第84回 EROTICA(Radio Edit Version)/Madonna「GHV2(Greatest Hits Volume 2)」より

 Madonnaは非常に有名なアメリカ出身の歌手であり、女優です。2000年のギネスブックでは「史上最も成功した女性アーテイスト」と記録されたほどです。音楽のジャンルとしては広くとらえればポップス、もう少し細かく見るならダンスミュージックやハウスになると思います。
 今回取り上げる曲は、2001年発表のベストアルバム「GHV2(Greatest Hits Volume 2)」の2曲目に収録されている「EROTICA(Radio Edit Version)」です。「Radio Edit Version」となっていますが、オリジナルとまったく違うというわけではありません。むしろ基本的にかなり似ています。しっかりとした歌詞のあるヴォーカルものではなく、声も音の一つとして加工している感じです。また、意図的にノイズが入っています。
 ヘッドホンとしては、打ち込み系の音との相性が良いもので、声を含め全体の色気を出してくれるものが良いでしょう。ただ、声の色気と言っても普通の艶っぽさや心地よさではなく、はすっぱな感じで、そこがポイントになってくると思います。


・1台目 ATH-A900(audio-technica)
 今回もかなり迷いましたが、最終的にはこれになりました。ATH-A900は普通の意味では色気があるとは言いがたいですが、今回の声のはすっぱな感じはなかなか良い表現です。全体的に冷たい音なのも、今回の曲にマッチします。雑多な雰囲気を適度に出してくれ、それでいてまとまりを失わないのが良いです。
 他にはSE-MONITOR 10Rが同じくらい良かったです。どちらを選ぶか迷いましたが、ATH-A900の方が違和感が少ないためこちらにしました。
 他にはATH-PRO700、RH-300、HP-AURVN-LV、RP-21、SE-900D、ATH-ES7等で聴いてみたのですが、どこかに不満がありました。初めにATH-PRO700が良さそうだと思って聴いてみたのですが、一聴して違和感があり、シャカシャカうるさくあまりにまとまりに欠けるように感じました。RH-300、HP-AURVN-LV、RP-21はどこかぬるい感じで、「もっと冷たい方が良いのに」と思いました。SE-900Dは悪くないのですが、良くもありません。声のはすっぱな感じを出してくれなかったので外しました。ATH-ES7は低域の量が多すぎて疲れますし、全体のバランスも良くないです。今回の曲は少し低域で疲れやすいように感じます。
 不満点は、もう少しメリハリがあった方が良い点です。

・2台目 HFI-780(ULTRASONE)
 1台目よりメリハリがあり、冷たい音で今回の曲に合いそうだと思い選びました。
 聴いてみると、思ったおとりの音です。冷たくメリハリがあり、今回の曲との相性はかなり良いです。声の表現はどうかと思いましたが、悪くありません。HFI-780は声を柔らかく鳴らして欲しいときには合いませんが、今回の曲は柔らかく鳴らして欲しい感じではないので問題ないです。シャープすぎる点が気になる人もいるかもしれませんが、それを除けば全体のバランスも良いです。
 不満点は聴き疲れしやすい点ですが、これは他の長所に比べればあまり問題にならないような気もします。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 2台目の聴き疲れは密閉型特有の圧迫感から来る部分が大きいので、開放型で似た傾向のものということで選びました。
 聴いてみると、思ったほど尖った鳴らし方ではないように感じます。これは2台目が尖りすぎだったせいもあるかもしれませんが。狙いどおり聴き疲れは大幅に改善されますし、全体のバランスや今回の曲との相性も非常に良いです。今回の曲は密閉型の方が相性が良さそうという印象があったのですが、SR-325iは特にそういう意味での不満は感じませんでした。
 SR-325iは声の表現が良いという評価はあまりされませんが、実際はGRADOの他の機種と同様かなり自然で癖がありません。3台目を選ぶにあたってMDR-SA5000も検討したのですが、SR-325iの方がかなり自然で魅力的な声の表現だったのでこちらにしました。耳元で鳴らす感じも、今回の曲には合います。


 今回の結果をまとめると、バランスが良く最も万人受けしそうなのはSR-325i、よりシャープで突き抜けた魅力を持っているのがHFI-780といった感じになります。ATH-A900は他の2台と比べるとどうしても魅力に欠ける気がしますが、それでも2万円以下の他の機種と比べて良かったのは事実です。正直かなり意外ではありましたが、そういう意味で今回の探索は楽しめました。
 探索過程含めて参考にしてください。


試聴はこちら。













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