MDR-NC20

音質
 低音より。低域は厚みは薄いが量はそれなりに出る。中域は低域の曇りに覆われる。高域はあまり聴こえてこない。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて悪い。エッジはきつくなく聴きやすいが、人によっては曇った感じとこもり感で疲れるかもしれない。明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚みは薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいちだが、低域の曇りのおかげでそれなりに感じられる。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない、ただ音を鳴らすだけの機種。響きはやや豊かで、こもり感が気になる。
 弦楽器は塗りつぶしたように繊細さがない。金管楽器、打ち込み系の音は鮮やかさが全く足りない。厚みや切れも不足。
 もともと低価格な上にノイズキャンセル機能までつけているので、仕方ないと言えば仕方ないが、それにしてもコストパフォーマンスが悪いように思う。
 上記の内容はノイズキャンセル機能がオフのときのもの。ノイズキャンセルをONにすると音量がやや大きくなってサーノイズが入る代わりに、やや曇りが晴れて高域のシャリつきが気になるようになる。ドンシャリになると言っても過言ではない。ノイズキャンセルON時は無音時のノイズがかなり大きい(というよりもそのノイズで外のノイズを消している)。

装着感
 普通。側圧は普通、ヘッドバンドはプラスチックだが、重量が軽いため痛くないしずれにくい。
 イヤーパッドは耳をかろうじて覆うサイズで、深さが浅く耳に当たる。上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。

その他
 遮音性は普通。音漏れ防止は良好。と言うよりも音漏れしにくい音質であるのが大きいと思われる。
 ノイズキャンセル機能が売りのはずだが、効果は薄い。むしろノイズキャンセルON時のノイズの方が気になって音楽に集中できないし疲れる。折りたたみ可能で、大きさ・重量共に持ち運びにはいい感じ。が、コードは両出しで作りが安っぽくデザインはいまいちで、重要な音質・装着感も良いとは言えないためあまり使用したいとは思えない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前・合流後ともに約2mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周94mm×68mm、内周60mm×32mm、深さ6mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
乾電池



参考

不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』

周波数特性グラフ

赤:NC OFF 青:NC ON
NC ON時はOFF時に比べて約5dB音圧が高いので、同音量になるようにボリュームを調節

比較メモ
ATH-T2
どちらも低音より。低域はほぼ互角。どちらも超低域が若干弱め、厚みはそれなり、ただしこもり感があるため実際よりかなり出ているように感じる。高域はどちらもあまり出ない。超高域はATH-T2の方が若干出る模様。分解能はMDR-NC20の方が若干良いが、音場感はATH-T2の方が上。どちらも原音とは程遠い。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等、どちらも最低レベル。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方が若干良い。弦楽器はMDR-NC20の方が心地よい。金管楽器や打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野をあえて挙げるならどちらもロックだが、それ以前にあまり使用したくない。

HN-505
どちらも低音よりだが、MDR-NC20の方が低域が弱い上、高域も聴こえる。HN-505は低域の量が凄いだけで、中域〜高域はまったく聴こえてこない。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-NC20の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、MDR-NC20の方が線が細く高域も出るのでやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-NC20の方が圧倒的に上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-NC20の方が上。響きはどちらも適度。HN-505はとにかく曇っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-NC20の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-NC20の方が良いと思われるが、低音が好きな人がロックを聴く場合にHN-505の方が好みの音になる可能性はゼロではない。

MDR-CD480
どちらも低音より。基本的にはかなり近い音。超低域はMDR-NC20の方がやや出るが、厚みはMDR-CD480の方がある。中域〜高域はほとんど互角だが、若干MDR-CD480の方が出る。分解能、音場感、エッジのきつさはほぼ同等。MDR-NC20の方が原音にやや近い。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。MDR-CD480の方がノリが良い。響きはMDR-NC20の方がやや豊かで、非常にこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器はMDR-NC20の方が原音に近くしかも心地よく聴けるが、曇りが気になる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD480の方がうまい。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら音漏れとノイズキャンセル機能から考えて本来はインドアがMDR-CD480、アウトドアがMDR-NC20なのだろうが、ジャンルで分けるならクラシックやジャズはMDR-NC20、ポップスやロックはMDR-CD480か。

サイン波応答

位相+高周波歪み

インパルス応答(CSD)

インパルス応答(録音波形)

100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 16Hz〜22kHz 102/100dB 24/56Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
175g 30mm 1.5m 両出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1.5 3 3 4 2 3 6500円

※音圧感度及びインピーダンスは「ノイズキャンセル機能ON時/OFF時」で表示

※生産終了

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公開日:2004.11.28