第39回 川の流れのように/美空ひばり「川の流れのように〜不死鳥パートU〜」より

 今回は、これまで取り上げてこなかった傾向のものということで、演歌を選んでみました。ただ、演歌と言ってもなるべく知名度が高いもので親しみやすいものということでこの曲を選んだため、如何にも演歌というような曲ではありません。
 美空ひばりについては説明の必要はないかと思いますが、簡単に説明するなら、昭和歌謡史を代表する歌手であり女優です。人気・実力ともに他の追随を許さないものを持っています。 
 今回取り上げるのは、その美空ひばりの最後のシングル作品です。ひとつ注意点を挙げるなら、女性の声としてはかなり低めの声である点でしょうか。
 ヘッドホンとしては、とにかく声の魅力をしっかり出してくれるものが良いでしょう。


・1台目 HP1000(PHILIPS)
 声の魅力と言っても色々あると思いますが、この曲の場合は声の温かみ、力強さ、透明感が大事だと思います。HP1000はこれらすべての点について一定以上の能力を発揮してくれるように感じますが、中でも温かみは素晴らしいです。
 他にはMUSIC SERIES ONEとTR-HP03Bもなかなか良かったです。MUSIC SERIES ONEはHP1000と比べて温かみだけが出っ張っているような印象を受けにくく、バランスが良い感じです。TR-HP03BはHP1000と比べて力強さに重心が寄っている感じです。ただ、やはりどちらも魅力という点ではHP1000には多少及ばないと感じました。
 不満点は、もう少し濃くて力強い表現でも良さそうという点くらいです。

・2台目 HD650(SENNHEISER)
 実は1台目でほとんど満足してしまったので、これくらいしか選べる機種がありませんでした。HP1000を少しブラッシュアップした感じで、HP1000と比べると温かみ、力強さ、透明感のバランスが均等になっているような印象です。
 不満点は特にありません。あとは好みの問題で、違う方向性のものを選ぶしかないと思います。

・3台目 PROline750(ULTRASONE)
 1台目、2台目ともに非常にハイレベルだったのですが、この2台で何度も聴いているうちにもっと濃い音でも良いのではないかという気になってきました。そういう理由で、3台目をこれにしました。
 実際聴いてみると、微妙な感じです。濃い音で聴きたいという欲求はある程度満足できますが、2台目と比べるとやはり透明感が損なわれてしまう印象です。このあたりはアンプをHead Amp 2/MkII SE等に変えるとかなり改善されますが、いずれにせよバランス的にはHD650には及ばない印象です。ただ、それにしても普通の女性ヴォーカルものと比べてHD650とPROline750の間の差が小さいように感じます。これは、美空ひばりの声の質との相性に加えて、演歌独特の発声法や歌唱法に理由があるような気もします。


 今回は取り上げませんでしたが、DT880やRS-1も良いと思います。アンプとしてはAT-HA2002やHA-1Aのような密度が高いものが良いように思います。もちろんヘッドホンとの相性もあるにはありますが、今回の曲の場合アンプの良さが感じられるケースの方が多いように感じます。
 最終的には、微妙なバランスは好み次第ですし、高い完成度が求められる傾向の曲でもありますので、今回の内容を参考に最適なヘッドホンとアンプの組み合わせを見つけてもらえれば幸いです。


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