第90回 水星/冨田勲「惑星」より
冨田勲は日本の電子音楽の草分け的存在で、広く世界に知られています。
今回取り上げるのは1977年発表のアルバム「惑星」の3曲目です。ホルストの「惑星」をシンセサイザー用に編曲したもので、音としては古いシンセサイザーらしいもので構成されています。明らかに音場を意識して作られており、前後左右あちこちで音が鳴ります。
「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「特殊な音場を効果的に鳴らすものを希望」とのことです。基本的には音場が広く頭内定位が気になりにくいものが良いでしょうが、後は実際に聴きながら選んでいきたいと思います。
・1台目 HP-RX900(Victor)
前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。音場が広く頭内定位が気になりにくいです。そのため、前後左右あちこちで音が鳴っているのが分かりやすいです。
他にはATH-TAD500、HP-535、HS-AVNLV2、UR/40等で聴いてみました。ATH-TAD500はなかなか良いのですが、HP-RX900と比べると前後左右あちこちで音が鳴っている感じがしません。HP-535は悪くないのですが、音が粗っぽいせいかやや分かりにくくなってしまうところがある印象です。HS-AVNLV2はもう少し音場の広さが欲しい印象です。UR/40は今回聴いた中では近くで音を鳴らす感じで音場が分かりにくいです。
不満点は特にどこがと言うより全体的に物足りない感じです。
・2台目 DJ1 PRO(ULTRASONE)
最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1台目と比べると定位が明確で立体感があります。多用されているキラキラした音を魅力的に鳴らしてくれる点も良いです。
他にはHD280Pro、K612PRO、MDR-MA900、SRH840等で聴いてみました。HD280Proは悪くないのですが、全体的に物足りない感じです。K612PROは最後までDJ1 PROと迷いましたが、DJ1 PROの方がやや立体感があり前後がはっきり感じられたのでそちらにしました。MDR-MA900は悪くないのですが、もう少し定位の明確さが欲しい印象です。SRH840はもう少し音場の広さが欲しい印象です。
不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。
・3台目 HD800(SENNHEISER)
最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。開放型で音の抜けが良いため1、2台目とはまた違った感じですが、音場が広く頭内定位が気になりにくいという意味では最も良いのではないかと思います。HD800はやや前方定位するため今回の曲には合わない面があるかとも思いましたが、それでも他の機種と比べると最良のように思われます。音の質感の相性が良い点もプラスに働いている印象です。
不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。
・4台目 SR-007+SRM-717(STAX)
色々聴いてみた結果これになりました。3台目と比べると定位がきっちりしていると言うより音の広がりが感じられる傾向です。そういう意味では3台目の方が今回の曲に合っているように思われます(好みによっては4台目の方が合うと感じる人もいるでしょうが)。
他にはHD650、HP-DX1000、K701、PRO900、T1等で聴いてみました。HD650は全体的に物足りない感じです。HP-DX1000は悪くないのですが、音が粗っぽいせいかやや分かりにくくなってしまうところがある印象です。K701はもう少し立体感が欲しいです。PRO900は3、4台目と比べると全体的に窮屈な感じでやや音場が分かりにくいです。T1は定位が明確な点は良いのですが、もう少し音場の広さが欲しい印象です。
・5台目 MDR-EX1000(SONY)
最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。音場の広さと明確さの合計点で選ばれたような印象です。色々と聴いてみたのですが、e-Q7はもう少し立体感が欲しい、HiDefJax AcousticSteelは音が粗っぽいせいかやや分かりにくくなってしまうところがある、HP-TWF11Rはもう少し定位の明確さが欲しい等の不満がありました。
他にはRZE-S70とHA-FX3Xが良かったです。最初に書いた条件をそれなりに満たしています。
今回はほとんど音場だけで選びましたが、仮に他の要素まで含めて総合的に考えたとしても今回選ばれたヘッドホンは良い線を行くのではないかと思います。
ヘッドホンアンプはhpa200b(ハイエンド仕様)が良いと思います。音場が分かりやすいです。
今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。
試聴は下のamazonのページで。
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