第74回 Acroyear2/Autechre「LP5」より

 Autechre(オウテカ)はイギリスのエレクトロニカのユニットです。
 今回取り上げるのは5thアルバムの1曲目です。打ち込み音だけで構成されています。Autechreの曲の中ではポップで聴きやすい方だと思いますが、それでもなお不快に感じる人も多いと思います。
 ヘッドホンとしては、打ち込み系の音との相性が良いもので、ある程度の刺激や音場の広さがあるものが良いでしょう。


・1台目 DJ1 PRO(ULTRASONE)
 前述の条件をすべて満たしていると思ったので選びました。
 実際に聴いてみると、思ったとおり相性が良いです。音の質感の相性は言うまでもなく、前半は音数が少ないのですがそれでもDJ1 PRO独特の明るさとノリの良さでそこそこ楽しめますし、後半音数が増えてからも個々の音がしっかり楽しめます。
 不満点は特にありませんが、個人的にはもう少し粗がない方が聴きやすいとは思いました。この曲に聴きやすさを求めるのは違うのでしょうが、それにしてももう少し地味な方が違った楽しみ方ができるでしょう。

・2台目 MDR-SA5000(SONY)
 MDR-SA5000は低域の量が少なくつまらない音だと言われることが多いですが、音の質感としては打ち込み系の音との相性は悪くないですし、今回の曲の場合単純な低域の量はあまり重要ではないと感じたので選んでみました。音場は広く明確で今回の曲と合いそうだと感じましたし、1台目より粗がないのも理由です。
 実際聴いてみると、思ったおとりの音です。1台目より粗がなくて聴きやすいですが、音の厚みや迫力には欠けます。低音の量が少ない点も1台目と異なりますが、個人的にはMDR-SA5000くらいの方が聴きやすく感じました。刺激やノリの良さで聴かせる1台目と違い、異常なものを理知的に鳴らしてくれるおもしろさがあります。
 不満点は、1台目のような良くも悪くも突き抜けたものを持っていない点です。

・3台目 HP-DX1000(Victor)
 打ち込み系の音との相性が良く、音場感も良く、1台目より粗がなく、2台目より低音がしっかり出る、そんなヘッドホンがHP-DX1000です。HP-DX1000の音をあまり詳しく知らない人は、今回の曲には合わないような先入観があるかもしれませんが、そんなことはありません。
 実際に聴いてみると、1台目のような刺激はありませんが、2台目よりは音の厚みや迫力があるように感じます。打ち込み系の音との相性の良さや音場感の良さも、この曲を楽しく聴かせるのにしっかり貢献している印象です。


 今回選んだヘッドホンは、どれも打ち込み系の音との相性が良く音場感も良いという共通点があります。正直、どれもなかなか楽しめました。
 刺激や個性が欲しいならDJ1 PRO、淡々と鳴らして欲しいならMDR-SA5000、DJ1 PROとMDR-SA5000の間くらいのバランスが良いならHP-DX1000という感じです。
 好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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