第80回 「必殺仕掛人」 〜必殺!/「必殺 The BEST」より
今回取り上げるのは、時代劇「必殺仕掛人」のBGMです。曲名を聞いただけでは「どんな曲か分からない」と言う人も、実際に聴いてみれば「聴いたことがある」と言う人が多いと思います。テレビ番組等で良く使われている曲です。
楽器としては、イントロのトランペットが印象的です。中盤はドラム、ストリングス、コーラスのような音も入りますが、主役はトランペットと言って良いでしょう。いかにも時代劇風というのとは少し違うのかもしれませんが、それっぽい雰囲気や味わいがあります。ただ、チープに感じる人も多いでしょう。
どんなヘッドホンが合うのかは、正直微妙だと思います。ただ、トランペットは明るく鮮やかに鳴らして欲しいことが多い楽器ですが、今回の曲は渋さを出して欲しい感じだと思います。
・1台目 DR150(Goldring)
今回は正直かなり迷いました。どのヘッドホンを使ってもあまり優劣を感じなかったためです。
最終的にDR150を選んだのは、味わいがあったからです。DR150は例えばロック等でもそうなのですが、明るく鳴らして欲しいとか激しく鳴らして欲しいとかいうときよりも、味わい深く鳴らして欲しいときに合うことが多いです。そういった意味で、最近のHR/HMよりも少し古めのロックの方が合います。今回の曲に合うのも、そういう理由に感じます。
不満点はあまりありません。録音の粗とあいまって少し聴き疲れする点くらいでしょうか。
・2台目 DT880(beyerdynamic)
1台目の味わい深さを残しつつ聴き疲れを改善できると思い選びました。
聴いてみると、期待通りでした。1台目よりは少しあっさりめな感じで、匂うような味わい深さという点では1台目ほどではない気がしますが、他の多くのヘッドホンと比べるとかなり味わいがあるのは確かです。
1台目よりも窮屈な感じがせずに伸び伸び鳴らしている点が好印象です。録音の粗も1台目ほど気にならず、聴き疲れしにくいです。
不満点は特にありません。次は違う傾向のものを選ぶしかなさそうです。
・3台目 DR-631(ELEGA)
1、2台目とは違っていて、しかも今回の曲に合うもの、ということでかなり迷走しました。いろいろ聴いているうちに「もしかして」と思いDR-631を使ってみたところ、これがなかなか良かったです。
DR-631は1、2台目のウォームな感じとは違った味わい深さがあります。これは、そもそもDR-631の音が地味で古臭いために、今回の曲の古臭さとマッチするといった印象です。聴き疲れも少ないです。今回の曲は低域がほとんど含まれていないため、DR-631の低域不足が目立たないのもポイントです。
ちなみに、DR-631に至る過程でATH-AD2000、RS-1、K701、PFR-V1等を試しましたが、1、2台目のような良さが感じられず、その上中域がキンキンして痛かったりと、どれもいまいちでした。
今回は1、2台目と3台目で大きく傾向が分かれましたが、どれも良かったのは確かです。DR-631は普通の音楽を聴くにはいまいちなことが多いですが、今回のように特定の曲にマッチすることはあります。このあたりがヘッドホンのおもしろいところです。
総合的な結果としては、基本的に2台目をおすすめしますが、3台目も是非聴いてみて欲しいと思う相性の良さがあります。
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