第64回 Fable (Message Version) /Robert Miles「Dreamland」より

 Robert Milesはスイス出身のアーティストです。ジャンルとしてはハウス、テクノ、アンビエント等に分類される打ち込み系音楽です。元々クラシック(ピアノ)の世界にいたせいか、どこか上品な曲が多いように感じます。
 今回取り上げるのは1stアルバム「Dreamland」の2曲目です。シンプルな打ち込み系の音と艶っぽい女性ヴォーカルというオーソドックスな構成です。
 ヘッドホンとしては、打ち込み系の音との相性が良いもので、この曲の柔らかさや温かみを出してくれるものが良いでしょう。また、女性ヴォーカルもある程度のウェイトを占めているので大事です。


・1台目 RH-300(Roland)
 前述の条件をすべて満たしていて、聴いていて違和感がなく心地よい点を買って選びました。
 他にはDJ1 PRO、K181DJ、ATH-A900、SE-900D等を試してみました。DJ1 PROは明るすぎるのと音が荒いのが合いませんでした。K181DJはRH-300の後だとどこか違和感があります。ATH-A900は最もRH-300に近い鳴らし方でしたが、RH-300ほどの滑らかさがありません。SE-900Dはヴォーカルのサ行等のエッジが痛いです。
 こうして改めて見ると、RH-300は非常にバランスが良くまとまっていることが分かります。元々RH-300はバランスが良い機種だという印象は持っていましたが、この曲ではそれを再認識しました。
 不満点は特にありませんが、もう少しはっきりとした魅力があれば言うことはないと思います。

・2台目 AH-D5000(DENON)
 RH-300同様、バランスが良く違和感なく聴けます。今回の曲の柔らかさや温かみもしっかり感じられますし、ヴォーカルもうまいです。RH-300と比べるとやや明るくメリハリがあるように感じます。RH-300を素直にワンランク引き上げたような鳴らし方です。
 不満点は、RH-300でも感じたことなのですが、もう少し音場が広い方がおもしろいかな、という点です。

・3台目 HP-DX1000(Victor)
 打ち込み系の音との相性が良くてしかも音場が広い機種ということで選びました。
 確かに期待したとおりの鳴らし方ではありますが、1台目、2台目に比べると柔らかさや温かみが足りません。そうは言っても例えばDJ1 PROほど偏った鳴らし方ではなく、十分許容できる範囲内ですが。ただ、個人的にはRH-300やAH-D5000のような鳴らし方の方が好きでした。


 今回は打ち込み系の音との相性が良いものの中から選んでいった感じですが、選んでいくうちに実は打ち込み系の音との相性は関係無しに選んでも良いのではないかという気がしてきました。試しにHD650で聴いてみたところ、打ち込み系の曲をHD650で聴いたときにしばしば感じる明るさや切れの不足等の不満点をほとんど感じませんでした。当然ながら、柔らかさや温かみ、女性ヴォーカルの表現、音場の広さといった点は非常に良く、総合的に見て素晴らしい鳴らし方でした。打ち込み系の音を明るくシャープに鳴らして欲しいなら別ですが、選択肢として十分"あり"だと思いました。
 今回の内容を参考に、「どういう風に鳴らして欲しいか」という希望に合わせてヘッドホンを選んでください。


試聴はこちら。













戻る





TOP > 曲別HP探索 > 第64回