第6回 交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」/マーラー

 今回はリクエストされたCDが入手困難だったため、同曲のテンシュテット指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団、録音:1986年のもので探索を行いました。ご了承ください。
 さて、曲の方はこれぞ交響曲、と言わんばかりの構成です。イントロからしてオルガン、合唱、金管楽器、弦楽器、と音が溢れ出してくるようです。沢山の音を同時に鳴らす場面がある反面、しっかり主役の楽器(声)が決まっている場面も多くあります。中でも、合唱とブラスが大きなウエイトを占めるように感じました。弦楽器はどちらかと言うと脇役に徹している感があります。
 また、静かな場面と大音量の場面がかなり極端です。ヘッドホンとしては、小音量から大音量まで破綻のない表現をしてくれる機種が望ましいように思いました。


・1台目 K240monitor(AKG)
 個人的に、2万円以下でクラシックを聴くならこれ、という機種です。上品で迫力に欠ける傾向はあるものの、クラシックならほとんど曲を選ばない優等生的な鳴らし方です。
 予想はしていたのですが、今回の曲には迫力が足りずあっさりしすぎに感じました。低域が足りない点、響きがややあっさりな点が原因だと思います。主役の金管楽器や合唱よりも弦楽器の鳴らし方の方がうまいように感じるのも、どこか不満を感じさせる理由だと思います。ただ、基本的にはかなり満足のいく鳴らし方です。原音に非常に近く、しかも静寂と動きをしっかりと描き分けてくれる力量は流石です。

・2台目 DT990PRO(beyerdynamic)
 K240monitorに足りないものを補う機種と考えたときに真っ先に浮かんだ機種です。迫力があり、低域の量感が素晴らしく、ブラスが鮮やかで、響きも十分です。原音に忠実という点だけ考えるならK240monitorの方が上でしょうが、その点が全く気にならないくらい魅力的な鳴らし方をしてくれます。ほとんど不満はありませんが、敢えて不満を挙げるなら空間表現力がもう少しあれば最高だっただろうという点ぐらいでしょうか。

・3台目 HP-DX1000(Victor)
 空間表現力という点ではなかなか良い機種ですし、ブラスの鳴らし方も悪くないので選んでみました。全体的にはDT990PROほど派手ではなく、K240monitorほど繊細でもない、良く言えばバランスの良い、悪く言えば魅力のない鳴らし方です。DT990PROとK240monitorにあるウォームさのようなものがほとんど感じられないのも事実です。それにしても分解能と音場感が良いため総合的な表現力では今回選んだ3機種の中で最も良いかもしれません。


 個人的にはDT990PROの鳴らし方が非常に好みでしたが、K240monitorとHP-DX1000もそれぞれなかなかの鳴らし方をしてくれました。漠然とですが、SR-007やedition7でも聴いてみたいというふうに感じる曲です。沢山の音を鳴らす楽曲なので、人それぞれかなり楽しみ方も変わってくる曲だと思います。今回の内容を参考に自分に合った機種を探してみて下さい。


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