UHP301

音質
 低音よりのかまぼこ。低域はやや少なめであまり存在感がない。特にぼやけているわけでも締まっているわけでもないが、詰まったような音でボスボスと鳴らす感じ。中域は、低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるのは良いが、うわずったり張り出したりして悪い意味で目立つことが多い。中高域はしっかり出るのだが、高域はかなり少ない。質的にはやや太く金属的で、粗が気になる。全体を見渡すと、とにかく中域から中高域が目立つ。
 分解能はいまいち。音に粗があり、細かい音が聴き取りづらい。音場感は広さや明確さは普通だが、音がやや前方に集まる感じの少し変わった音場。原音忠実性は悪い。一聴して違和感のある音だし、周波数特性上の癖も大きい。原音の粗や生っぽさは、多少は感じられる。普通の意味でのエッジのきつさとは違うかもしれないが、粗があって聴き疲れしやすい。ただし、ヴォーカルのサ行の音はあまり痛くない。
 明瞭さは低域が弱いことと中域が張り出すことから悪くはないが、音の鮮やかさはいまいち。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはあまり感じられないが、極端に冷たい音ではない。ヴォーカルはうわずったり張り出したりして痛いことが多い点がマイナス。粗があるという意味で繊細さに欠けるし、かと言ってノリが良いというわけでもない。響きはあっさり。
 弦楽器は繊細さも心地よさも足りない。かなり粗が気になる。金管楽器は弦楽器と比べれば楽しめるが、良くも悪くも張り出すよう感じが気になるし、痛いと感じることも多い。しかも高域が弱いために音色がおかしい。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性、音の厚み、低域の量感どれをとっても良くない。
 なお、本機はイヤーピースを外すと普通のイヤホン。その状態の音は、イヤーピースを装着しているときよりはまともな音。高域が出るようになるし、違和感も減少する。ただし、ザラザラした質感が気になる(特に高域)。個性的な音ではあるので、この状態か、もしくはこれに他機種の普通のアタッチメントを装着して使用するのは「あり」だろう。ただ、それにしてもコストパフォーマンスが良いとは言い難い。

装着感
 良好。ただし、普通のイヤホンと比べるとイヤーピースが耳にフィットしない感じで違和感があるし、耳に多少の負担はかかる。イヤーピースが変わった形状で、最初はきちんと装着できているのか良く分からない。慣れが必要。慣れてもあまりしっかり耳にはまる感じではない。ただし、普通のイヤホンと比べるとずれにくい点は良い。コードが顔に当たりやすい等の不満はない。
 イヤーピースの材質はシリコン。3サイズ付属している。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。どちらも普通のイヤホンと比べると若干良いが、普通のカナル型と比べると明らかに悪い。イヤーピースが耳にフィットしない形状であること、イヤーピースが覆わない背面部分にスリットが開いていることが主な理由だろう。
 作りは価格なりといった感じで、安価なイヤホンと比べると良い。デザインは青いイヤーピースさえ除けば悪くない。コードにボリュームコントロールが付いているが、出来はあまり良くない。ある程度音量をしぼっていくと露骨に音がおかしくなる(最小から1/4程度)。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは約2mm、布巻きで扱いやすい。

付属品
イヤーピース3種類
キャリングポーチ



参考
比較メモ
Bose in-ear headphones
Bose in-ear headphonesは低音より、UHP301は低音よりのかまぼこ。低域はBose in-ear headphonesの方が柔らかくぼやけていて、圧倒的に量が多い。中域はUHP301の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくるが、うわずったり張り出したりして悪い意味で目立つ面もある。高域はUHP301の方が太く金属的。それでいて粗が気になる。分解能はUHP301の方がやや上。音場感はUHP301の方が広く明確。原音忠実性は微妙だが、どちらも良くないのは確か。低域の量が多い点を除けばBose in-ear headphonesの方が一聴して違和感を感じにくい音。ただし、原音の粗や生っぽさはUHP301の方が多少なりとも感じられる。エッジはUHP301の方がきついが、Bose in-ear headphonesは低域の量が多すぎて疲れる面があるため、聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはUHP301の方が上。厚みは質が違うために判断が難しい。Bose in-ear headphonesの方が全体的に柔らかくぼやけているために厚みがあると感じがち。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはBose in-ear headphonesの方が上。低域の量が多いためBose in-ear headphonesの方がノリが良いと感じがちだが、スピード感や切れという意味ではUHP301の方が上。粗がないという意味で、Bose in-ear headphonesの方が繊細。響きはBose in-ear headphonesの方が豊か。弦楽器はBose in-ear headphonesの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はUHP301の方が鮮やかで楽しめるが、やや痛い感じで癖があるのでそれを嫌う人もいるだろう。打ち込み系の音の表現は、音の質感の相性はUHP301の方が良いが、いかんせん低域が不足しすぎ。使い分けるなら、低域の量が過剰でも良いならBose in-ear headphones、低域の量がかなり少なくても良いならUHP301。あるいは、柔らかく温かみのある音が良いならBose in-ear headphones、締まっていて明瞭な音が良いならUHP301。

iPod付属イヤホン
iPod付属イヤホンはフラット、UHP301は低音よりのかまぼこ。低域はUHP301の方が若干量が多い。UHP301の方が詰まったような音でボスボスと鳴らす感じ。iPod付属イヤホンの方が自然。中域から中高域はUHP301の方がうわずったり張り出したりするような感じで悪い意味で目立つ。高域はiPod付属イヤホンの方が細く高い音で量も多い。分解能はiPod付属イヤホンの方が上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感は広さや明確さの違いよりも質の違いが大きい。iPod付属イヤホンの方が自然で、普通のイヤホンの音場。UHP301はやや前方に音が集まる感じの癖のある音場。原音忠実性はiPod付属イヤホンの方が上。UHP301の方が一聴して違和感がある。エッジはUHP301の方がきつく聴き疲れしやすい。ただし、ヴォーカルのサ行の音はiPod付属イヤホンの方が鋭い。明瞭さ、音の鮮やかさはiPod付属イヤホンの方がやや上。厚みはUHP301の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiPod付属イヤホンの方が感じられる。iPod付属イヤホンの方が繊細。響きはiPod付属イヤホンの方が豊か。弦楽器はiPod付属イヤホンの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はiPod付属イヤホンの方が高い音でかつ自然。打ち込み系の音の表現は低域の量や音の厚みという要素を見ればUHP301の方が良いのだが、あまりに変な音を鳴らすため普通はiPod付属イヤホンの方がうまいと感じるだろう。ほとんど何を聴くにしてもiPod付属イヤホンの方が良いだろう。UHP301はiPod付属イヤホンと比べると違和感がありすぎるし、聴き疲れも酷い。

SE-CS25
SE-CS25は高音より、UHP301は低音よりのかまぼこ。低域はUHP301の方がやや量が多い。質的にはどちらもボスボスと鳴らすような癖がある点は似ている。中域はSE-CS25の方が高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。ソースによってはどちらもうわずったりする癖が気になるが、SE-CS25の方がやや気になることが多い。高域はSE-CS25の方が圧倒的に高く鋭い音で量も多い。この2機種の最大の違いはこの点だろう。分解能はSE-CS25の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろSE-CS25の方がやや上。音場感は、広さは大差ないがSE-CS25の方が明確で癖がない。原音忠実性は微妙。どちらもそれぞれ周波数特性上の癖があるし、違和感もある。原音の粗や生っぽさはSE-CS25の方がやや感じられる。エッジはSE-CS25の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSE-CS25の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CS25の方が上。厚みはUHP301の方が若干ある。温かみは低域が出る分UHP301の方が多少感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CS25の方がやや上。SE-CS25の方が明るく元気でノリが良い。響きは、低域はUHP301の方がやや豊か、高域はSE-CS25の方がやや豊か。ただし、高域についてはUHP301はほとんど聴こえてこないと言った方が正しいだろう。SE-CS25の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はSE-CS25の方が繊細で癖がない。金管楽器はSE-CS25の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-CS25の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、高域が欲しいならSE-CS25、不要ならUHP301。あるいは、基本的にはSE-CS25、SE-CS25では高域やエッジのきつさで聴き疲れするならUHP301。

ヘッドホン-3
どちらもかまぼこ。低域はUHP301の方がしっかり出る。ヘッドホン-3はローエンドはほとんど出ないが、UHP301はそこまで酷くはない。中域はどちらも低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくる。うわずったり張り出したりする点も似ている。どちらがうわずりや張り出しが酷いかはソースによって違ってくるが、UHP301の方が痛い感じになることが多い。高域はヘッドホン-3の方が細く高い音を鳴らす。この2機種を比べると、UHP301の方が低音より。分解能はほぼ同レベル。音場感は広さや明確さの違いよりも質の違いが大きい。UHP301の方が前方に音が集まる感じ、ヘッドホン-3の方が左右の広がりがある感じ。原音忠実性はUHP301の方が上。どちらも一聴して違和感のある音だが、UHP301の方が違和感が少ない。エッジはUHP301の方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはUHP301の方が上。厚みはUHP301の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもほとんど感じられないが、どちらかと言えばUHP301の方が良いか。ただし、ヴォーカルはUHP301の方がうわずったり張り出したりして良くないことが多いため、そういったソースではヘッドホン-3の方が良い。どちらも、ノリが良いとも繊細とも言えない音。響きはどちらもあっさりだが、低域はUHP301の方が豊か、高域はヘッドホン-3の方が豊か。弦楽器はどちらも下手だが、低域が欲しいならUHP301の方が良いだろうし、線が細い方が良いならヘッドホン-3の方が良いだろう。金管楽器はUHP301の方が太く力強く、ヘッドホン-3の方が高い音。打ち込み系の音の表現はUHP301の方がややうまい。低域の量や音の厚みで勝っている。使い分けるなら、低域が欲しいならUHP301、高域が欲しいならヘッドホン-3。





※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 20Hz〜20kHz 110dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
9g 15mm 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1.5 4 2 3 2 5 中(低) 8300円
※生産終了

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公開日:2008.9.28