第10回 Riverdance/Bill Whelan「Riverdance」より

 今回はアイルランドの音楽とダンスが融合した有名なミュージカルからの選曲です。アルバム全体を通して見ると、アイルランドの伝統楽器を中心にコーラス等も入ったアコースティックな仕上がりになっています。ちなみにこのCDは1997年にグラミー賞を受賞しています。
 曲の方は、女性の澄んだ独唱から入りコーラス、ストリングス、パーカッションへと躍動感溢れるうねりが楽しめます。人声の温かみやパーカッションの迫力等、様々なシーンを描き分ける多彩な表現力を持ったヘッドホンを必要とする曲でしょう。ただし、高域はわずかしか出番がないので、高域の苦手な機種でもあまり問題ないように思います。


・1台目 DTX900(beyerdynamic)
 人声の温かみ、ストリングスとパーカッションの躍動感をうまく表現してくれそうだと思って選びました。結果は、全体的にはかなりイメージ通りにうまく鳴らしてくれました。不満点は、声がもう少し澄んでいた方が良いという点、全体的にやや曇っているように感じる点、各楽器の分離がいまいちな点です。ただ、それにしてもこの価格にしては違和感なくなかなか魅力的に感じました。

・2台目 RS-1(GRADO)
 とにかくイントロの独唱を澄んだ音で聴きたかったのでこれにしました。この点については期待通り文句のない表現をしてくれました。あとはもう少し音の厚みと力強さがあれば全体を通してもっと良くなっていたでしょう。これはHD53の力不足と思われたので、アンプをHA-1Aにしてみたところ、だいぶ良くなりました。ただ、この曲を聴くのにRS-1が合うかどうかはともかく、逆にRS-1の実力を発揮するのに相応しい曲かどうかと考えると疑問が残りました。

・3台目 PROline2500(ULTRASONE)
 力強さを求めるならこれだと思って選びました。この曲の躍動感が非常にストレートに感じられます。が、全体的なバランスがベストかと言われると、首を傾げざるをえません。悪くはないのですが、良くも悪くもPROline2500の個性が前面に出ています。ヴォーカルがやや引っ込んでいるように感じますし、もう少し繊細でも良かったように思います。


 今回は1台目でbeyerdynamicの機種を選んだので、2台目以降は意識して別メーカーのものにしましたが、試しにDT770PROで聴いてみたところかなり良かったです。DTX900とかなり似た傾向で、しかもDTX900の不満点をほぼ解消できました。ちなみにDT880にしなかったのは低域の厚みが不足なのではないかと思ったためで、DT990PROにしなかったのは地味でいいはずの高域がでしゃばりすぎてしまうのではないかと思ったためです。いずれにせよかなりの完成度で鳴らしてくれたでしょうが、この曲にはDT770PROの方がバランスが良いように予想されました。
 総合的なバランスではDT770PRO、ヴォーカルの美しさや各楽器の繊細さではRS-1、躍動感や力強さではPROline2500、という感じにヘッドホンの個性が見事に出る結果となりました。それぞれ魅力的なのは確かですので、好みに合わせて選んでみてください。


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