第26回 european son/velvet underground「velvet underground & nico」より

 velvet undergroundはアメリカのロックバンドです。メンバーは4人で楽器の編成は変則的、ギターやドラムスだけでなく曲によってはキーボードやヴァイオリンも使っているようです。
 今回取り上げるのは1967年発表の1stアルバム「velvet underground & nico」の11曲目です。古い曲なので録音状態が悪いですが、それだけでなく意図的にノイズを入れている上、ギターもノイズっぽくなるように鳴らしている印象です。男性ヴォーカルも若干入ってきますが、主役はノイジーなギターと言って良いと思います。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。ノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれること、聴けないほどの聴き疲れはしないこと、音色・質感・存在感といった意味でギターをしっかり鳴らしてくれること、古臭い感じやナローな感じを殺さないこと、あまりに線が細かったり変に明るかったりしないこと等を総合的に判断したいと思います。


・1台目 UR/40(KOSS)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。どの点についてもある程度高いレベルだと思います。特にどこが良いというわけではなく、今回の曲との相性という意味で全体的にうまくまとまっている印象です。
 他にはHPS5000、RP-HT560、SE-M870、SHL9600、T-7M等で聴いてみました。HPS5000は古臭い感じやナローな感じがやや殺される感じで、聴き疲れも気になります。RP-HT560はなかなか良いのですが、ギターの質感はUR/40の方が若干リアルな印象です。SE-M870はギターの存在感が魅力的なのですが、やや音が丸い感じです。SHL9600はギターの音色や質感がいまいちです。T-7Mは線が細く、古臭い感じやナローな感じがやや殺されます。
 不満点は特にありませんが、全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 Studiophile Q40(M-AUDIO)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。特に、ノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる点、古臭い感じやナローな感じを殺さない点についてはかなり良いです。
 他にはHD280Pro、MDR-CD900ST、RP-21、SRH840等で聴いてみました。HD280ProはStudiophile Q40と比べると古臭い感じやナローな感じがやや殺されますし、音場が広く低域が一部少ないせいでスカスカに感じられるところも気になります。MDR-CD900STはホワイトノイズが目立ち、聴き疲れが酷いです。RP-21は最後までStudiophile Q40と迷いましたが、Studiophile Q40と比べると古臭い感じやナローな感じがやや殺されるように感じられたので外しました。SRH840は音が丸くギターの質感もいまいちです。
 不満点は、やや低域が多い点です。

・3台目 HD25-1(SENNHEISER)
 最初に書いた条件を満たしつつ2台目の不満点を改善できるように感じたので選びました。最初に書いた条件についてはどれもしっかり満たしてくれる印象ですが、あえて一つ挙げるならノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる点が良いです。2台目の不満点については適度に改善される印象です。これ以上低域が少ないと今度は逆に物足りない感じになるかもしれません。全体としては1台目より2台目に近い傾向ですが、質感はまた少し違った感じです(どちらが良いということはなく、文字通り質の違いだと思います)。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 DR-631(ELEGA)
 総合的に見て3台目ほど良いものは見当たりませんでしたが、古い曲との特殊な相性の良さがあるという点を評価してこれを選びました。最初に書いた条件の中だと、古臭い感じやナローな感じを殺さない点が特に良いです。ノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる点も比較的良いと思います。逆に欠点はギターの音色です。低域が少なく中域が張り出すような感じになるのが気になります。とは言え、骨太で「主役です」と言わんばかりに主張してくる点はそう悪くありません。
 他にはAH-D5000、DT880、MV1、SR-325i等で聴いてみました。AH-D5000はあまり癖のない鳴らし方で悪くないのですが、ノイズを綺麗にしてしまう点がやや気になります。DT880は古臭い感じを殺さない点は良いのですが、音が柔らかかったり付帯音が乗ったりすることがあり素のままという感じではありません。MV1は古臭い感じやナローな感じをあまり殺さない割には変に明るいところがあり、ギターの音色がおかしいです。SR-325iはギターの質感やノイズを変に丸めたり綺麗にしたりしない点は良いのですが、やや明るすぎるような気がしますし聴き疲れも気になります。

・5台目 HP-FX500(Victor)
 ノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる点が良かったので選びました。ギターの質感もなかなかのものです。やや聴き疲れしやすい点と明るい点はマイナスですが、そこまで含めてHP-FX500が最良と判断しました。色々と聴いてみたのですが、ER-4Sは古臭い感じを殺してしまう、HiDefJax AcousticSteelはノイズを綺麗にしてしまう、HP-TWF11Rはノイズを丸めてしまう等の不満がありました。
 他にはCX300とHP-FXC50が良かったです。HP-FX500と同じくノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる点が良いです。なお、ノイズを丸めても良いから古臭い感じを出して欲しいということであれば、HP-TWF11RやTH-EB900が良いと思います。


 今回の曲は正直ヘッドホンの違いによる差が出にくい印象でした。その理由としては、使われている楽器の種類が少ないこと、高域の量が少ないこと、全体を通してノイズまみれであること、音の強弱があまりないこと等があると思います。「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」ではなく、そういった点を元にヘッドホンを選んでみてもおもしろいかもしれません。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)かHead Amp 2/MkII SEが良いと思います。ヘッドホンと同じで、ノイズを変に丸めたり綺麗にしたりせず素のまま鳴らしてくれる、古臭い感じやナローな感じを殺さないといった点で優れています。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。



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