第65回 太陽/槇原敬之「SYMPHONY ORCHESTRA"cELEBRATION"」より
槇原敬之は、日常の生活に起こる出来事や恋愛模様を詞にすることで知られる、個性的なシンガーソングライターです。
今回取り上げるCDは、フルオーケストラをバックに行った日本武道館でのライブ「cELEBRATION」を収録したものです。ライブなので、観客の拍手やMCが入っています。
ヘッドホンとしては、折角のライブ録音なのでライブらしさを感じられるものを選びたいと思います。その上で、この曲らしい温かみを出してくれるものが良いと思います。
・1台目 TR-HP03B(shiroshita)
ライブらしさ最優先で選びました。
イントロのピアノの音で、「これは!」と感じます。マイルドで耳あたりの良い音を望む人には正反対の音に感じられるかもしれませんが、生のピアノの硬質さや光沢のようなものがしっかり感じられます。ヴォーカルも同様で、例えばHP1000のような温かみや心地よさはありませんが、決して冷たくはなく、肉声のぬくもりが感じられます。
また、前半の静けさから後半のクライマックスへと徐々にオーケストラが参加して盛り上がっていく流れをしっかり表現してくれます。こういった表現はTP-HP03Bが得意とするところです。
色々な意味で他にはない魅力を発揮してくれる印象で、かなり相性の良さを感じました。
不満点としては、もう少し聴きやすく温かみのある鳴らし方の方がこの曲の魅力を出してくれるだろうという点です。
・2台目 HD650(SENNHEISER)
HD650は聴きやすく温かみのある鳴らし方には定評がありますが、それだけでなくスケールが大きく力強さも持っています。そういう意味で、今回の曲に合うと思い選びました。
実際に聴いてみると、1台目と比べてスケールの大きさが印象的です。1台目ではオーケストラがこじんまりとしている感じでしたが、HD650ではフルオーケストラが存分に力を発揮している感じです。
ライブらしさという点では1台目より劣るとは思いますが、それにしても温かみとの両立という意味では素晴らしいバランスです。
不満点はほとんどありませんが、もう少し1台目のような生々しさがあるとなお良いと思いました。
・3台目 MDR-CD3000(SONY)
どれを選べば良いかかなり悩みましたが、MDR-CD3000に思い当たってからは「これしかないのではないか?」とすぐに思いました。
温かみとライブっぽさの両立という意味で、ちょうど1台目と2台目の間くらいのバランスになると思います。TR-HP03Bほど生々しい感じではなく、HD650ほど温かみがあるわけではありません。ある種ニュートラルな鳴らし方です。
独特の音場の広さがあるので、会場を見下ろすような感覚があります。ライブ録音をMDR-CD3000で聴いたときしか味わえない感覚で、それだけでもこれを選んで良かったと思えます。
今回取り上げた3台は、どれもそれぞれの良さを発揮してくれる感じでした。そういう意味で、我ながらうまく選んだと思います。
個人的にはHD650の温かみとスケールの大きさが好みでしたが、これは単に好みというだけで、TR-HP03Bの生っぽさも捨てがたいです。
もちろん、どんな鳴らし方をして欲しいかで選ぶヘッドホンは変わってくると思いますが、今回の内容を参考に選んでみてください。
試聴は下のamazonのページで。
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