第30回 ロメオとジュリエット/チャイコフスキー
今回はチャイコフスキーのロメオとジュリエットです。今回とりあげたCDの指揮はゲルギエフ、演奏はサンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団、録音は1997年です。
曲の方は強弱の激しい構成に加えて、炎の指揮者とも呼ばれるゲルギエフの指揮、凄まじいまでに劇的です。楽器としては金管楽器の中高域から高域、弦楽器の低域が大きなウエイトを占めています。
ヘッドホンとしては、生楽器全般をある程度うまく鳴らしてくれるもので躍動感を伝えてくれるものが良いでしょう。
・1台目 DR150(Goldring)
あまり上品なヘッドホンは合わないような気がしましたし、低域の量感にしろブラスの鮮やかさにしろ良いので選びました。
期待通り迫力のある鳴らし方です。楽器の表現も広い目で見ればなかなかウォームでうまいですし、低域の量感もブラスの鮮やかさも十分です。
不満点としては、どこかぼやけているように感じる点、そのせいもあり細部が聴こえてこない点、音場感がいまいちな点でしょうか。
・2台目 HP-DX1000(Victor)
1台目の不満点を受けて、それをすべて解消できる方向性の機種として選びました。
DR150と比べて音そのものがシャープでぼやけていません。DR150のような全体的に豊かな低域と違って制動がきいていてかつしっかりと量感のある低域の表現なので、細部も邪魔されずに聴こえてきます。音場の表現も段違いと言って良いでしょう。
ほぼ満足できましたが、不満点としては各楽器に若干不自然な点があるところでしょうか。
・3台目 edition7(ULTRASONE)
非常に力強く、躍動感があります。それでいてHP-DX1000のような不自然さはありません。しかも不自然さがないというような消極的な理由ではなく、ひたすら力強く魅力的な音楽を聴かせてくれるという点で優れていると思います。
今回はedition7が最も良かったように感じます。他にHD650とDT880でも聴いてみたところ、これら2機種は力強さでこそedition7に劣るものの、総合的に見ればほぼ互角といっても良い表現をしてくれました。HD650は最もバランスが良く、DT880はウォームでありながらシンバルの表現が素晴らしいです。
試聴はこちら。
戻る