第83回 平俗宇宙に不滅の皇帝
          /「少女革命ウテナサウンドトラックvol.3 体内時計都市オルロイ」より

 今回は、テレビアニメ「少女革命ウテナ」からの選曲です。作詞・作曲・編曲すべてJ.A.シーザーが担当しています。J.A.シーザーは日本のミュージシャンで、演劇実験室・万有引力の主宰者として知られています。音楽のジャンルとしてはプログレになるようです。
 今回の曲の印象をひとことで表現するなら「変」です。楽器としてはエレキギター、ベース、ドラムスのような音に加えて、非常に変わったコーラスがある程度入ってきます。表記はコーラスとなっているものの、半ばメインヴォーカルと考えて良いと思います。歌詞の不可解な内容と相まって、このコーラスが曲の雰囲気を決定付けているように感じます。ちなみにコーラスの担当は東京混声合唱団です。
 ヘッドホンとしては、ロックとの相性が良いものが良さそうですが、それ以上は色々試してみないと分かりません。ただ、少し明瞭さに欠ける録音のようなので、明瞭なヘッドホンの方が良さそうではあります。


・1台目 MDR-7506(SONY)
 今回の曲は、どういう風に鳴らすのが良いのか良く分からず、色んなヘッドホンで聴きながらしばらく考え込んでしまいました。まず初めに気づいたのは、低音の量がある程度ないと、かなりチープになってしまうということです。また、明瞭さに欠ける録音ということとも関係があるのですが、エッジが立っていないため大抵のヘッドホンでは刺激に欠けてぬるく感じるという点もポイントです。
 試行錯誤した結果、こういった点からMDR-7506を選びました。ロックとの相性が良く、低音の量がある程度あり、明瞭で、エッジがきつめと、前述の条件をすべて満たしています。違和感やチープさがあるかとも思いましたが、実際に聴いてみるとあまり気になりませんでした。また、MDR-7506はヴォーカルの表現に難がありますが、今回の曲ではまったく気になりませんでした。
 他には、RP-21とDJX-1もなかなか良かったです。エッジや切れという点でMDR-7506に及びませんが、迫力があってダークなカッコよさが出ます。そういう意味でこちらの方が好みという人も多いでしょう。また、違和感の少なさという点では色々聴いた中でもかなり良い部類に入ります。
 他に試行錯誤の過程で聴いてみたヘッドホンは、RH-300、HP-M1000、ATH-PRO700、MDR-Z700DJ、DJ1 PRO、SE-MONITOR 10R、SE-900D等です。RH-300やHP-M1000は低域の質が合わず、ぬるい感じになります。ATH-PRO700は明るい点は良いですが違和感が強いです。MDR-Z700DJはただでさえ少ない情報量が更に減る感じです。DJ1 PROは少しチープな感じが気になります。SE-MONITOR 10RとSE-900Dは悪くないのですが、MDR-7506と比べると低域の量感や切れに不満が出ます。
 不満点は、迫力や切れがまだ足りないように感じる点です。

・2台目 HFI-780(ULTRASONE)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。
 1台目より明瞭で切れがあります。低域の量感等も不満ありません。違和感は多少気になりますが、1台目と比べて極端に酷いわけではありませんし、1台目を選ぶ過程で聴いたDJ1 PROと比べると気にならない方です。
 不満点を挙げるのは難しいです。まだ切れが足りないようにも感じますが、これは録音の問題で、これ以上ヘッドホンで改善するのは難しい気がします。他には、特にドラムス等で多少違和感を感じる点でしょうか。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 1、2台目の切れやエッジを維持しながら2台目の違和感を改善できると思い選びました。
 低音の量が足りないかとも思いましたが、実際に聴いてみると特に気になりませんでした。明瞭さ、切れ、エッジといったポイントは1、2台目に勝るとも劣りませんし、それでいて最も違和感が少ない鳴らし方です。2台目で感じたドラムスの違和感も大幅に改善されます。全体のバランスも良く、万人受けしそうです。


 今回選んだ3台は比較的似た傾向の鳴らし方で、あまり大きな優劣はなかったように感じます。
 なお、1台目の試行錯誤の過程で選んだRP-21とDJX-1もなかなか良かったです。スカスカした感じがせず、迫力があります。切れやエッジよりもそういった点を重視するなら今回選んだ機種よりこちらの方が合うでしょう。
 好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら(違うCDですが同一の曲です)。













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