第18回 Rhapsody in Blue/George Gershwin

 アメリカの音楽家George Gershwinが初めて本格的に作曲したピアノとオーケストラのための曲、それが今回取り上げる「Rhapsody in Blue」です。ヨーロッパのクラシック音楽とアメリカのジャズを融合させたシンフォニックジャズとして高く評価され、現在でも広く親しまれています。今回とりあげたCDは、指揮はレヴァイン、演奏はシカゴ交響楽団、録音は1990年です。
 曲の内容の方はと言うと、ピアノとクラリネット、そしてブラスが重要なポイントを占めています。Rhapsody(狂詩曲)というタイトル通り、自由で開放的な曲です。
 ヘッドホンとしては、上記の各楽器を魅力的にかつ分離良く鳴らしてくれるものが望ましいでしょう。


・1台目 ATH-A900(audio-tecnica)
 一言でピアノ、クラリネット、ブラスをうまく鳴らしてくれると言っても、2万円以下ではなかなかそれだけの機種は有りません。散々迷った挙句、これらの楽器をどれも変な鳴らし方はしないと思われたこの機種を選びました。
 聴いてみた感じは、なかなかバランス良くまとまっているように思いました。ただ、逆に言うとバランス良くまとまっているだけで、どの楽器もいまひとつな印象です。
 不満点としては、もっと音に厚みや濃さが欲しかったという点でしょうか。

・2台目 PROline2500(ULTRASONE)
 少し乱暴な気もしましたが、1台目の不満点を解消するのに良い機種ということで素直に頭に浮かんだので選びました。
 冒頭のクラリネットがなかなか良いです。ブラスは元気すぎる気もしますが、この曲にはこれくらいでもいいと感じました。ATH-A900のような無難な鳴らし方とは正反対の、良いところは良いけれど合わない人には合わない鳴らし方でしょう。
 不満点としては、もう少し明瞭にピアノが目立って欲しいという点でしょうか。

・3台目 HP-DX1000(Victor)
 これまでの不満点を踏まえると、この機種が最適と思われました。幸い分解能や音場感も良好で、この曲にマッチすると予想しました。
 実際に聴いてみると、ピアノのタッチが1、2台目と比べて遥かに明瞭聴こえました。全体的なバランスもなかなか良いです。
 ただ、ブラスには少し難があるように感じました。しっかり鳴らしてくれるのですが、もう少し線の細い表現をしてくれた方が良かったように思います。


 今回はどの機種も一長一短だったように感じます。他に合いそうな機種として思いついたSR-325iで聴いてみたところ、これがなかなか良かったです。もしかしたら、総合的に見て今回取り上げたどの機種よりも良いかもしれません。ATH-A900より音に厚みがあり、PROline2500よりピアノが明瞭で、HP-DX1000よりブラスの線が細くとがっていてうまいです。
 また、現時点でレビューを書いていないため今回はとりあげませんでしたが、edition7に合いそうだと思い聴いてみたところ、非常に魅力的に鳴らしてくれました。最高レベルと言って良いでしょう。今回のように沢山の楽器が重なり合い、厚みや勢いを必要とする楽曲は、edition7が最も得意とするジャンルの一つだと思います。


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