第72回 パガニーニによる大練習曲「ラ・カンパネラ」
/フジ子・ヘミング「フジ子・ヘミングの奇蹟〜リスト&ショパン名演集〜」より
フジ子・ヘミングはリストやショパンを得意とするピアニストです。その苦難の人生が滲み出るような真実味のある演奏が特徴です。
今回の曲は、フジ子・ヘミングが最も得意とする代表曲である、リスト作曲の「パガニーニによる大練習曲」の第3番「ラ・カンパネラ」です。
ヘッドホンとしては、ピアノの音の実体感がしっかり出るものが良いでしょう。
・1台目 RP-21(Equation Audio)
最後までRP-21とTR-HP03Bで迷いましたが、微妙な違いではあるものの高域の表現の自然さがRP-21の方が良かったのでこちらにしました。低域の量感を重視するならTR-HP03Bになると思います。どちらも素晴らしい鳴らし方です。説得力があり、ピアノのタッチや輪郭が明瞭です。
他にはK181DJも良かったです。これらの機種の共通点は、中低域がしっかり出ることです。ピアノの音の実体感や迫力を出すためには、やはり中低域が非常に重要になってくると実感しました。
不満点はほとんどありませんが、もう少し音の厚みがあって原音らしさが出るとなお良いでしょう。
・2台目 edition7(ULTRASONE)
実は今回の曲を選ぶと決めた時点で、最も良さそうだと予想していたヘッドホンです。
実際に聴き比べてみると、1台目と比べて一つ一つの音のリアリティと重厚な説得力で勝っています。1台目も相当なものだと感じましたが、edition7と比べるとやや軽くて明るいような印象を受けます。ただ、そうは言っても価格ほどの差はないと断言できます。
不満点はありません。こういうときはいつもなら違う傾向のもので良いものを探すのですが、今回の曲は違う傾向では満足できそうにありません。なので、同傾向で他に良さそうなものを探すことにします。
・3台目 HP-DX1000(Victor)
音の厚みがしっかりあって中低域がしっかり出る機種ということで選びました。
1、2台目と比べると、広い空間で少しピアノから離れて聴いているような印象です。残響音がおもしろいです。それ自体は問題ないのですが、音の厚みや周波数特性の関係上、2台目と比べるとどうしても薄っぺらいように感じます。また、聴く前から分かっていたことですが、やはり中域に太く硬い芯が通っている感じで違和感があります。その点を除けば、2台目とはまた少し違った鳴らし方ということで楽しめるのですが・・・・・・
今回は、結論だけ言うならedition7が最も良かったのですが、RP-21とTR-HP03Bも予想以上に良かったです。数万円のヘッドホン相手なら大抵の場合勝っていると思います。
試聴はこちら。
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