第34回 Sogna Fiore Mio (Ninna Nanna Sopra la Tarantella)/「La Tarantella」より
南イタリアに伝わるタランテッラ(毒蜘蛛踊り)という舞踏曲集。それが今回取り上げるCD「La Tarantella」です。ジャンル分けするのであれば、古楽あるいは民族音楽になると思います。声楽や古楽器による演奏が好きで、少し違う毛色のものを求めている人には合いそうです。
曲は、女性の柔らかい歌声がメインですが、弦楽器も個性的でしっかり主張してきます。
ヘッドホンとしては、音に厚みがありヴォーカルや楽器の実体感や温かみを表現してくれるものが良いでしょう。
・1台目 HP1000(PHILIPS)
DR150、DTX900、MUSIC SERIES ONE、HP1000あたりが良さそうに思い聴き比べてみましたが、声が最も魅力的だったのでこれにしました。他の機種もかなり良かったのですが、それぞれ何かしら不満が出ます。DR150はどこか粗があり、声の魅力で劣っているように感じます。DTX900はこの4台の中では個性がなく、ただ何となく鳴らしている印象を受けます。MUSIC SERIES ONEは弦楽器の表現が素晴らしいのですが、その反面声があまり目立たない点が不満です。ただ、この4機種であればどれを選ぶかは人それぞれという気もします。
不満点としては、もう少し全体的に厚みが欲しかった点です。
・2台目 PROline2500(ULTRASONE)
1台目の不満点を解消し、ヴォーカルや楽器の温かみを出してくれる機種ということで選びました。
PROline2500は低域がかなり出るため、低域の強いソースではやや問題なることが多いですが、この曲は低域が控え目なので、逆にこれくらい出てくれた方が良いように感じます。
単純なヴォーカルの艶っぽさでは1台目の方が良いように感じますが、厚みや実体感という点では勝っていますし、楽器の表現もワンランク上です。
不満点としては、全体の完成度がもう少し高いとなお良いという程度でしょうか。ほとんど不満はありません。
・3台目 HD650(SENNHEISER)
完成度の高さではこれ以上のものはそうないと思い選びました。ヴォーカルは非常にうまいですし、楽器の表現にも温かみが有り、この曲には良く合います。
他にはRS-1やK701も考えたのですが、RS-1はどうも抜けが良すぎたり弦楽器が目立ちすぎたりするように感じますし、K701は声にしろ弦楽器にしろHD650ほどの魅力が感じられません。
今回の内容をまとめると、音の厚みや実体感を重視するならPROline2500、ヴォーカルの表現や完成度の高さを重視するならHD650ということで良いかと思います。が、あえて他にも選ぶなら、DT880やSR-007が良いように思います。1台目と同様、この辺りは好みによって違ってきそうです。PROline2500とHD650の間のような表現を求めるならDT880、とにかく繊細さが欲しいならSR-007といった感じでしょうか。
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