第69回 夢ノエンアレ/PE'Z「千歳鳥」より
PE'Zは、日本の5人組ジャズインストバンドで、トランペット、テナーサックス、ウッドベース、ピアノ、ドラムで構成されています。
今回取り上げるのは2005年発表のミニアルバム「千歳鳥」の1曲目です。トランペットとテナーサックスが主役という感じではありますが、基本的にどの楽器もある程度鳴っています。曲調は躍動感のある感じです。
ヘッドホンとしてはトランペットやテナーサックスをしっかり鳴らしてくれるもので、厚みやダイナミックさのあるものが良いでしょう。
・1台目 SE-A1000(Pioneer)
条件をすべて満たしているように感じたので選びました。DR150やMUSIC SERIES ONEも良いと思ったのですが、妙に重く暑苦しい感じで、SE-A1000の方が明るく爽やかに楽しめました。トランペットとテナーサックスだけでなく、すべての楽器がしっかり聴こえてくる感じです。
また、今回の曲はアレンジのせいか低域が塊のようになっていて妙な厚みや圧力があり、そのせいで不自然な印象や余計な聴き疲れをする印象を受けたのですが、SE-A1000だとそのあたりが良い感じに柔らかく自然に聴きやすくなります。
不満点は、少し軽いように感じる点です。
・2台目 DT880(beyerdynamic)
1台目を全体的にワンランクアップさせた感じです。バランスが良くしかも魅力的です。DR150のように重苦しくなることなく、SE-A1000のように軽くなることもなく、説得力のある鳴らし方です。各楽器の存在感も十分です。変な癖や欠点がまったくと言って良いほど見当たりません。
不満点はほとんどありません。次は違う傾向のものを選ぶしかないでしょう。
・3台目 RS-1(GRADO)
全然違うものを選ぼうと思いましたが、色々聴いてみた結果1、2台目と比較的近い傾向のものになってしまいました。してみると、やはり今回の曲にはこういった傾向のものが合うのかもしれません。DT880とRS-1は全然違うと言う人も多そうですが、どちらもある種のウォームさがあり、例えばATH-W1000やHP-DX1000のような機種と比べると生楽器や声の表現に決定的な違いが出ることから、広い目で見るなら個人的には同じグループに分けて良いと思います。
バランスとしては、今回の3台の中で最も爽やかな傾向だと思います。人によっては低域が物足りないと感じるかもしれません。
鳴らし方の違いはあるものの、今回は総合的に見るとDT880が最も良いように感じました。それを基準に、もう少し明るいものが良いならSE-A1000、更に明るいもの良いならRS-1という感じになると思います。
トランペットやテナーサックスの鳴らし方は基本的には近いですが、低域にはかなり差が出ます。ウッドベースを柔らかく自然に鳴らして欲しいならSE-A1000、録音に従って素直に鳴らして欲しいならDT880、SE-A1000やDT880では量が多いと感じるならRS-1といった感じです。
今回選んだ機種はどれもかなり相性が良いと思います。好みに合わせて選んでください。
試聴はこちら。
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