ZHP-005

音質
 低音より。低域はかなり量が多い。薄く曇ったような質。圧力はあるが、厚みや重心の低さには欠ける。中低域はしっかり出るが、ローエンドは弱い。中域はかなり低域の曇りに覆われる感じであまりはっきり聴こえてこないし、音そのものにも癖がある。中高域はしっかり出る。高域はそれほど少ないわけではないが、低域と比べると控え目。やや太く金属的で、それでいて粗がある。あまり派手さはない。
 分解能は悪い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ不満。音場感は明確さに欠けるしやや狭く頭内定位がかなり気になる。原音忠実性は悪い。周波数特性上の癖が大きいし、一聴して違和感がある。原音の粗や生っぽさもあまり感じられない。エッジのきつさは普通だが、こもり感や妙なハウリングのような感じが原因で疲れることがある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろそれほど痛くはないが、どちらかと言うと高域の方が粗っぽく痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みは普通からやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいちだが、曇っていてスモーキーな感じが好みなら悪くないだろう。それなりに圧力がありパワフルという意味ではノリが良い傾向だが、切れやスピード感には欠ける。響きは適度からやや豊かでこもり感がかなり気になる上、歪みや不要な響きが乗る感じが気になることも多い。
 弦楽器は、心地よさだけはそれなりに感じられることもあるが、繊細さや生楽器らしさがかなり不満。金管楽器はやや太く力強い傾向で、明るさや鮮やかさという意味ではあまり良くない。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性はそれほど悪くないが、切れや低域の質が不満。
 癖が大きく、特に長所や魅力も感じられない機種。

装着感
 装着感は悪い。側圧は強めでずれにくい。ヘッドバンドは剥き出しのプラスチックだが、側圧と軽量さのおかげで頭頂部が痛くなったりはしない。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、上下方向にも左右方向にもほとんど角度調節できないため、人によってはまったく合わない可能性もあるだろう。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。
 ヘッドバンドの長さ調節が固定できない仕組みで目盛もないが、固くてスライドしにくいため実質固定しているのとあまり変わらない。

その他
 遮音性は普通からやや良いレベル、音漏れ防止は悪い。音漏れ防止は密閉型としては相当悪く、開放型に近いレベル。
 作りは価格の割にやや良い。この価格で金属パーツを使っているのは珍しいし、ハウジングもどこかしっかりしている。デザインはなかなか良いが、どちらかと言うと女性向きで男性は使いづらいかもしれない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約3.5mm・厚さ約2mm、硬さは普通からやや硬めで特に扱いづらくはない。イヤーパッドのサイズは、外周70mm×70mm、内周36mm×36mm、深さ14mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
Bose on-ear headphones
Bose on-ear headphonesは低音よりのドンシャリ、ZHP-005は低音より。低域はBose on-ear headphonesの方が重心が低く存在感がある。中低域はZHP-005の方が出る。トータルの量は同程度。中域は、Bose on-ear headphonesは低域の存在感に負ける感じ、ZHP-005は低域の曇りに覆われる感じ。質的にはBose on-ear headphonesの方が癖がなく聴きやすい。高域はZHP-005の方が太く金属的。量はBose on-ear headphonesの方が若干多い。分解能はBose on-ear headphonesの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろBose on-ear headphonesの方が若干上。音場感はZHP-005の方がやや広いが、それでいて頭内定位が気になりやすい。明確さという意味ではBose on-ear headphonesの方が良い。原音忠実性はBose on-ear headphonesの方がやや上。どちらも低域が多すぎる点がマイナスだが、その点を除くとBose on-ear headphonesの方が違和感の小さい音。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは同程度。エッジのきつさは微妙。高域にしろヴォーカルのサ行にしろBose on-ear headphonesの方がやや鋭く刺さるが、基本的にZHP-005の方が粗っぽい音。Bose on-ear headphonesは低域の量で疲れる面があり、ZHP-005はこもり感や妙なハウリングのような感じで疲れる面がある。総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはBose on-ear headphonesの方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはBose on-ear headphonesの方が感じられる。Bose on-ear headphonesの方が低域の量感に基づく迫力や力強さがある。切れやスピード感に欠ける点は似ている。響きはBose on-ear headphonesの方がやや豊かだが、こもり感はZHP-005の方がやや気になる。弦楽器はBose on-ear headphonesの方が粗がなく、柔らかく心地よい。金管楽器はBose on-ear headphonesの方が癖がなく綺麗、ZHP-005の方が太く金属的。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。どちらもぼやけた低域や切れのなさが不満。違いはあるのだが、好みの差だろう。使い分けるなら、基本的にはBose on-ear headphones、Bose on-ear headphonesでは低域の質が合わないとか高域の線が細すぎるいう不満があるならZHP-005。

HP-S150
HP-S150はやや高音より、ZHP-005は低音より。低域はZHP-005の方がかなり量が多く、薄く曇ったような質。締まりや制動はHP-S150の方が良い。中域は、HP-S150の方が高い音で低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はHP-S150の方がやや量が多く、高く鋭い音を鳴らす。分解能はHP-S150の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろHP-S150の方が上。音場感はZHP-005の方がやや広いが、それでいて頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHP-S150の方が若干上。どちらも周波数特性に癖があるが、原音の粗や生っぽさはHP-S150の方が感じられる。エッジはHP-S150の方がかなりきついが、ZHP-005はこもり感や妙なハウリングのような感じが原因で疲れることがあるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-S150の方がかなり痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-S150の方が上。厚みはZHP-005の方がややある。温かみは低域の量が多く曇っている分ZHP-005の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHP-S150の方がやや上だが、HP-S150の方が擦れがかなり気になるし、スモーキーな感じを好むならZHP-005の方が良いだろう。HP-S150の方が明るく元気でノリが良い。切れやスピード感でも勝っている。ただし、ZHP-005の方が低域の量に基づく迫力がある。響きは、低域はZHP-005の方が豊か、高域はHP-S150の方が豊か。HP-S150の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はHP-S150の方が生楽器らしさが感じられて良いが、粗がないという意味でZHP-005の方が心地よい。ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHP-S150の方がかなり良い。金管楽器はHP-S150の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-S150の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHP-S150、HP-S150では低域の量が足りないとかエッジがきついという不満があるならZHP-005。

MDR-570LP
MDR-570LPはややドンシャリ、ZHP-005は低音より。低域はZHP-005の方がやや量が多い。ZHP-005の方が薄く曇っていてかつ圧力のある独特の質。重心の低さはほぼ同レベル。中域は微妙。ソースによって印象が変わりやすい。どちらかと言うとMDR-570LPの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくることが多いが、質的にはZHP-005の方が明るい。中高域はZHP-005の方がしっかり出る。高域はMDR-570LPの方が若干量が多い。MDR-570LPの方が線が細く粗がない。ZHP-005の方が硬く明るい質で目立つことが多い。分解能はMDR-570LPの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はZHP-005の方がやや広いが、それでいて頭内定位が気になりやすい。MDR-570LPの方が癖がなく把握しやすい。原音忠実性はMDR-570LPの方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはZHP-005の方が若干感じられる。エッジはZHP-005の方がきつく、こもり感や妙なハウリングのような感じもあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろZHP-005の方が粗っぽく痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはZHP-005の方が若干上。厚みはZHP-005の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-570LPの方が感じられる。ZHP-005の方が明るくノリが良い、MDR-570LPの方が繊細でおとなしい。響きはZHP-005の方がやや豊かでこもり感が気になる。ZHP-005の方が歪みが気になる。全体的にZHP-005の方が硬い音。弦楽器はMDR-570LPの方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はMDR-570LPの方が癖がなく綺麗、ZHP-005の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はZHP-005の方がやや上だが、やはり癖が気になる。使い分けるなら、基本的にはMDR-570LP、MDR-570LPではおとなしすぎるとか中高域が足りないという不満があるならZHP-005。

SE-MJ71
SE-MJ71はドンシャリ、ZHP-005は低音より。低域はSE-MJ71の方が若干量が多い。ZHP-005の方が薄く曇ったような質。重心はSE-MJ71の方がやや低い。中域はZHP-005の方が不要な芯が通っている分はっきり聴こえてくる。高域はSE-MJ71の方がやや量が多い。線が細く明るい質で目立つ。分解能はSE-MJ71の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、明確さはSE-MJ71の方が上。ZHP-005の方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はSE-MJ71の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはSE-MJ71の方が若干感じられる。エッジのきつさは微妙。高域を除けばSE-MJ71の方がやや聴きやすい印象。ZHP-005の方がこもり感や妙なハウリングのような感じがあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSE-MJ71の方がやや細く刺さる感じ、ZHP-005の方が粗っぽく痛い感じ。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ71の方が若干上。厚みはZHP-005の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MJ71の方がやや感じられる。ヴォーカルはSE-MJ71の方が癖がなくソースを選ばない。どちらかと言うと、ZHP-005の方がノリが良い、SE-MJ71の方が繊細。響きはSE-MJ71の方が若干豊かだが、こもり感はZHP-005の方がやや気になる。ZHP-005の方が歪みが気になる。弦楽器はSE-MJ71の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器は、SE-MJ71の方が細く綺麗、ZHP-005の方が太く力強い。SE-MJ71の方が癖がない。打ち込み系の音の表現はSE-MJ71の方が若干うまい。癖のなさや低域の質で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-MJ71、SE-MJ71では低域の量が多すぎるとか高域が細く刺さる点が気になるという不満があるならZHP-005。

ZM-DS4F
ZHP-005は低音より、ZM-DS4Fはやや低音より。低域はどちらも薄く曇ったような質でローエンドが弱いが、ZHP-005の方がやや量が多く曇りも酷い。中域はZM-DS4Fの方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくるし、音そのものの癖も基本的にはやや小さい。ただ、ZM-DS4Fはソースによってはやや張り出すような感じで目立つことがあるのに対して、ZHP-005はあまりそういうことはない。高域はZHP-005の方がやや量が多く目立つ。太く金属的で、粗がある。分解能はZM-DS4Fの方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとZM-DS4Fの方が上。音場感はZHP-005の方がやや広いが、それでいて頭内定位が気になりやすい。ZM-DS4Fの方が見晴らしが良い。原音忠実性はZM-DS4Fの方がやや上。ZM-DS4Fの方が一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはZHP-005の方が若干きつく、こもり感や妙なハウリングのような感じもあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろZHP-005の方が若干痛い。明瞭さはZM-DS4Fの方がやや上、音の鮮やかさはZHP-005の方が若干上。厚みはZHP-005の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ZHP-005の方がややパワフルで明るくノリが良い傾向。ZM-DS4Fの方が全体的に癖が小さくニュートラル。響きはZHP-005の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はそれなりに似ているが、ZHP-005の方がやや芯が通っている感じ。金管楽器もそれなりに似ているが、ZHP-005の方がやや明るく金属的で力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性やパワフルな鳴らし方を求めるならZHP-005の方が良いだろうが、ZM-DS4Fの方が無難で聴きやすい。使い分けるなら、低域の量や力強さを求めるならZHP-005、聴き疲れや癖のなさを求めるならZM-DS4F。

ZUMREED PORTABLE HEADPHONE
どちらも低音より。低域はZHP-005の方がやや量が多く、薄く曇ったような質。ZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや重心が低くしっかりした低域。中域はどちらも低域の曇りに覆われる印象だが、ZHP-005の方が酷い。音そのものの質を見ても、ZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや癖がない。中高域はZHP-005の方がしっかり出る。高域はZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや細く高い質。量は同程度で、どちらも粗がある点は似ている。分解能はZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が若干上。音場感は広さは大差ないが、ZHP-005の方が頭内定位が多少気になりやすい。原音忠実性は微妙。どちらも周波数特性上の癖が大きいし、一聴して違和感がある点も似ている。原音の粗や生っぽさはZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域はZHP-005の方が若干痛く、ヴォーカルのサ行はZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が若干痛いが、いずれにせよ特に酷いわけではない。どちらもエッジのきつさより頭内定位や妙なハウリングのような感じが原因で疲れる面がある。明瞭さ、音の鮮やかさはZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや上。厚みはZHP-005の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや上。ヴォーカルは艶っぽさだけでなく癖のなさや広い目で見たときの声の魅力という意味でもZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや上。ZHP-005の方が圧力がありパワフルな鳴らし方でノリが良い。響きはZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がやや豊かだが、ZHP-005の方がこもり感が多少気になりやすい。どちらも歪みや不要な響きが乗る点は似ているが、ZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方がまだ自然。弦楽器はZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はZHP-005の方が太く力強い、ZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が若干うまい。ZUMREED PORTABLE HEADPHONEの方が明るく切れが良いため。ただし、音の圧力重視ならZHP-005の方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはZUMREED PORTABLE HEADPHONE、ZUMREED PORTABLE HEADPHONEでは音の圧力や厚みが不満ならZHP-005。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



       










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜20kHz 104dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
156g 40mm 1.2m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1.5 2 3 2 4 1 2400円

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公開日:2009.6.23