR-403SVはややドンシャリ。低域は量的にはほぼ同量だが、CDH-505の方がタイト。どちらもやや曇っているように感じるが、低域の曇りに限定すればVR-403SVの方が曇りが酷い。ただし、高域はVR-403SVの方がかなり出る。分解能、音場感はCDH-505の方がやや上。どちらも原音忠実とは言えないが、癖の無さという意味ではVR-403SVの方が良いだろう。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言うとVR-403SVの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらかと言えばVR-403SVの方が上。ただし、前述の通り低域の曇りはVR-403SVの方がある。厚み、密度はCDH-505の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方が上。どちらも基本的にはノリが良いのだが、曇りや嫌味があり、今一つといった印象。響きはVR-403SVの方が豊かだが、イヤーパッドの材質の違いから抜けも良いため、こもり感も気にならない。弦楽器はどちらもうまくない。金管楽器はVR-403SVの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。CDH-505の嫌味が気にならない人には、CDH-505の方が何を聴くにしても良さそうだが、VR-403SVの方が万人向けの音であるとは思う。

HP-X122
どちらもドンシャリ。HP-X122の方が低域も高域も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。VR-403SVはかなり曇っていて明瞭さにかけるが、HP-X122は明瞭。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上。とにかく明瞭さがまったく違う。

HP-RX500
HP-RX500はかなりフラット、VR-403SVはややドンシャリ。低域は、ローエンドはHP-RX500の方がやや出るように感じるが、基本的にはVR-403SVの方が強め。ただし、量の差よりも、質感の差の方が大きいように感じる。HP-RX500の方が柔らかく、抜けが悪い。中域は、HP-RX500が癖がなくおとなしいのに対して、VR-403SVはややうわずっていて目立つ。中高域はHP-RX500の方がやや強めだが、高域はVR-403SVの方が高い音で尖っている。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばVR-403SVの方が上。音場感はHP-RX500の方が立体感があり明確。原音忠実性は、HP-RX500の方が癖がなくて良い。VR-403SVの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはVR-403SVの方が上。厚みはどちらも薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-RX500の方が良い。ノリの良さならVR-403SV、繊細さならHP-RX500。響きはどちらも適度でほぼ互角。弦楽器はHP-RX500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はVR-403SVの方が明るい鳴らし方だが、HP-RX500の方が癖がなく好印象。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がうまい。HP-RX500はVR-403SVと比べるとウォームでおとなしすぎる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP-RX500、欠点があっても良いから明るくシャープに楽しみたいならVR-403SV。

P-801/L2
P-801/L2はやや高音より、VR-403SVはややドンシャリ。低域はVR-403SVの方がやや量が多い。ややぼやけた質。重心の低さはほぼ同レベル。中域は、P-801/L2の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、どちらかと言うと癖も小さい。高域はほぼ同量。P-801/L2の方が線が細く粗がない。P-801/L2がハイハットをシャンと鳴らすところを、VR-403SVはチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はP-801/L2の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとP-801/L2の方が上。音場感はP-801/L2の方がやや広く明確。VR-403SVの方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はP-801/L2の方がやや上。P-801/L2の方が一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。どちらもややサラサラしたような質感があるが、P-801/L2の方がサラサラ、VR-403SVの方がザラザラに近い印象。エッジはVR-403SVの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域やヴォーカルのサ行は、P-801/L2の方が細く鋭く刺さる感じ、VR-403SVの方が粗っぽく痛い感じ。どちらかと言うとP-801/L2の方が痛いことが多い。明瞭さはP-801/L2の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはVR-403SVの方がややある。温かみはほぼ同レベル、ヴォーカルの艶っぽさはP-801/L2の方がやや上。VR-403SVの方がノリが良く、P-801/L2の方が繊細。VR-403SVの方が鳴りっぷりが良い。P-801/L2の方が上品。VR-403SVの方が不要な芯が通っているような感じが気になることがある。響きは、低域はVR-403SVの方がやや豊か、高域はP-801/L2の方がやや豊か。弦楽器はP-801/L2の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然に感じることが多い。金管楽器はP-801/L2の方が細く綺麗、VR-403SVの方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がややうまい。低域の量感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等で少しずつ勝っている印象。使い分けるなら、繊細さ重視ならP-801/L2、ノリの良さ重視ならVR-403SV。あるいは、基本的にはP-801/L2、P-801/L2では低域の量が足りないとか上品過ぎるという不満があるならVR-403SV。

RP-HT510
どちらもドンシャリだが、VR-403SVの方がフラット。低域は、全体的な量はほぼ同量だが、厚みはRP-HT510の方がかなりある。と言うより、むしろVR-403SVが薄いと言う方が的確なのかもしれない。高域は圧倒的にRP-HT510の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HT510の方がやや上。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れする。高域がかなり強い上、音が割れて突き刺さってくる感じ。その反面、VR-403SVは曇っている。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はRP-HT510の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方がやや上。RP-HT510の方がノリが良い。響きはVR-403SVの方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてRP-HT510の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならジャンルではなく、聴き疲れしても良いならRP-HT510、聴き疲れしたくないならVR-403SVという方法が良いだろう。RP-HT510はとにかく疲れるし、音が割れる。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜20kHz 102dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
260g 50mm 5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 3 2 2 2 1 低(高) 1500円

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公開日:2005.2.15